話題の「リビング学習」、成功のコツは!?

「リビングで学習すべき」は間違い!? 学習パターンで考えよう

2019.04.04

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船木 麻里
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新入学、新学期ももうすぐ。わが家の学習環境を整えたい時期です。小学生の学習環境として最近すっかり定番になった「リビング学習」。「頭の良い子はリビング学習をしている」などの噂も聞きますが、実際はどうなのでしょうか?

話を伺った人

小川 大介

「かしこい塾の使い方」主任相談員。中学受験専門個別指導教室「SS-1」創設者。

(おがわ・だいすけ)「かしこい塾の使い方」主任相談員。中学受験専門個別指導教室「SS-1」創設者。幼児教育から企業での人材育成研修まで幅広く活動している。『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)など、著者多数。

「小学生はリビングで勉強すべき」、は間違い!?

リビング学習 親子3人

「皆さんのご家庭では、子どもの家庭学習をリビングルームでやっていますか? それとも子ども部屋でしょうか?」

「小学生のうちは、親の目が届くリビング学習がいい」という意見もありますが、中学受験のプロであり、長男の中学受験も経験した小川大介さんは、「最近は“リビング学習”という言葉が先走りし過ぎて、“子どもはリビングで学習すべき”と勘違いしている人も多いのでは?」と注意を促します。

学習内容は「収れん型」「拡散型」の2パターン

収れん型学習
リビングに学習机を置き、収れん型学習を確保したO家の例/岸本絢撮影

その学習内容というのは2パターンあります。ひとつは漢字や計算、一問一答の問題など知識を積み上げていくタイプで、「収れん型」学習と呼びます。塾の勉強の大部分もこのタイプです。収れん型学習は「安心して集中できる空間」が必要。できるだけ余計なものが目に入らない場所が向いています。子ども部屋の学習机でもいいし、リビングの一角に作った子どもスペースでもいいのです。「かつての教え子の例ですが、英単語の暗記だけは階段に座って覚えるのが一番いい、というケースもありました」と小川さん。子どもが集中できるところなら、どこでも学習スペースになるいい例です。

もうひとつは「拡散型」の学習です。これは体験学習、調べ学習とも呼ばれていて、例えば興味のあることを深く考えたり、とことん調べたり、想像力を膨らませてなにかを作ったりといった、「自分から試行錯誤しながら進めていくような学び」です。絵を描くことやブロックで作品を作るといったことも拡散型学習といえるでしょう。その意味では学びより遊びに近いものですが、いわゆる「人間力」がつくのはこの拡散型の学習です。こちらは使っているモノ(図鑑や事典、絵を描く道具やブロック)を、思う存分に広げられる空間が必要なのです。子ども部屋をそのような空間にしてもいいですし、「6時まではリビングテーブルを使っていいよ」と、時間を区切ってリビングを開放するというのでもいいでしょう。

子どもには「自分だけの空間」も必要

子どもの成長には、この「収れん型」「拡散型」学習の両方が必要不可欠です。収れん型の学習から得た知識が土台となって、拡散型の学びを深めていくことができるからです。ですから、家での学習環境はこの「収れん型」「拡散型」といった、学習の「内容」に合わせて整えてあげるのが理想的。リビングでも子ども部屋でも、あるいは別の場所でも、「収れん型」「拡散型」学習の環境をつくることはできます。子どもの性格や興味のあること、集中しやすい学習スタイルなど、親は間近で子どもを見ているからこそ、子どもに合った学習環境を考えられるはずです。

「拡散型」学習
リビングに続く和室を「拡散型」学習に使っているO家の例 /岸本絢撮影

さらに小川さんは「子どもの心の成長にしたがって、あえて親の目から逃げられて閉じこもれる空間をつくってあげることも必要」だと強調します。家の間取りの都合上、専用の子ども部屋を与えられない場合でも「例えばリビングに仕切りや障害物を置くなどして、子どもが一人になれる場所であればいい」と言います。というのも、子どもは静かに考えたり、ボーッとしたりして、一人で充電する時間が必要だからです。「それは人目にさらされず、安心して無防備でいられる場所がいい」と小川さんはアドバイスします。

子どもは十分に充電できると、興味や好奇心がわいてきて動きたくなってきます。収れん型学習の意欲がわいてくるかもしれないし、拡散型学習で興味をもったことにのめり込むかもしれません。生活のなかで一人で閉じこもれる場所と開放的な場所があれば、その時々で自分の意思によって空間を移動できます。その経験を繰り返しながら子どもは成長していくのです。このような「子どもが動きやすいように合わせてあげる」という発想で学習環境を整えると、子どもの自立心も自然と鍛えられるでしょう。

現在発売中の「AERA with Kids 2019春号」の特集「リビング学習」では、一人で集中できる空間と思いっきり遊べる空間づくりのコツと実例が多数紹介されています。こちらもぜひ参考にしてください。

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