国語のチカラ ~読解力アップの教科書~

中学入試で難関校が出題 詩・短歌・俳句の攻略法 必修はこの一冊

2019.12.12

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南雲 ゆりか
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国語の入試問題の中でも難易度の高い、詩や俳句、短歌など「韻文」の読解――。全体で見ると出題数はさほど多くありませんが、韻文で学ぶ表現技法は、物語文や説明文などに出てくる技法と重なる部分もあります。しっかりとおさえておきたいものです。

高い国語力が求められる韻文の出題

韻文を読み解くには、「行間を読む力」「言葉と言葉のつながりを理解する力」が必要とされ、小学生にとっては高い国語力が求められます。私自身の経験から、韻文の作問は難度が高いと思います。解釈の幅があるため選択肢をつくるのも難しく、記述式の採点もどこまでを許容とするかの判断が大変です。

韻文を毎年出題するのは、筑波大学附属駒場中学校、共立女子中学校、青山学院中等部、大妻中学、灘中学校、東京都市大学付属中学校、明治学院中学校、芝浦工業大学附属中学校などです。

これらの学校の問題を見ていると、解釈させる記述問題もありますが、解答を選択肢で選ばせる、穴埋め形式にするなど、難しいながらも、「こう考えていってほしい」という方向性を示してくれているものもあります。そうした作問側の工夫をうまく使いながら解くのも、正解を導く方法のひとつといえるでしょう。 

まずは詩の表現技法や工夫を知ろう

それでは、韻文の中でもよく出される「詩」からご説明しましょう。

詩を読むうえでの予備知識として、まず、おさえたいのは、(1)「比喩」(2)「擬人法」(3)「名詞止め(体言止め)」(4)「くりかえし(反復法、リフレイン)」(5)「倒置法」(6)「対句」(7)「省略法」です。

これらは、物語文や説明文にも使われますから、4年生の間に一通りふれておくとよいでしょう。はじめのうちは、名詞がわからないために名詞止めの判別ができなかったり、対句の概念がなかなか理解できなかったりして、苦戦しがちです。でも、学年が上がれば定着してくるので、心配いりません。

表現技法を教えるときに、それがどんな効果をもたらすかも説明してあげるとよいでしょう。

<(1) 比喩>

あるものを別のものにたとえます。具体的にイメージしやすくする効果があります。

例:蟻が
  蝶の羽をひいて行く
  ああ
  ヨットのようだ
   (「土」三好達治)

<(2)擬人法>

人間ではないものを人間の動作や様子にたとえることです。生き生きとした印象を与え、親しみを感じさせます。

例:冬の木立
  しょんぼりと
  寒かろう
    ~
  (「冬の木立」小川未明)

<(3)名詞止め>

最後の言葉が印象に残りやすくなったり、歯切れがよくなってリズム感が生まれたりします。

例:   ~
  きりきりともみ込むような冬が来た
  人にいやがられる冬
     ~
  (「冬が来た」高村光太郎)

<(4)くりかえし>

リズムをつくるとともに、くりかえされる言葉を強調する働きがあります。

例:あかい雲あかい雲
  西の空の紅い雲
     ~
  (「あかい雲」小川未明)

<(5)倒置法>

語順の前後を入れかえることで、内容を強調したり、語調をととのえたりします。

例:「金色の ちいさき鳥の かたちして いちょうちるなり 夕日のおかに(与謝野晶子)

<(6)対句>

関連のある言葉を使い、似たような言い方で、同じくらいの長さの行をならべ、詩の形を整えたり、リズムをつくったりするものです。

例:太郎を眠らせ太郎の屋根に雪ふりつむ。
  次郎を眠らせ次郎の屋根に雪ふりつむ。
  (「雪」三好達治)

<(7)省略法>

文章の一部を省略して、余韻を持たせます。

例:   ~
  此の可愛らしさ
  みよ
  而も大地を確りとふみしめて「歩いている」などが省略されている)
  (「歩行」山村暮鳥) 

「見た目」も表現技法のひとつ

詩は「見た目」にも工夫していることに気付かせましょう。

行の始めが一字ずつ下がっている、一字空いているなど、「あれ?」と思うところに注目するのです。

さらに、カタカナ、ひらがな、漢字など、使う文字によって生じる印象の違いにも目を向けると、詩への興味が増すことでしょう。

私は韻文の授業の中で、子どもたちに「次の3つの中で一番おいしそうなのはどれ? まずそうなのは?」とたずねています。

(1)フワフワタマゴノオカシ
(2)ふわふわたまごのおかし
(3)ふわふわ卵のお菓子

子どもたちは「カタカナはかたそうな感じがする」「丸みをおびたひらがなはやわらかいイメージ」「漢字は一目で意味がわかりやすい」などと自由に発言してくれます。小学生なりにそれぞれの特徴をしっかりとつかんでくれています。

詩の内容をどう学ぶか

詩は、表現技巧のために語順が入れ替わるなどしていて、主語と述語、修飾語と被修飾語の関係がわかりにくくなっていることがあります。そのため、どこからどこまでが「一文」かを見極める作業が大切です。

ここで例題です。
次の表現に、一文の終わりといえるところに句点をつけてみましょう。

春が来た
川に流れ込む
雪解け水

答えは、1行目と3行目になります。

機械的に作業をすると2行目に「。」をつけてしまいがちです。そして、「川に流れ込むのは春だ」と誤解してしまいます。「川に流れ込む雪解け水」でひとつのまとまりです。このように、句点を書き込むだけで整理されることもあるので、やってみるとよいでしょう。

字面上の意味を把握しなければ解釈のしようがありませんから、指示語の内容やわからない言葉の意味の確認などもしてください。

詩の解釈は、詩と鑑賞文が掲載されている本を使用して解釈の仕方を学ぶと効果的です。

小学生にも読みやすいのは、『詩の世界』(高田敏子著、ポプラ社)で、中学受験生のバイブルともいえる本です。そのほか、「日本語を味わう名詩入門」シリーズ(あすなろ書房)もおすすめです。 

「短歌」「俳句」について

2019年度の入試では、短歌によって自分を表現し、成長する主人公を描いた、『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』(こまつあやこ著、講談社)が多くの学校で出題されました。また、鴎友学園女子中学校では『わたしの空と五・七・五』(森埜こみち著、講談社)の句会の場面が取り上げられ、あるひとつの俳句にこめた登場人物の思いを説明させる問題が出ています。そのほか、物語や説明文の中に、俳句などが引用されて問いが立てられることもあります。

灘中学校は毎年、俳句の問題を出しています。2019年度入試では、俳句を季節の順に並べ替える問題が出題されました。俳句では「季語」の学習が欠かせません。各季節のおおまかな季語は知っておきましょう。

季語は旧暦に基づいているため、「朝顔、天の川、七夕」=秋、「五月雨、こいのぼり」=夏など、今の季節の区分とずれるものに注意をしておきましょう。その他、「花、桜」=春、「蛙」=春、「麦秋(ばくしゅう)」=夏、「若葉、青葉」=夏、「雨蛙、青蛙」=夏などは知っておくとよいでしょう。

短歌についても、季節を問う問題がよく見られます。季語の学習は、短歌で歌われている季節を理解するうえでも役に立ちます。

内容の解釈は、俳句、短歌ともに記号選択で問われることが多いので、およその意味がわかれば対処できます。

南雲先生EduAWeb-1212

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