時事ニュースの学び方

講演会報告 池上彰さんに学ぶ 「時事ニュース読み解きで学力アップ」

2019.12.11

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斉藤 純江
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ジャーナリストで東京工業大特命教授の池上彰さんが、10月に大阪市内であった朝日新聞エデュアの創刊記念イベントで、時事ニュースの読み解きをテーマに講演しました。新聞を読めば中高大の入試に役立ち、「AIにとられない仕事に就ける」と言います。

ニュースをきっかけに広がる学び

全国学力調査などでは、学力の高さと、新聞を読むことやニュースへの関心は相関関係があると出ています。新学習指導要領でも、新聞を教材に使おうとなっています。入試制度がどう変わろうと対応できる力を身につけるうえでも、ニュースは非常に役立ちます。

では、親御さんは、ニュースをどうやって子どもの勉強につなげていけばいいのでしょう。

たとえば台風19号は、勢力が衰えないまま日本に上陸し、大きな被害をもたらしました。なぜなら、日本周辺の海水温が高いままだったからです。そこで親が「海水温が高いと、どうして台風のエネルギーは衰えないのだろう」と問いかければ、立派な理科の勉強になります。さらに「なぜ日本周辺の海水温は高いのだろう。地球温暖化と関係があるんじゃないか」「どうして地球温暖化は起きるのだろう」と考えれば、新たな学びにつながるわけです。

今年9月の国連気候行動サミットでは、16歳のスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが演説しました。グレタさんは昨年、学校を休んで同国議会前に一人で座り込み、気候危機の影響を受けるのは若者だと主張。世界各地で何百万人もの若者が参加した「グローバル気候ストライキ」へと発展しました。

この行動を評価する声がある一方で、「学校できちんと勉強するのが本分ではないか」という指摘もあります。私が中学入試の担当者なら、「あなたはどちらの意見に賛成ですか。その理由を書きなさい」という問題を出しますね。一人の少女が世界を動かしたニュースは、理科や社会の教材でもあり、人間の生き方を問う学びにもつながります。

香港の民主化運動なら、「香港はどのような地域なの」「イギリスは何で香港を植民地にしたの」と問えば、世界史の学びになる。日本の民主主義社会を振り返ることもできます。イギリスはEU離脱を巡り、北アイルランドとアイルランドの間の関税をどうするかなどでもめていますが、そもそも北アイルランドの問題は16世紀までさかのぼります。ニュースをきっかけに、国際情勢や背後にある歴史を学べるのです。

2020年の教育改革の背景には、「日本を引っ張っていく人材を育てるためには、自分の頭で考える力をつける必要がある」という日本社会としての問題意識があります。生きていく力をつけるための手段として学力をつける。そういう観点でお子さまの教育について考えていただければと思います。

講演会報告 池上彰さんに学ぶ 「時事ニュース読み解きで学力アップ」

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