中学進学 グローバルという選択

さいたま市立大宮国際 低学費も魅力 公立中高一貫校でバカロレア教育を

2019.09.20

author
柿崎明子
Main Image

国際バカロレア(IB)の中等教育プログラム(MYP)認定を目指す公立中高一貫校。すでに認定を受けた市立札幌開成中等教育学校などとも、教材づくりなどで連携している。

低学費でバカロレア教育の経験を

今年4月、埼玉県で3校目となる公立中高一貫校、さいたま市立大宮国際中等教育学校が開校した。グローバル人材の育成を目指し、Grit(やり抜く力)、Growth(成長し続ける力)、Global(世界に視野を広げる力)の「3G」を校訓として掲げている現在、国際バカロレア(IB)の11~16歳を対象とする中等教育プログラム(MYP)候補校で、認定されれば首都圏の公立中高一貫校としては初めてのIB校となる見込み。2020年の認定を目指し、その後は大学進学のためのディプロマプログラム(DP)認定を申請する予定だ。

前身は市立大宮西高校。さいたま市立の中高一貫校としては、進学校として人気の高い浦和中高がすでにある。IB認定校を目指している背景を、関田晃校長は次のように話す。

「さいたま市と市教育委員会は、世界で活躍する人材を育てるため、探究型のグローバル教育が重要だという考えで一致しています。IBプログラムの理念とも合致するため、良いものは積極的に採り入れていこうという方針です。県立だと自治体が大きすぎて、すぐに実行に移すのは難しい。規模の小さい市立だからこそ実現できました」

IBの申請にあたり、教材開発、指導案作成、教員研修など、10人の教員が1年かけて入念な準備を進めてきた。現在、公立のMYP認定中高一貫校は市立札幌開成中等教育学校だけで、県立高知国際中高、県立広島叡智学園中高も申請中だ。4校は開発した教材や指導法などを情報交換している。IB認定校は圧倒的に私立が多いが、公立の中高一貫校がIBを導入する意義について、関田校長は次のように語る。

「IBは特別なものというイメージがあるかもしれませんが、公立が採り入れることでハードルを下げることができる。公立なら経済的な負担も少ないので、多くの生徒にIBを経験するチャンスが広がります

国語の授業では、4~5人の生徒がグループ学習を行っていた。詩の単元で、どのように朗読したら表現できるか、話し合っている。

「講義だけで終わる授業はありません。必ず何らかの生徒の活動が盛り込まれています」(関田校長)

国語の授業で、詩の表現について話し合う生徒たち
国語の授業で、詩の表現について話し合う生徒たち

奉仕活動や世界平和にも取り組む

授業の導入とまとめにより活動時間が限られてしまうので、道徳と学活以外はすべて2時間続きで授業を行う。進行は教科書の順番通りとは限らない。たとえばMYPにある「権力への批判的考察」は、歴史の複数の単元を組み合わせて授業を組み立てる。教科の枠にとらわれない学際的な授業も多く、週に1度、各教科の教員が集まって授業の方針を話し合っている。

もちろん英語にも力を入れている。毎朝15分、手紙の書き方などテーマを決めて取り組む。英語の授業のほかに、週2時間、ネイティブ教員による「イマージョン授業」を実施。数学や社会科などの平易な内容を英語で学ぶことで、実践的な表現を身につけさせる。中2はニュージーランド、高1はアメリカで研修を実施する。

同校独自の探究学習が、課題解決に取り組む「3Gプロジェクト」だ。開校にあたって、まずは「部活」作りにチャレンジした。4人のグループで作りたい部を話し合い、ポスター発表会を行って、投票により18種に絞る。数週間体験した後に再度投票を行い、最終決定する。さらにMYPの奉仕活動、サービス・アズ・アクション(SA)も実践している。市役所などの公的機関、企業、NPOなどに呼びかけ、生徒にボランティア活動の場を提供してもらい、グループを作って役割分担を決め、提供先と共に活動した。ステップを重ねて、IBの理念である世界平和に取り組む活動も行っていきたいという。

「一つの学校でおおげさと思われるかもしれませんが、生徒と一緒にまじめに世界平和の実現を考えたい」(関田校長)

低学費が魅力の公立中高一貫校に加わった「グローバル」という選択肢。生徒たちはどんな成長を遂げるのだろうか。

授業にはグループワークが積極的に採り入れられている
授業にはグループワークが積極的に採り入れられている

さいたま市立大宮国際中等教育学校のホームページはこちら

新着記事