『ドラゴン桜2』桜木建二が教える 2020教育改革

英語、「話す」「聞く」も英文法・英文解釈が土台 理解深めながら学ぶ学習法

2020.02.20

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桜木 建二
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前回、オンライン予備校「スタディサプリ」の講師として、年間50万人近い中高生に英語を教える関正生さんに、「受験を意識するなら本気で英語に取り組むのは中2から」「丸暗記英語の習慣は早急にやめるべき」といったアドバイスをもらった。今回は、「理解を深めながら学ぶ英語の学習法」について教えてもらうぞ。

構文から見える文化的背景も知ろう

桜木:英語をマスターするために、よかれと思ってやっている丸暗記英語は弊害ばかりということのようだ。では、そうならないための英語の学習法とはどんなものだろうか?

:常に意味を考え、理解しながら英語を覚えていくことが必要です。そうすればちゃんと英語の学力もつくし、使える英語が身につき、思考力も伸ばせます。

桜木:これはつまり教える側の問題が大きいということだな。この単語帳に載っている語句はいつまでに全部覚えろ、テキストに出てきた構文、テストで頻出するから覚えておけ、というようでは、丸暗記を促すことにしかならない。

:本来、英語という知識体系にはすべて意味があります。教えるときには単語一つひとつの成り立ちを説明し、文法に含まれる英語圏の人たちの思考法のクセを指摘し、構文から透ける文化的背景を踏まえる必要があるのです。

桜木:そうすれば単語も文法も構文も、納得のうちに頭に入ってくるはずだ。
ただし、教える側に「英語を語れる」能力が必要となるな。

:その通りです。丸暗記英語ではない学習は、最初は子どもが自力でできるものではありませんから。

私の授業は丸暗記英語を排し、ひとつずつ理解を深めながら英語を覚えていけるよう工夫していますし、そうなるよう長年改善を重ねてきました。

丸暗記ではない英語とはどういうものかを知るには、ぜひ「スタディサプリ」の授業をのぞいてみてほしい。それがいちばん早い!というのが私の思いです。

「理解」が伴えば知識は定着する

桜木:ここでひとつ気をつけるべきは、理屈を知り納得しながら勉強を進めようとするとき、何も単語や文法を覚えなくてもいいというわけじゃないということだ。

:はい、知識なんていらないということではまったくありません。そうではなく、勉強のプロセスを変えようということです。英語を理解しながら頭に入れていけば、心配せずともしっかり頭に残っていくものですよ。

むしろ丸暗記のほうが心配でしょう。丸覚えしたものは短期間の記憶にしか残らず、ある程度の時間が経てば丸忘れしてしまいます。

桜木:理解しながら英語を学ぶ。そのほうが勉強は楽しそうではあるのだが、さて、本当にすべての英語の事象に理屈や語るべきものがあるものなのか?

:もちろん。言語とはそういうものです。たとえば“Good morning.”というあいさつ。この言葉を知らない人はいないでしょうけれど、直訳すれば「よい朝」というフレーズがなぜあいさつになるのか。

あれはお祈りなんですよね。「あなたによい朝が訪れることをお祈りしています」という意味を、縮めていっています。“I wish you a good morning.”を省略したものなんです。

英米文化圏のあいさつはすべてお祈りからできている。そうした文化の特徴やちがいを知ることが大事ですし、それがわかるとほかのあいさつフレーズもすんなり覚えることができるんじゃないでしょうか。

理由の追求が英語をおもしろくする

桜木:理解しながら英語を学ぶ例を、もうひとつ挙げてもらえないか。

:中学1年生で習う現在進行形には、動詞によって現在進行形になるものとならないものがあることが、重要なポイントのひとつとなります。現在進行形にならない単語はたとえば、“know” “like” “want”などがあります。なぜなのか。

最初のうちは「これはなる、こっちはならない」と丸覚えしてもなんとかなりますが、高校あたりになるとたくさん単語が出てきて、覚えきれなくなってきます。

しかし、理由を知っていれば、混乱することはなくなりますよ。そこには明確なルールがあって、5秒で中断・再開が自在にできないものは進行形にならないのです。

“know” “like” “want”の「知っている」「好き」「欲する」は、5秒以内にコロコロ変わったりしませんよね。5秒前は知っていたけれど、5秒後には知らなくなるということはありません。私はこれを「5秒ルール」といっています。ルールの存在をいちど覚えてしまえば、一生使える技となりますよ。

英語学習の世界では理由なんてない、英語ではそうなっているので覚えましょう、という教えかたが主流になってしまっていましたが、それではやる気も失せてしまいますよね。

理由を追求していくことで、英語の学問としてのおもしろさにも気づいていけるはずです。

大学が求めるのは文献が読める人

桜木:丸暗記ではない英語学習、ぜひ心がけたいところ。ただ、同時に気になるのは2020年の教育改革だ。

四技能の習得が唱えられるなど、英語で最も大きな変化が訪れるようにいわれているが、「丸暗記じゃない英語」を学べば教育改革を乗り切れるのかどうか。

:教育改革があるからといって、学習者が振り回される必要はありません。これまでと変わらず、丸暗記ではない英語学習を進めましょう。

世間では、受験にスピーキングまで取り入れられるのなら、何かしら対策をしなければという風潮があるのはわかります。それでもやはり従来通り、とくに英文法と英文解釈に力を入れて受験勉強をするべきなのです。

大きな理由はふたつあります。

まず、大学受験の問題をつくるのは大学の先生だからです。先生方は正直なところ、自分の研究室できちんと研究できる学生が欲しいに決まっています。流暢に英会話ができれば越したことはありませんが、それ以前に英語の文献をしっかり読めて、研究をみずから進めていける能力のあることが大前提。難関大学になるほど、そうした先生方の本音の意向は、受験の問題に強く反映される傾向にあります。

それにもうひとつ。そもそも話すにしろ聞くにしろ、英文法や英文解釈の土台がないと無理なのです。きちんと英語を話せない人というのは、まずもって文法がわかっていません。文法なんて実社会では役に立たないというのは俗説です。私たちが日本語を話すときを考えてもわかりますが、基本的にみんな文法にのっとって話をしています。単に文法用語などを意識しているだけで、「昨日、ハンバーガーは私を食べるでしょう」といった、文法的にメチャクチャなことはいわないはずです。

もちろん多少はくだけた英語になっているにしろ、基本的には文法にのっとっていなければ話が通じないでしょう。とりわけビジネスの現場では、正しい文法を使って話すことが信頼を得るカギです。ネイティブの人たちは、発音よりも文法がしっかりしているかどうかを、信頼に足る人間かどうかのバロメーターにしていますよ。

リスニングについては、その力を伸ばすには英文解釈を強化するにかぎります。文章として読み取れないもの、意味が取れないものを、聞き取ることなどできるはずもないのです。教育改革、四技能といった仰々しい言葉に振り回されることなく、地に足をつけてしっかり理解しながら、英語を学んでいってほしいと思います。

(ライター・山内宏泰)

『桜木建二が教える 大人にも子どもにも役立つ 2020年教育改革・キソ学力のひみつ』関先生②

※この連載の最新版は、LINE NEWS「朝日こども新聞」(月、水、金 8:30配信)で読めます。

話を伺った人

関正生さん

1975年7月3日、東京都生まれ。スタディサプリ・英語講師。埼玉県立浦和高校、慶應義塾大学文学部(英米文学専攻)を経て、予備校講師に。TOEIC(R)Listening & Reading Testで990点満点取得。英語参考書や語学書の執筆も手がけ、著書は、『子どもの英語力は家で伸ばす』(かんき出版)など80冊以上にのぼる。モットーは「英語に丸暗記はいらない」。写真は©小野奈那子

『ドラゴン桜2』

作者は、漫画家・三田紀房さん。中堅校に成長したが、再び落ちぶれつつある龍山高校が舞台。弁護士・桜木建二が生徒たちを東大に合格させるべく、熱血指導するさまを描く。教育関係者らへの取材をもとに、実用的な受験テクニックや勉強法をふんだんに紹介している。雑誌「モーニング」(講談社)や「ドラゴン桜公式マガジン」(note)で連載中。

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