2020年度中学入試 合格者アンケート

開成中学で合格親子32組に聞いた! 成功する子の勉強法は? 通っていた塾は? 習い事は?

2020.02.26

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庄村 敦子
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東大合格者数が38年連続日本一の開成で2月3日、中学入試の合格発表が行われた。過去5年間で一番多い1266人が志願し、397人が合格。倍率は3倍だった。310点満点中、合格者平均点は211.3点。最高峰を制した合格者はいったいどんな勉強をしてきたのか、幼いころからどんな学び方をしたのか。
EduA編集部では、合格親子32組にアンケートを実施した。塾や家での勉強法、習い事などに答えてもらい、同校の柳沢幸雄校長とともに、結果を読み解いた。

東京都荒川区、JR西日暮里駅にほど近い開成中学。発表時刻の午後1時が近づくと、中庭の掲示板前は、合否の瞬間を待つ親子や塾関係者らで黒山の人だかりとなり、身動きできないほどだった。予定時刻の少し前に番号が張り出されるや否や、「あった!」「受かった!」「やった!」などの声が飛び交い、抱き合う親子たち。そして入学手続きの書類を受け取る列に並ぶ。書類を手に、塾関係者の祝辞を受けながら体験談などのインタビューや写真撮影のため、多くはグラウンドへと移動していった。

一方で、不合格だった受験生はうなだれ、保護者に肩を抱かれながら門を出ていく……。

掲示板から少し離れた場所で、柳沢幸雄校長はこの様子を優しいまなざしで見守っていた。2011年に校長に就任して以来、毎年こうして発表の場にたたずんでいるという。

「受かった子どもたちには『これからきちんと教育していこう』と思いますし、残念ながら不合格だった子どもたちには『この壁を乗り越えてほしい』と願います」

毎年こう感じるとともに、「無事、入試が終わった」という安堵感もあるそうだ。 

この合格発表の興奮冷めやらぬ中、EduA編集部では、合格に笑顔を見せる受験生と、感激で涙ぐむ保護者32組にアンケートを実施した。

目指した理由は「日本一だから」

まず、「開成を志望した理由」(複数回答)を尋ねたところ、最も多かったのは、「東大の合格者数が日本一だから」「トップ校だから」という理由。8人がこう答えた。このうち5人は、今後の志望大学を「東大」と答えている。似た理由として、「レベルの高い友達が集まる学校に行きたかった」が2人、「世界でも名が知られているから」「合格したらメチャメチャかっこいいから」が各1人。

開成高校は東大合格者数が38年連続日本一。2019年の東大の合格者数は186人。中学の定員300人に高校からの入学組100人が加わり卒業生数が約400人と多いこともあるが、2位の筑波大附属駒場の120人(卒業生約160人)、3位の麻布の100人(同約300人)を引き離している。

東大の安田講堂をバックに記念撮影し、合格を祝う人たち=2017年3月
東大の安田講堂をバックに記念撮影し、合格を祝う人たち=2017年3月

「伝説の運動会」に憧れて

志望理由で次に多かったのが、7人が答えた「運動会や文化祭を見学して」。開成の代名詞とも言える迫力ある運動会や、高レベルの展示や発表が行われる文化祭を見学して、憧れる受験生も多い。

「本校の運動会は団体競技がメイン。全生徒が8組に分かれて競います。人気の棒倒しは、2018年8月に『ニューヨーク・タイムズ』で『注意深く準備された荒々しいゲーム』という表題で紹介されました。総合賞のほか、アーチ賞、エール賞など各賞の表彰があり、組ごとにパンフレットも作成するため、運動が得意な生徒だけではなく、美術、音楽、文学が得意な生徒も活躍できます。生徒の自主性を最大限尊重している名物行事です」。運動会の話になると、自身もOBである柳沢校長の舌は、さらに滑らかになる。

開成OBの間では「運動会でチーム優勝した時の方が、東大合格の時よりも嬉しかった」という「弁」もあるほどだ。アーチは畳24枚分の大きさに、約2カ月間かけて各組が大作を描いた壁画。また、組ごとに応援歌を作詞・作曲し、エールを送る。約100ページのパンフレットにはエッセーなども掲載されており、読み応えがある。アーチ賞とエール賞は来場者の投票で選ばれるため、表彰式は毎年盛り上がりを見せている。

開成運動会の様子(柳沢幸雄校長提供)
開成運動会の様子(柳沢幸雄校長提供)

志望理由で3番目に多かったのは、「部活が楽しそう」というクラブ活動関連の動機で、4人が挙げた。なかでも、「クイズ研究部に入りたいから」と開成を志望する人は毎年少なくなく、今回のアンケートでも、「クイズ研究部に入りたいから」と答えた合格者は、「中学入学後にやりたいこと」では、「クイズをいっぱいやって、高校生クイズに出たい」と回答した。このクイズ研究部は、テレビ番組などで活躍するクイズ集団「QuizKnock」の代表で、開成高校時代に「全国高等学校クイズ選手権」で2連覇した伊沢拓司さんがOBにいることでも知られている。

東大クイズ王・「クイズノックからの挑戦状」はこちら

このほか、「『質実剛健と自由』の校風がよかったから」「柳沢校長先生が好きだから」といった校風の影響、そして「先輩に勧められたから」「周りのみんなが志望したので自然に」「兄も開成だから」「友人に誘われて」といった、先輩や友人、家庭など周囲の影響も大きいようだ。

柳沢校長は、これらの志望理由について、「情報量の多さに比例していると思います」と話す。「東大合格者数日本一は、週刊誌などでも大きく報道されていることもあるのでしょう。ただ、合格実績だけを見て、勉強ばかりしているのでは、と誤解されないよう、学校説明会では自主性を重んじている学校行事や、盛んな部活動のことなどもきちんと説明しています。運動会や文化祭、学校説明会などにぜひ実際に足を運んでいただきたい」

通塾は「小3から」が最多

今回の回答者32人のうち、31人が塾に通っていた。残る1人は、離島に住んでいたため、通信教育だけで合格を勝ち取ったという。

通っていた塾と通塾時期については、表にした。複数の塾に通った人が5人いる。今回、回答者の中で一番多く通っていたのは、「SAPIX」の19人。次いで早稲田アカデミーの6人、日能研の4人。2019年の開成中学の合格者数を見ると、SAPIXが273人、四谷大塚が110人、早稲田アカデミーが103人、日能研が42人(各塾調べ)。男女御三家の塾別の合格実績を見ると、開成、麻布、桜蔭、女子学院、雙葉への合格者数トップはSAPIX、武蔵のトップは早稲田アカデミーだった。

塾に通い始めた時期を聞くと、「小3から」が14人と最も多く、次いで「小4から」が11人。中には、幼稚園の年中からという人や、逆に6年生になってからという人も各1人いた。塾の新学年は4月からではなく、2月からスタートするため、「2月から」が多いが、「4月から」、「夏期講習から」という合格者もいた。

通った塾

通っていた塾名          人数

SAPIX             19人
早稲田アカデミー         6人
日能研              4人
四谷大塚             2人
駿台・浜学園           2人
エルカミノ            1人
グノーブル            1人
ヴェリタスアカデミーロンドン校  1人
(現・早稲田アカデミー) 
なし               1人

 ※複数回答

通塾時期

塾に通い始めた時期  人数

年中         1人
1年生        1人
3年生       14人
4年生       11人
5年生        3人
6年生        1人

勉強が楽しい!? 「繰り返し」「コツコツ」が大事 メロディー暗記法も

偏差値78(首都圏模試)とも言われる開成に合格する子は、いったいどんな勉強法を実践していたのか、気になるところだ。「工夫した勉強法」と「苦手の克服法」を聞いてみた。

驚くことに、「勉強を楽しむことが大事」「メロディーにのせて歌いながら暗記する」などと、楽しみながら勉強したと答えた合格者が3人もいた。実際、いま夢中になっていること、中学入学後にやりたいことを尋ねると、「勉強」「算数(数学)」「図形の問題作り」「数学オリンピック」などと答えた合格者も多い。さすがは天才集団、根っからの勉強好き、あるいはそれが趣味のようになっているということなのだろう。

開成中学で合格親子32組に聞いた! 成功する子の勉強法は? 通っていた塾は? 習い事は?

地道にコツコツという「王道派」も多い。「無理はしない。でも、宿題は頑張って終わらせた」「早朝に勉強。コツコツと反復学習」「逃げずに徹底してやった」など。毎日繰り返し取り組んだ内容としては、「漢字や熟語」「苦手な植物などの分野を見る」「SAPIXで毎日宿題に出される算数の基礎問題集」などがあがった。

間違えた問題の復習も大事で、「間違えた問題の解き直しと分析をしっかりやった」「1週間ごとに間違えた問題をやり直した」という声があった。

「工夫した勉強法」「苦手の克服法」

(自由記入、複数回答)
・暗記事項はメロディ-にのせて、歌いながら暗記
・間違えた問題の解き直しと分析をしっかりやった
・1週間ごとに間違えた問題をやり直した
・国語の記述問題をたくさん解いた
・国語の勉強は最低限にした
・国語は読書、算数は過去問を繰り返し解いた
・早朝に勉強。コツコツと反復学習
・近くに中学受験塾がなかったので、四谷大塚、浜学園の通信教育で学んだ

習い事トップは水泳

合格者は小さいころから、どんな習い事で才能を伸ばしてきたのだろう? 学習塾をのぞいたトップ3は、水泳(12人)、ピアノ(7人)、サッカー、そろばん(各6人)だった。珍しい習い事としては速読、LEGO、中国語などもあった。

リクルートマーケティングパートナーズが実施した2017年の調査「子どもの習い事ランキング」を見ると、1位は水泳、2位は英語・英会話、3位はピアノ、4位は書道、5位は学習塾・幼児教室。合格者のトップ3に入ったサッカーは7位、そろばんは8位だった。

運動系の習い事をしていたのは32人中22人。このうち4人は、中学に入ったらそのスポーツをやりたいと回答していた。

習い事のアンケート結果

習い事    人数
水泳   12人
ピアノ   7人
サッカー  6人
そろばん  6人
将棋    3人
野球    2人
テニス    2人
英語    1人
中国語   1人
バイオリン 1人
書道    1人
茶道    1人
LEGO    1人
速読    1人
ラグビー  1人
乗馬    1人
空手    1人
体操    1人

 ※複数回答

開成に合格した小学6年生男子の素顔。「やはり違う!」と感じるか、「意外と普通」と思うか。後編では、そんな彼らの将来について、調査した結果をお届けする。

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