東大卒シングルファーザーの中学受験備忘録

12話 中学受験塾の「利益相反」

2019.06.17

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堀 杜夫
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  • 塾は、中学受験(受検)に失敗した子を高校受験コースに誘導して、利益を得ようとしがち
  • 「利益相反」や「モラルハザード」は現状では避けられない。受験(受検)生と保護者は、塾のスタンスを考慮しながら付き合う必要がある

不合格なら高校受験で?

本番まで4カ月を残すのみとなった公立一貫校受検生向けの塾の説明会。拍子抜けしたのは最後に用意された塾のPRの時間でした。「もし公立一貫校が残念な結果になっても、当塾では高校受験対策をしっかりやっています」。そんな説明があったのです。子どもとはいえ、小学6年生にもなれば「大人の事情」には敏感です。説明会でそのPRを聞いた娘は、「試験に落ちてもらったほうが、塾はもうかるんだ」とつぶやきました。そこで私は「利益相反」という言葉を教えたのです。

12話前半①

塾としては、公立一貫校に合格者を多数出して実績をアピールしたい半面、不合格なら引き続き高校受験対策のコースに通ってもらえる可能性がある――つまり、表向きは合格を目指すと言いつつ、不合格でも利益は得られるという事情があるのです。これは、何も娘が通う塾だけに限った話ではないでしょう。大手塾では、大学予備校や通信教育会社などとの提携、系列化が進んでおり、こうした利益相反はいろいろな形で起きる可能性があります。

ただ、同じ塾の同じ先生が同じ教室の中で、中学受験(受検)も高校受験も受け持つとなると、「中学受験(受検)はほどほどにやって、失敗したら高校受験でもうければいい」というモラルハザード(倫理の欠如)が起きかねないのではないでしょうか。せめて別会社、別々の教室にして、持ち株会社にぶら下げるといった形にすべきではないかと思うのです。

塾の先生の人手不足は深刻なので、授業を掛け持つことは容認する代わりに、中学受験、高校受験、大学受験とステージごとに経営を分離するのが、利益相反やモラルハザードを防ぐうえで健全ではないかと考えます。

モラルハザードを防ぐためには

説明会での拍子抜けが響いたかどうかはともかく、秋が深まるにつれ、娘の模擬試験の点数は低迷しました。やはり模試の点数が振るわず、公立一貫校受検を断念して、塾をやめていく同級生もいました。それでも娘はあきらめず、週2日、弁当持参で夜10時まで塾で勉強し、帰宅後も深夜まで宿題に取り組んでいました。日曜日には夏休み中と同じ私立一貫校の教室を借り、第1志望校の過去問を本番同様の環境で解く塾の特訓にも通いました。

 12話後半③

都立一貫校の適性検査は、適性1(各校独自の読解・作文の問題)、適性2(各校共通の算数、理科、社会からの出題)、適性3(各校独自の算数などの問題)の三つがあります。娘が第1志望の都立一貫校の過去問に挑むと、適性1はまあまあでしたが、適性3は数理的思考能力を問う難問が立ちはだかり、100点満点中5点ということもありました。(つづく)

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