『ドラゴン桜2』桜木建二が教える 2020教育改革

高校生でニガテの国語が伸びたワケ

2019.05.23

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桜木 建二
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生きるために役立つ力を育てる現代の寺子屋「考学舎」を立ち上げた坂本聰さんは、いったいどんな経緯で、「お絵かきトレーニング」というユニークなメソッドに行き着いたのか。気になるところだな。そこで聞いてみたところ、原点は高校時代の体験にあるようだった。

メソッド誕生のきっかけは留学

小中学校時代から高校1年生まで、私は国語が大の苦手でした。漢字や文法はまだしも、長文読解問題はからっきし。答えを書いても当たるときは当たる、当たらないときは全くダメ、つまりは当てずっぽうだったのです。

2年生に上がるタイミングで、1年間ベルギー留学を体験しました。帰国すると、気づけば国語の成績が上がっていました。現地の学校で授業についていくべく必死にフランス語を勉強したのですが、その方法は思えば、私が「お絵かきトレーニング」で提唱している内容に近かったのです。

その後、大学へ進学して経営を学んだそうだな。

ベンチャー企業に関する研究などをしていました。起業した人のことを調べていて、ひとつの事実に突き当たりました。起業家は総じて読解力・思考力が高く、物事を噛み砕いてしっかり理解し、自分の言葉で表現する力にたけているのです。

彼らはビジョンや理念、事業内容をわかりやすく人に伝える必要がありますから、理解力、比較力、表現力、すなわち国語力が研ぎ澄まされている。とはいえ、彼ら全員が生まれつき国語力に恵まれていたとも思えません。仕事上の必須スキルとして、努力し身につけた人も多いのではないでしょうか。
自分のベルギーでの体験も結びつけて考え、ひとつの仮説に思い至りました。勉強にも仕事にも役立つ国語力は、トレーニングで大いに伸ばせるのではないか、と。

「お絵かきトレーニング」のその先も

いったん就職をした坂本さんは、26歳で起業する。現在の「考学舎」を立ち上げたのだ。国語力をベースに、学びと学びの楽しさを伝える現代の寺子屋をつくりたかったという。

現在の考学舎には小学生から高校生までの生徒が通い、総合的な思考力を養う学びを受けている。国語力を伸ばす方策としては、「お絵かきトレーニング」の先の学習法も、さまざまにあるそうだ。

4コマ漫画や8コマ漫画を、ストーリーで言葉にしてみるというカリキュラムもありますし、ある文章をすべて異なる言葉で書き換えていくというものや、最後には、長文を50字程度の短文でまとめるところまで進みます。そこまでくれば、いつでもどこでも通用する国語力が身についたと考えていいでしょう。

国語力をつけるのに、年齢は関係ありません。やれば誰でも伸びていきます。学業や受験対策というだけでなく、すこし大仰にいえば生きることをもっと豊かにするためにも、ぜひあらゆる人に国語力アップを目指していただきたいと思っています。

(ライター・山内 宏泰)

※この連載の最新版は、LINE NEWS「朝日こども新聞」(月、水、金 8:30配信)で読めます。

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話を伺った人

坂本 聰さん

(さかもと・さとし)1972年、東京都生まれ。一橋大学商学部卒業。大学やサラリーマン時代に、「思考力」「コミュニケーション力」の重要性を痛感する。99年、国語指導をベースにした現代の寺子屋、考学舎を設立。2015年、まちのまなび処(東京都墨田区)開設。高校在学中にベルギーに留学した経験などをふまえ、独自のカリキュラムを提供している。昭和医療技術専門学校特任教授(日本語表現法、思考法)。主な著書に、『国語が得意科目になる「お絵かき」トレーニング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

『ドラゴン桜2』
作者は漫画家・三田紀房さん。中堅校に成長したものの、再び落ちぶれつつある龍山高校が舞台。学校理事として加わった弁護士・桜木建二が淡白な「現代っ子」たちを東大に合格させるべく、熱血指導するさまを描く。教育関係者らへの取材をもとに制作されていて、漫画を通じて実用的な受験テクニックや勉強法をふんだんに紹介している。2018年1月から、雑誌「モーニング」(講談社)や「ドラゴン桜公式メルマガ」で連載中。2003~07年に同誌で連載したパート1は、廃校寸前の龍山高校に通う偏差値30台の高校生が、1年で東大に合格する姿を描き、話題になった。

国語が得意科目になる「お絵かき」トレーニング
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ドラゴン桜2 第1巻
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