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中学生からの学資保険は手遅れ? まだ間に合う、教育資金を貯める最短ルート

2019.07.31

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坂本 綾子
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子育て世代のお金の悩みに、子育て世代のファイナンシャルプランナーがお答えするコラムです。

Q. あと5年で大学進学資金をためたい 学資保険は有効?

《相談例》
中学生と小学生の子どもがいます。5年前に購入したマンションの住宅ローン負担に追われ、これまで教育資金をためることができませんでした。昨年から私がパートを始め、少しは貯蓄できそうになったので今からがんばって教育資金をためたいと考えています。子どもたちは高校までは公立で、本人が希望すれば大学は私立にも行かせてあげたいと思います。今から始める場合、どのくらいの金額を目標に、どういう方法で、毎月いくらぐらいためたらいいでしょうか。学資保険も検討すべきでしょうか。

《相談者はこんな人》
大阪府在住、女性42歳(パート)、家族は会社員の夫40歳、中学1年生の長男と小学1年生の次男。マンション住まい(持ち家)。
収入=年収600万円(夫)+年収80万円(妻)
支出=年間550万円くらい(住宅ローン月12万円、ボーナス払い年24万円。物件は4000万円、30年払い)
貯蓄/運用=普通預金30万円(昨年からため始めた。月2万~3万円)。定期預金100万円強
保険=夫生命保険(月2万円、死亡保障2000万円)

A. 学資保険加入は遅くとも3歳まで。定期預金の積み立てをおすすめ

学資保険に興味がありますか?

子どもの教育費は学資保険でためるというイメージがあります。

学資保険は子どもの年齢と親の年齢、そしてどんな保障を望むかで保険料が異なります。原則、子どもが小さく、親が若い時の方が保険料は安くすみますから、利用するなら生まれてすぐ、遅くとも3歳までに入るのが鉄則です。

うちの場合は、もう手遅れ?

思い立ったが吉日、これからできることを考えましょう。
それに、預金金利が低い今は保険の利回りも同様に低くなっています。さらに保険では保障部分にも保険料が費やされるので、払った保険料が全額は貯蓄に回らず、途中で解約すると元本割れになります。教育費をためる観点から言うと、学資保険は現在、あまり有利と言えないのです。これからためるなら定期預金の積み立てをおすすめします。

パートを始めたのでやっと余裕が出てきました。

銀行には、毎月決まった日に決まった金額を普通預金から定期預金に積み立てる自動積立定期預金のサービスがあります。申し込みは窓口や郵送、銀行によってはインターネットバンキングでもできます。一度、設定すればあとは自動的に積み立てが行われ、手間ひまかけずにたまっていきます。積立日を給与振込日直後に設定しておけば、残高不足で積み立てができない事態を避けられます。

毎月どれくらいを積み立てに回せばいいですか?

高校までは公立とのことですので、高校受験や高校進学時の費用は手持ちの貯金でまかなうとして、その後、私立大学の文系学部に進学すると想定してざっと計算してみましょう。大学進学に必要な資金は4年間でおよそ400万円。これを高校3年生までの年数で割り算します。
●長男 中学1年生 高校3年生まであと5年
 400万円÷5年÷12カ月=月6万6700円
●次男 小学1年生 高校3年生まであと11年
 400万円÷11年÷12カ月=月3万300円

これから5年間は長男と次男の2人分で月9万7千円、長男が大学進学後の残り6年は次男の分として月に約3万円の積み立てが必要です。これで約800万円たまります。

当初5年が厳しいですね。毎月10万円近くの積み立ては、さすがに難しいわ。

児童手当を受け取っていますよね。中学3年生までは1人毎月1万円をもらえるので、長男はあと33万円(2019年7月以降、中学卒業まで2年9カ月)、次男は105万円(2019年7月以降、中学卒業まで8年9カ月)、合計で138万円をもらえます。これを積み立てに回せば、その分自己負担は減ります。

ためられなかったら、どうしよう?

無理は禁物です。国公立大学なら4年間の学費は約250万円に抑えられます。長男ともよく話し合い、国公立大学への進学や奨学金の利用も検討してみましょう。長男が無事に進学すれば、その後はぐっと楽になるはずです。

教育ローンの利用も考えるべきでしょうか。

教育ローンは最後の手段です。
もし、長男が公立高校でなく私立高校に進学することになった場合、大学資金の準備が厳しくなってしまい、心細いかもしれません。しかし、まずは目の前のハードルを乗り越えることから。家計収支を見直したり、パート収入を増やしたりして、貯蓄を極力取り崩さないようにし、金額は減らしても積み立ては継続します。
長男が高校3年生になるまでは何とかやりくりしながら、子どもたちには進路別の授業料の目安を伝えて真剣に進路を考えさせましょう。そのうえで、高校3年生の秋時点の貯蓄残高と2人の進路希望をもとに、大学進学の最終的な資金計画を立てます。どうしても足りない分は奨学金の受給を検討します。
相談者のお宅では教育ローンは使わないのが正解。住宅ローンが長男の大学進学時にまだ20年残っているからです。ローンが重なると老後資金に影響が及びます。

 まとめ

かつては教育資金の準備といえば学資保険でした。生命保険会社は長期の商品を得意とし、金利も高かったからです。しかし現在は金利が低いため、保障部分を確保してさらに元本も大きく増えるような期待はできず、中には元本割れする学資保険もあります

定期預金は元本割れの心配がなく、低金利とはいえ確実に利子が付き、子どもや親の年齢に関係なく始められます。資産運用の知識や経験があるなら、NISA(少額投資非課税制度)も選択肢になりますが、そうでなければ、教育資金確保は、確実な定期預金で積み立てることをおすすめします。

大学4年間でかかる学費(入学金、施設設備費など含む)の平均額は、国公立で約250万円、私立文系で約400万円、私立理系で約500万円。大学によって異なり、受験料などの受験費用も別にかかりますが、進路がハッキリしない時点では私立文系の金額を目安に資金計画を立てます(大学・学部ごとに必要な学費は「奨学金を利用する前に わが子の『本気』をしっかり確認」を参照)。

用意したい金額が決まったら、子どもが高校3年生になるまでの年数で割り、さらに12で割ると、1カ月あたりの積立額を計算できます。

子どもが2人以上いる家庭では、積み立てが重複する時期の家計はかなり厳しいかもしれません。実際に必要な額をより早く把握して対策を考えるために、子ども自身の進路希望を丁寧に聞いて教育費の準備をすすめましょう。

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