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大学入試の英語 民間試験対策の勉強はムダにならない 4技能ごとに力つけ統合を

2020.01.04

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松村 大行
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効果的な勉強法について教科別に解説しています。今回は大学入試に向けた英語です。民間の資格・検定試験の延期がどのように影響するか、気になるみなさんも多いかもしれません。大学受験ナビオの酒井保人さん(英語科責任者)に聞きました。

民間試験対策で蓄えた力に自信をもって

2020年度からの「大学入学共通テスト」では英語の民間試験が活用されるはずでしたが、これが延期になりました。勉強法を変えるべきかどうか、不安な気持ちの高校生もいるでしょう。

けれども、民間試験対策で英語の勉強に前倒しで臨み、力を蓄えたことが無駄になることはありません。むしろ先々を考えると、よい影響があるのではないかと思います。

高3の最初の時期は、模擬試験の点数が比較的伸ばしやすい理科や社会の勉強に時間をあてる生徒が多いようです。そうなることを見越したうえで、英語については早めに基礎を固めておくのが合格への近道になります。

そもそも言語に関する勉強は、試験の直前につめ込んだものを吐き出すような学習法は向いていません

英作文を含め、民間試験には大学入試の準備に生かせそうな良問が出題されているという印象があります。これまでに受けて好成績を収めたみなさんは、入試に向けて自信をもっていいと思います。 

エンスタ大学英語1

語源に注目して効率よく単語を覚える 

英語では読む・書く・聞く・話すの4技能について、バランスよく力をつけることが重要。基礎となるのが英単語の学習です。

語源に注目すると、頭のなかでまとまって効率よく覚えられます。たとえばport(港)を起点に、import(輸入する)、transport(輸送する)、important([運び入れるほど]重要な)……といった具合。漢字の「へん」と「つくり」の関係と同じような感じです。

イラストなどを使い、イメージと関連づけて覚えるのも効果的。abandon(放棄する)は「あ、晩だ、と勉強をやめる」――。こんな覚え方でもかまいません。楽しく学ぶ姿勢は英語では重要です。

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文法は中学で学んだ内容が骨格になり、高校ではそこに肉付けしていくことになります。特に「品詞」に目を向けることが重要です。自動詞・他動詞の後ろにつけられる品詞は何かなど、説明できるようにしておきます。現行の大学入試センター試験の文法問題で不正解となっている選択肢を見て、どこを直せば正しくなるのかを指摘できるようになれば文句なしです。

高1で文法を仕上げ、高2である程度まとまった長文が精読できるようになるのが目標です。そこから問題を解く力を身につけていきます。 

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「書く」問題は自分の語彙の範囲を出発点に 

英作文など、書く問題は限られた語数で自分の意見や考えを論理的に盛り込めるかどうかが鍵になります。あたえられたテーマに対して難しいことを考えすぎ、表現し切れなくなるという傾向がみられます。自分がもっている語彙のなかで考える習慣を身につけてください。自分の語彙のレベルがどの程度なのかをつかむ意味でも書く練習は重要です。

耳慣らしにはYouTubeの動画などを利用するのがおすすめです。自分が好きな分野から入り、慣れたら新しい分野の素材を選ぶようにします。関連動画を紹介する機能を利用して幅を広げていくのがいいですね。

話すために大切なのは恥ずかしがらないこと。自信がなくても最終的には「話したもの勝ち」です。スマートフォンのアプリにも英語の音声を入力できる機能があります。こうしたもので発音を試すというのも一つの方法。1週間に1、2回は英語で話す機会をもつようにしてみてください。

順調に力を高めることができたら、4技能の統合を目指します。(1)長文を読解する、(2)その長文の音源を聞く、(3)自分で音読する、(4)文章について意見を書く、(5)周りの人と意見を共有する、(6)相手の意見を英語でまとめる――。このサイクルを実現できれば、かなりの実力といえます。

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 ※朝日中高生新聞2019年12月1日付

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