AO・推薦入試対策 近年の傾向と2019年の対策は?
2019.06.13

AO・推薦入試ではどのような問題が出るのか。対策は。旺文社の受験情報誌「蛍雪時代」の「全国大学 推薦・AO入試合格対策号」(6月末発行予定)を手がける臨時増刊編集長、宮澤静也さん(50)に聞いた。
AO・推薦入試では、ここ5、6年で、英語長文問題の設問で生物や世界史の知識も問うような「複合問題」が増えました。試験当日に講義を受けさせて内容の理解度をみたり、大学図書館や実験室で調べ物や実験をさせたりと、多様な方式が広がっています。難関国立大は特に問題の難度が上がったように感じます。
選考で大きなウェートを占める小論文は、時事的なテーマに沿って自分の考えを書く、新聞記事やコラムを読んで感想をまとめる、という出題が目立ちます。現代社会への興味・関心や基礎的知識の有無、思考力・表現力に加え、下に掲載した名古屋大教育学部の「なぜ教室には黒板があるのだろうか」のように志望学部や研究分野に対する理解や関心の深さをみる出題もあります。原稿用紙の使い方や誤字脱字にも気をつけましょう。
2017年度のAO・推薦入試の問題を見てみよう
なぜ教室に黒板があるのか
「なぜ教室には黒板があるのだろうか。」という文に続けて、教育や心理にかかわる議論を自分なりに展開した文章を作成しなさい。そのうえで全体の論旨を一言でまとめなさい。 (引用元:名古屋大教育学部推薦)
教育無償化 あなたの考えは
日本国憲法26条2項で保障されている義務教育を含む、幼児教育から大学などの高等教育までの無償を求める動きが見られます。教育無償化について、あなたの考えを800字以内で述べなさい。 (引用元:弘前大人文社会科学部AO)
英文に英文で答える
次の設問について、150~200語程度の英文を書きなさい。 (引用元:青山学院大文学部英米文学科 自己推薦 (一部抜粋))
Some cultural features have large positive or negative impacts on society.
Give one example from Japanese culture and evaluate its influence on society.
2018年度はこんな問題。では今年は?
2018年度は「働き方改革」「LGBT」「人工知能(AI)」「環境とプラスチックごみ」といったテーマから多く出題されました。今年度は、経済や政治、社会など幅広い分野にかかわる「消費税率引き上げ」や「東京オリンピック・パラリンピック」が注目すべきテーマです。選考方法や過去問からは「どんな学生を求めているのか」「学生をどう育てたいか」という大学のメッセージが伝わります。受験生のみなさんが自分に合った大学、受験方法を見つける手がかりになると思います。
AO・推薦入試合格を目指すみなさんは、学科・専攻分野に関連したテーマを中心に、時事ニュースに関心を持つのが必須です。特に5月から8月ごろの新聞記事やニュースは小論文や面接のテーマに取り上げられることが多いので、志望分野に関連するニュース記事を要約して自分の考えを書いたり、一つのニュースを様々な切り口から考えてみたりして「借り物でない自分の知識」にする努力をしましょう。