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子や孫への資金援助 一括贈与の非課税は教育資金以外にも 相続税心配しすぎず活用を

2020.02.06

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小山 信康
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子育て世代のお金の悩みに、子育て世代のファイナンシャルプランナーがお答えするコラムです。

Q. 将来の相続税支払いが心配 わが子の教育資金を守るには?

《相談例》

私立高校2年の長男が、「1年間、語学留学したい。さらにできれば、海外の大学に進学したい」と言い出しました。かなえてやりたいのはやまやまですが、私立なので高校の学費捻出も大変です。 この先、長男に準備できるのは300万円が限度。長女(中2)の高校進学も重なり、海外留学・進学の費用には到底足りません。
そう悩んでいたところ、知人が「祖父母から孫へ、教育資金を非課税で贈与できる仕組みがある」と教えてくれました。 実家はある程度の資産家なので、非課税であれば相談してみようかと思っていますが、具体的にはどのような制度なのでしょうか? また、利用する際の注意点やメリット・デメリットなどはありますか?

《相談者はこんな人》

兵庫県在住、会社員50歳。家族は専業主婦の妻(45歳)、私立高校2年の長男(17歳)と公立中学2年の長女(14歳)。持ち家。
収入=年収約800万円、 支出=年間約600万円。
貯蓄/運用=教育資金(長男:学資保険300万円、長女:定期預金150万円)
相談者の父親は80歳、母親は75歳。自営業、持ち家。実家には、妹(40歳)が小学3年の長男と共に同居している。

A. 実際に相続税がかかるのは1割以下。先回りせず専門家に相談を

教育資金の一括贈与の非課税制度は、期限が延長されたそうですね。利用するかどうか、じっくりと検討して判断してもよろしいでしょうか?

延長されたとはいえ、2021(令和3)年3月31日が期限です。あと1年と数か月しかありません。
前回までにお伝えしたように、この制度は祖父母世代から孫への教育資金贈与を期待した制度です。金額の大きさを考えても即断即決できるようなものではないので、早めにご親族で相談された方がいいでしょう。なお、手続きにも時間を要します。遅くても2021(令和3)年の3月中旬までに金融機関での手続きを開始しておくことが望まれます。

教育資金の一括贈与の資金は、留年した場合の授業料でも引き出すことは可能ですか?

成績要件等はありませんので、もちろん可能です。ただし、子ども本人のモチベーションを維持するために、成績要件があるように匂わせることも一案です。

ここまでの話を考え合わせると、教育資金の一括贈与の非課税制度はなかなかハードルが高そうですね。だとすると、いずれ私が相続することになる親の遺産を子どもの教育資金にあてればよい、と考えてもいいのでしょうか?

親の遺産をあてにするのは教育資金準備の姿勢として望ましくありません。公的年金の財政状況を背景に老後世帯の生活も厳しくなっています。確実に遺産が残る保証もありませんし、遺産があっても相続の話し合いがもめて、教育資金が必要な時期に遺産分割が間に合わないことも想定されるからです。

実は相続税が心配なのです。親に万一のことがあったら、教育資金としてためた貯蓄を相続税の支払いのために取り崩さなくてはいけないかもしれません。

国税庁「相続税の申告状況について」(2017年)によると、亡くなった人のうち相続税の課税対象となった(課税割合)のは約8.3%でした。増加傾向にはありますが、裏返せば、9割以上のケースは相続税を支払う心配はないということです。
数千万円以上の資産を有すると、相続税負担を心配される方が多いようですが、具体的に計算してみると、小規模宅地等の特例などが利用でき、結果的に税負担がゼロになるケースも少なくないようです。 心配のあまり先回りし、不要な相続税対策で借金を背負うケースも散見されます。相続税対策を実行する前に税理士等の専門家に相談されるとよいでしょう。

親に遺言を書いてもらう方がよいでしょうか?

遺言は書いておいてもらった方がいいでしょう。相続(遺贈)には条件を付けることもできます。例えば、「〇〇大学への入学を条件として、孫Aに現金500万円を遺贈する」と書くことも可能です。

教育資金の一括贈与の非課税に似た制度として「結婚・子育て資金の一括贈与」があると聞きました。併用することも可能ですか?

はい、可能です。「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度」は、結婚式や出産等の費用の贈与を、1000万円まで非課税で行える制度です。「教育資金」と「結婚・子育て資金」、二つの制度を併用してより多くの資金を非課税で贈与することは可能です。
ただし、「結婚・子育て資金の一括贈与」の受贈者は20歳以上50歳未満、かつ前年の合計所得が1000万円以下の方です。併用できる人は現実的には限られるでしょう。

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