連載・親子で「考える」を動かそう! SDGs編

「日本の将来人口 × 自動運転技術」 日本女子大学付属中学校・社会の入試問題から

2019.12.19

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日能研
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中学入試ではときに、大きく深いテーマを扱った問題が出ます。SDGsSDGsSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。2015年9月の国連サミットで採択された。スローガンは「誰一人置き去りにしない」。30年までの達成を目指し、17分野の目標(ゴール)と169の具体的な目標(ターゲット)を設けている。 20年度から順次、実施される新学習指導要領でも、児童・生徒が他者を尊重し、多様な人々と協働しながら「持続可能な社会の創り手」となることを求めている。と深いつながりを持つものも少なくありません。SDGs編では、関連する中学入試問題を紹介します。あらかじめ準備できるような模範的な「正解」はありません。世界の課題を「自分ごと」として考える人になってほしい――。そんな出題校の思いが込められている入試問題に触れて、親子でアタマとココロを使い、「考える」を動かしてみませんか?(問題文の一部を変えている場合があります)

10回目は日本女子大学付属中学校の社会の問題です。

 日本女子大学付属中 2018年/社会

近年、自動車産業は「自動運転技術」の開発に力を注いでいます。
自動車の自動運転技術が発達することは、次の資料から読み取れる日本社会の課題に対して、どのように役立ちますか、あなたの考えを述べなさい。

日能研の図(10)

日能研の解説

日本の将来人口に関する資料から、何が読み取れますか?
読み取った情報と自動車の自動運転技術を結びつけると、何が見えてきますか?

自動運転技術は、「走る・曲がる・止まる」という自動車の動きを制御(コントロール)する技術です。「自動で走ること」や「自動で止まること」は、日本社会の課題に対してどのように役立つのか――。

近年では、自動運転技術の開発が進み、運転支援システムが装備された自動車もめずらしくなくなってきました。現在は限定的な運転支援にとどまっていますが、将来的には完全にドライバーの操作が必要なくなることが期待されています。

また、自動運転技術を積極的に活用することで、現在抱えている課題を解決したり、くらしをより便利にしたりすることはできないかと試行錯誤する動きも広がりつつあります。こうした世の中の動きを反映させたのが、この中学入試問題です。

この問題のおもしろさは、資料から何を読み取るか、そこからどのような日本社会の課題を思い浮かべるかで、さまざまな答えが考えられることです。
資料からは、主に「総人口が減少する」「65歳以上の人口の割合が増える」「15~64歳の人口の割合が減る」という3点が読み取れます。これらの現象から想起する課題と、自動運転技術を用いる場面をどう設定するかなどによって、発想の幅が広がります。

たとえば、高齢者が増えていくと、高齢者が歩行中に事故にあったり、高齢ドライバーによる事故が増えたりするかもしれません。でも、自動運転技術が発達することで、未然に事故を防ぐことが期待されます。

また、働く人の減少によって、人手不足によるバス路線の廃止が増えることなども考えられます。でも、自動運転のバスが走るようになれば、各地域の交通網を維持することができるでしょう。

このように、「資料からどのような課題を読み取ったのか」と、「自動運転技術の発達がその課題解決のためにどう役立つのか」の2点が伝わるように記述することがポイントとなります。

現在、政府は完全自動運転の実現に向けて整備を進めようとしています。検討課題も多くありますが、自動運転の車が公道を走行する未来はそう遠くはないかもしれません。自動運転技術の利用方法を考えることは、進化するテクノロジーと人とのかかわりを模索する視点を得ることにもつながります。子どもたちが入試問題を通じてこの視点を得ることは、さまざまなテクノロジーと共存する未来を生きていくうえでも有意義だといえるでしょう。

また、自動運転技術の進化が、人間の生活や自動車産業にどんな利害をもたらすかについて考えることは、SDGs(持続可能な開発目標)の目標9「強靭(きょうじん、レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」にもつながっています。
この入試問題をきっかけに、さまざまなテクノロジーの進化や産業のイノベーションと、持続可能な未来との相関について、親子で考えてみてください。

※ご一緒してきました本シリーズ「SDGs編」も今回で最終回です。次号からは新シリーズ「”私”を伝える編」が始まります。引き続き、親子で「考える」を動かしてくださいね。

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