宿題、定期テストを廃止 生徒の自律促す麴町中の取り組み

2019.05.13

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斉藤 純江
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3年生の修学旅行は「ツアー企画取材旅行」と題し、生徒が旅行会社の社員になったつもりで新たなツアー旅行を企画し、旅行のパンフレットを作る。旅行会社の社員から事前指導を受け、行き先の京都・奈良では情報収集や写真撮影。グループごとにパンフレットを作り、社員の前でプレゼンテーションする。

体育祭や文化祭は、「全員が楽しめる」「観客を楽しませる」など、行事ごとに設定した目的の達成を目指し、生徒自身が企画や運営を担う。生徒は話し合いを重ね、時に対立したり、他人の意見を尊重したりしながら、最終的に一つのものを作り上げていく。

麴町中・体育祭

工藤校長が最も重要と考える教育目標は、自ら考え、判断し、行動する「自律」した子どもを育てることだ。

工藤校長は言う。

「急速に変化する世の中で、自分の力で考えることはますます必要になってくる。どんな時代にも生きられる子を育てるため、学校も変わっていく必要があるんです」

麴町中・工藤勇一校長

一斉授業から、話し合い、学びを深める授業へ

2020年度に小学校、21年度に中学校、22年度からは高校でも順次、新たな学習指導要領が導入され、学びの形は大きく変わる。

キーワードの一つは、「主体的、対話的で深い学び」だ。

文部科学省初等中等教育局視学官として、新指導要領の作成にも携わった国学院大学の田村学教授(教育方法学)は「主体的、対話的で深い学びは、すべての教科に関わる指導要領の柱の一つです」と説明する。「主体的」とは自分の学びをコントロールできること、「対話的」とは多様な他者と対話すること、「深い学び」は知識と知識がつながって自在に使えるようになることだという。

国学院大・田村学教授
国学院大・田村学教授

これまでの授業は、教師が一方的に知識を教え込む一斉授業が多かった。今後の授業のイメージは、「子ども同士が話し合ったり、考えをまとめたり、自分で調べて発表したりしながら、学びを深めていく場面が増えるだろう」と田村教授は予想する。生徒自身も自分で課題を見つけて調べたり、友だちと意見交換したりしながら学ぶのは楽しいし、真剣に考えて自分で生み出した学びは記憶に残る。

指導要領改訂の背景にあるのは社会の変化だ、と田村教授は指摘する。人工知能(AI)の登場などで、知識を身につけるだけの学びではなくなり、知識を活用して問題を解決したり、話し合いの中から新たな知恵を生み出したりするような、実社会で活用できる力が、加速度的に求められているという。

子どもの学びを深めるために、田村教授が保護者に勧めるのは「子どもとたくさん語り合う」ことだ。勉強のこと、ニュースのこと、生き物のこと……。生活の中にも子どもの疑問や関心はたくさんある。家庭で考えをアウトプットすることで子どもの興味は広がり、学校での学びとの相乗効果をもたらすという。

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