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中学入試、漢字の採点どうなってる?灘、渋渋に聞いてみた―「令和」をきっかけに

2019.05.23

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南雲 ゆりか
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元号が「令和」に変わりましたね。新元号が発表されたとき、世間では「『令』の字はどう書くのが正しいのか?」と、話題になりました。手書きでは、「てん」+「マ」=図(1)=と書く人も多いでしょう。活字などでよく目にするのは、「マ」の「てん」部分が縦に長い「令」かもしれません。

令和

 実は、私の娘の名前には「令」の字が入っています。卒業式が近づいてきたある日、「卒業証書にはどちらの字で書けばよろしいでしょうか」と、学校の先生から電話をいただいたことがあったのを懐かしく思い出しました(私も娘も名前を手書きするときは常に「てん」+「マ」で書いています)。

ここで気になってくるのが、漢字テストでの採点です。私の教室の生徒も、よく模擬試験の答案を持って、「この漢字はどうして×なんですか」と質問にきます。今後、令和についても質問を受けそうなので、少し調べてみました。

一般生活で使う漢字の目安「常用漢字表」の「字体・字形に関する指針(報告)」には、おもな「令」の活字の例と、手書きの例がいくつか挙げられています=表参照。指針では、そもそも漢字は、【1】それぞれ点や線の数や組み合わせが骨組み=字体となっている【2】印刷されたり、手で書かれたりする際には、活字のデザインや人それぞれの書き癖などで、肉付けされた形で表れるため、文字の形は一定ではなく、同じ文字と認識される範囲で、無数の形状を持ち得る、と説明しています。

では、教育現場では、どう教えるのでしょうか。先に紹介した「字体・字形に関する指針(報告)」では、学習指導要領の「学年別漢字配当表」に示された教科書体(教科書にのっている字)=図(2)=をひとつの標準としつつも、これ以外を誤りとするものではないとしています。文部科学省は、「子どもたちは学校以外でも、いろいろな字を見て生活しています。画数が違っている、点や線が足りないといったことがなく、骨組みがしっかりしていれば、個人によって少し形が違っていてもいいというような指導を、先生方はしているはずです」と話します。

小学校の漢字テストであれば、先生に教わった通りに書けば〇になるので、それに合わせて練習するのが得策です。では、中学入試の漢字問題では、どのような採点基準を設けているのでしょう。いくつかの学校に問い合わせてみました。

非公表とする学校が多い中、教えてくれた灘中学校は、「常用漢字表」の「(付)字体についての解説」にしたがっているとのことでした。「細かいデザインを問うというよりは、字体をきちんとわかっているか、という部分で採点しており、正解のゾーンは広めです」と話します。渋谷教育学園渋谷中学校は、学校説明会で、「その漢字を知っているかどうかが採点者に伝わるように、なるべくていねいに書いて欲しい」と、説明しているそうです。

2校の話からも、「ていねいに書いてほしい」というのが、多くの学校の求めるところではないかと思います。過去にカタカナの書き方を出題したことがある東京の最難関・男子校では、定期テストでも「なぜ、解答欄が大きいかわかるな」と、しっかりした漢字を書くことが求められるそうです。 

進学塾では、中学入試でどのように採点をされても○がもらえるように、教科書にのっている字に近い形で書くよう指導します。模擬試験の採点が厳しいのもこのためです。

ただし、これが、「漢字嫌い」を招くことがあります。もし、合っているはずなのになかなか○をもらえなければ、学習意欲は減退してしまいます。そんな兆候が見られたら、その厳しい採点基準に合わせるのではなく、「普通に正しく見えるレベルで、ていねいに書けていればよし」と、家庭でサポートしたほうが賢明です。模擬試験では×にされるかもしれませんが、目先の点数を上げることより、たくさんの漢字を覚えることにエネルギーを使ったほうが入試には役立つからです。

私自身も毎週、生徒たちの漢字テストを採点していますが、例えば、「阝」を「1・3」を組み合わせたように書いたものは、やはり見劣りがします。画数を守っていないともいえるため、模擬試験などで×にされる可能性もあるでしょう。家庭学習では、「どんなふうに書けばカッコよく見えるかな」と、お子さんと対話をしながら進めていくことをお勧めします。

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