駿台、河合塾、代ゼミ 3予備校座談会

【後編】保護者の不安は英語! AO入試への対策は?

2019.04.11

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2019年の大学入試の傾向は? 迫る2020年度の大学入試改革にどう対応すればいいのか――。EduA編集部は3月、コラム連載を担当する3予備校(駿台予備学校、河合塾、代々木ゼミナール)の幹部を招いて入試座談会を開催し、これらのトピックスについて語ってもらった(文中敬称略)。

河合塾の福永就夫さん、代々木ゼミナールの佐藤雄太郎さん、駿台の石原賢一さん
左から)河合塾の福永就夫さん、代々木ゼミナールの佐藤雄太郎さん、駿台の石原賢一さん=北村玲奈撮影

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2019年大学入試速報、2020入試改革への対応は?

保護者や生徒の不安、英語に集中

河合塾・福永 「どの英語資格検定試験が有利か」という話はよくある。「入試のために有利」という考え方はゆがんでいると思うが、そういう問い合わせがあるのが実態だ。

代ゼミ・佐藤 やはり、学力層によってポイントが違う。上位大学を志望する層では、あまり気にしない保護者も多い。論理的に読む力は今までの入試でも必要だったが、今回は特にクローズアップされている。全国学力調査の中でも読解力が課題というのは、文部科学省の結果分析からも伺える。記述式の自己採点をどうさせるのかは、保護者も学校の先生も気にしている。

石原賢一さん
駿台の石原賢一・教育研究所進学情報事業部長

駿台・石原 高校からよく尋ねられることは、主体性評価がどうなるかという点。筑波大は全員の調査書をある基準で点数化しようとしている。先生から見れば、調査書をどういう形式で作ればいいのか。付帯的な志望理由書や学修計画書をつくることで、個別指導はより複雑になる。

それから、経済的困窮者に対する英語外部試験の受検料補助のシステムが今のところ公表されないまま進んでいることも不安をかき立てている。学力考査の中身は大きくは変わらないが、制度設計が変わることによる事務手続きの部分は、もう少し早く公表していただかないと。

AO入試が拡大、やりたいことを明確に

佐藤 入試改革でAOも学科試験必須となる予定だが、現行のAO、推薦入試でも実際は適性検査など何らかの形で実施されているので、大筋としては変わらないように思う。

福永就夫さん
河合塾の福永就夫・進学教育事業本部長

福永 一般入試の前に早く決めてしまいたいと推薦入試やAO入試を受ける受験生がいるが、本来のAO入試は、大学と受験生の「お見合い」。大学側も学習環境や教育内容、どういう人物に来てほしいのかを明確に示さなければならない。受験生は自分がやりたいこと、その大学でやろうと思うことをしっかり伝えていく。大学と受験生のマッチングを図っていくのが本来の姿。今後はアメリカのようにエッセーなども必要になるかもしれない。

石原 第一志望をしっかり見つけること。「抜け道」「近道」として考えては駄目。今回の入試改革で学力不問入試はやめようとはっきり示された。偏差値が高い大学に楽に入る方法を探そうというのは普通の受験生の考えだと思うが、「そうじゃないんだよ」と。

中学生や小学生、どんどんチャレンジ&失敗を!

福永 大学が選べる時代になる。早い段階から自分のやりたいことを見つけ、それをやるためにはどういう大学で学べばいいのかを検討し、「ここに行きたい」と決めることが学習の動機付けになる。その上でどの順番で学習を進めるかを考える。大学で専攻しようとする分野の教養的な部分も身につけておく必要がある。それがAO入試の対策にもなる。自分のやりたいことについての深掘り、探求もやっておいたほうがいいだろう。

同時に、一人での学習だけではなく、友達とディスカッションをしたり、本を読んで知識を得たりすることが非常に大事だ。幅広い知識と深い教養を、自分の意見で語れるような練習もしておく。今までの入試よりも少し早いスタートが必要だ。計画的にちゃんと学ばないと間に合わない恐れがある。

 

佐藤雄太郎さん
代々木ゼミナールの佐藤雄太郎・教育総合研究所所長

佐藤 基本的なアドバイスは変わらない。家庭学習をきちんとやりましょう。学校の勉強などを両立しながらうまくやっていきましょう。きちんと自分の第一志望を選び、受けたい大学で何をやっているかという情報を仕入れることが大切だ。

英語は確かに自力だけではカバーできないところもあるが、学校の勉強といろいろな教材を並行させであれば対策できると思う。感覚として違ってきているのは「読解力」。スマートフォン世代はメールなどのやりとりばかりで短文が多い。新聞もなかなか読む機会が少なくなってきた。活字に触れる機会が学校の勉強のみになる。そこで「論理を組み立てろ」といっても難しいのではないか。読解力はすぐに身につくものでもない。

あとは過度に情報に踊らされないこと。オープンキャンパスに足を運び自らの目で確かめるといったことが、これからもより一層大事になる。

石原 ぜひやってほしいことは、読み書きそろばん。我々昭和生まれの人たちは好きな異性が出来たらラブレターを書く。何かわからないことがあったら、辞書を引くか本を読むしかない。計算は計算機などはなく、手でするしかなかった。今はこれらがやれない時代だ。

入試で一番大事なのは、ものを読む力、書く力、そして数学理科だったら計算する力。これは低学年から習慣付けていかないと、入試を意識したからといって身に付くものではない。

勉強以外のことにもどんどんチャレンジする。失敗をたくさんしてほしい。保護者の人にぜひ言いたいのは、中学高校は一番大事な時期だから、いっぱい失敗させてやってほしい。その中で自分のやりたいことも見つかってくる。もっと大きな困難があっても乗り越えられる。それが主体性重視の入試の一番の対策になると思う。

(おわり)

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