連載・親子で「考える」を動かそう! ”私”を伝える編

「受けている最中にも“私”の学びを育てるテスト」 雙葉中学校・国語の入試問題から

2020.02.21

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日能研
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キミってどんな人? 考えを聞かせて?――。中学入試問題は、それぞれの“私”に問いかけてきます。知識だけでなく、身の回りや“私自身”とつなげて考えなければなりません。あらかじめ準備できるような「正解」はありません。子どもたちの数だけ答えがあるはずです。親子でアタマとココロを使って、「考える」を動かしてみませんか?

(問題文の一部を変えている場合があります)


”私”を伝える編の4回目は雙葉中学校の国語の問題です。

 雙葉中学校 2008年/国語

(問)映像(映画など)と比べて、本を読むことの魅力はどこにあると思いますか。100字以上150字以内で述べなさい。

日能研の解説

提示されているテーマを新たに展開させることができる力が求められています。学びを深めることの面白さ、楽しさに気づかせてくれる問題といえるでしょう。

この設問の前には、「多くの人に読まれる本や評価の高い本を読むことも、自分が以前から愛読している本をくり返し読むことも、『読書の魅力』である」といったことが主張されている「本文」があります。

その「本文」に触れて、この設問に取り組むのですが、「読書の魅力」という「本文」のテーマを受け継ぎながら、「映像(映画など)と比べて」という、「本文」とは違った角度から「読書の魅力」を新たに掘り下げて考えていく力が試されています。つまり、「本文」を通じて学んだことを、この場でさらに深めて考えてほしい――というメッセージです。

将来にわたって学び続ける子どもたちに、これからの学びのカタチを提示する問題ともいえるでしょう。

 さて。

「映像」は、音や色、形などのイメージが具体的であるがゆえに、限定された情報として「受動的」に受け取る作業ともいえます。それに対し、「本を読むこと」は、書かれた言葉からそこにえがかれていることを自由に想像できたり、読むリズムやスピードを自分で調整できたりと、「能動的」な作業を楽しめるところに魅力があると思う――など、 問題にある「映像(映画など)と比べて」に着目します。映像の特徴、本の特徴をそれぞれ考えたうえで、「本を読むこと」ならではの魅力を書くとよいでしょう。

受験生それぞれの“私”がどのように本とつきあっているのか、見てとれる問題ですね。

 ところで。

「テストを受ける」と「テストで学ぶ」

どちらがしっくりきますか?

今の大人たちには、やはりテストは「受ける」ものでしょうか。テストは「受動的」で、あまり楽しくない、イヤなもの……ですか? いや、テスト、好きだったけどな、という大人も、もちろんいるでしょう。予測していた流れに乗って、準備してきたものをすらすらとアウトプットしていく心地よさなどは、その理由の一つでしょう。ゆえに「想定通り」でなかったときは、心地よくなく、「出題範囲として、あらかじめ知らされていなかった!」……などとなるワケですね。

このコラムで、幾度となく話題にしている〈あらかじめ答えが用意されていない問題〉〈“私”の数だけ答えが出てくる問題〉なんて、従来型のテストではありえない。今回のように〈テーマや課題を、その場でさらに発展させていく「動的」な問題〉――も。「出題範囲」として提示するのも難しそうですしね。

 でも、複雑であいまいで、不明確で不安定……。そんなこれからの時代を歩んでいく未来の大人たち(=いまの子どもたち)に必要なテストとは――? 従来型のテストでないことは明確でしょう。それは、「予定調和」でない、「誰かの顔色をうかがう」ことなど要らない、“私”を使って、“私”を伝えるテスト。出題者(課題提示者)との対話が生まれるようなテスト。テストを受けている最中に、さらに学びが深まっていく、“私”の学びを“私”が育てていくテスト

どうでしょう。それはまさに、「テストで学ぶ」なのです

映像(スマホの動画サイトなど)と比べて、本を読むことの魅力は――?

どうぞ、親子で語りあい、その語らいの中で、存分に“私”を伝えあい、それぞれ“私”を育ててください。

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