サピックス広野先生の 知っトクなっトク中学受験

塾の新学年、4・5・6年生の注意点は 中学受験、「限界」に挑んだ経験が財産に

2020.03.09

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広野 雅明
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情報過多の時代の中学受験。大手進学塾サピックスの広野雅明先生が保護者の方々に向け、情報を上手に利用するコツを解説します。

最近では、低学年から進学塾に通うお子様も増えましたが、やはり塾は新4年生から通い始める方が多数派です。低学年から通われる場合も、3年生以下と4年生以上ではシステムなどが異なることが多いです。サピックス小学部では、3年生以下は週に1回の授業、4年生は週に2回、5年生は週に3回と学年が上がるにつれて通塾回数が増えます。3年生の授業は1日に2時間ですが、4・5年生は1日に3時間と授業時間も長くなります。

またカリキュラムも教科ごとに若干の差はありますが、4・5年生で一通り、入学試験に出題される全分野を学習し、6年生では総復習や入試演習、志望校対策をする授業が中心になります。それに対して、3年生までは、先取りよりも、思考力や記述力を伸ばすプログラムが中心なので、ずいぶんと雰囲気が変わります。

塾では2月、小学校では4月から新学年がスタートしますので、今回は学年ごとの注意点を説明させていただきます。

新4年生は書く習慣をつけよう

サピックスでは前述のように新4年生からカリキュラムが大きく変わります。3年生までは一回一回の授業が比較的独立していましたが、新4年生からは今までの学習内容を踏まえ、さらに次に進む積み上げ型のカリキュラムになってきます。また、前回の授業の内容の定着度をみる復習テストも多くなります。単元テストの回数も約1カ月に一度と増えます。3年生までとは気持ちを切り替えての通塾が大事になります。

3年生までは書き込み式の教材が中心ですが、4年生からはノートを取ることが多くなります。書き込み式の教材でも筆算、式、考え方や図などを書かないとなかなか正解できない問題が多くなります。まずは先生の話をよく聞き、板書を書き写し、適宜メモをとる訓練が重要です。中学入試では、長文の記述問題が多く出題されます。算数でも答えだけではなく式や考え方を書かせる学校が多くなりました。このような記述になれるには長い時間が必要です。4年生からしっかり書く習慣をつけることが大事です。

算数ではつるかめ算・過不足算などの典型的な文章題や各種の定番の図形問題も学習します。これらの問題は4年生の発達段階に合わせ、時期ごとに適切な解き方を学びますので、塾で教わった解き方をまずは定着させることが重要です。

国語ではかなりの長文問題を扱うことが多くなります。漫然と読むだけではなく、段落ごとに重要なポイントをつかみながら、主人公・登場人物の気持ちを追うなど論理的に読むことと著者が何を言いたいかをつかむことが重要です。しっかりと先生の解説を聞いたり、教材の解説を読んだりする習慣をつけてください。

4年生からは理科・社会の学習も本格化します。最近は知識量を問う問題は減り気味ですが、それでも知識の習得は必須です。毎回毎回の授業を復習しながら、知識の習得を心がけてください。ただし、単なる暗記ではすぐに忘れてしまいます。家族で旅行した、博物館・動物園に行った、ニュース番組やクイズ番組を見た。そんな日常の生活の中にも大事なヒントが隠れていることが多いです。地図帳や図鑑を手元に置き、わからないことはすぐに調べる。そんな習慣がつくといいですね。

塾の新学年 ○○に注意して良いスタートをきろう

新5年生は基礎を徹底的にマスター

5年生になると急に勉強が難しくなったという声をよく聞きます。4年生までは成績上位だったが、5年生になると成績が下降気味というお子様もおられます。中学受験においては、5年生が学習の土台を作る重要な時期です。

算数では、割合・比・速さ・図形など入試に頻出の分野の学習が本格化します。特に割合や比などの抽象概念を定着させ、使いこなせるようにする重要な時期です。抽象概念は一度定着すると応用がききますが、基礎事項が納得できないとなかなか応用できません。また定着するまではかなり個人差があります。定着することが大切ですので、あせらず時間をかけて基礎を徹底的にマスターすることが非常に重要です。

国語では、文学的文章だけではなく論理的な文章を扱うことも増えていきます。文学的文章も今のお子様にはなかなか想像しづらい異年齢の登場人物、今とは異なる時代背景、違う社会の内容になることがあります。文章にある、著者が言いたいと思っていることが大切ですが、自分の気持ちがどうしても前に出てしまい、なかなか正解できないこともあります。まずは文章に何が書かれているかを正確に読み取ることが大切です。最近のお子様は語彙(ごい)量が少なく、特に感情を表す言葉がうまく使えません。使える語彙量を増やすことや、漢字の計画的な学習も大切です。

理科は4年生と同じ分野でも5年生になると内容が1ランク上です。計算を必要とする問題も増えます。表やグラフを読み取る問題も増えます。単なる暗記ではなかなか問題が解けなくなります。教材でしっかりと学習して基礎を定着させ、練習問題を通して、内容を定着させることが大切です。最近のお子様は自然に触れる機会が少なくなっています。できるだけそういう機会を用意することも大切です。

社会では地理のまとめ、そして徐々に歴史の学習に入ります。1学期の間に地理をしっかり学習しましょう。白地図作業なども5年生の後期以後はなかなか手が付けられません。今のうちにできることをやっておくことはとても大事です。毎日コツコツ少しずつ学習して怠らないようにしましょう。

この時期、反抗期が始まるお子様も増え、なかなか親の言うことを聞かなくなります。また面倒なことをサボりがちな時期です。ときにはお通いの塾の先生にも相談しながら、日々の学習をうまく進めたいものです。またこの学年でついた差はなかなか縮まりません。よくお子様とコミュニケーションをとりながら、ご家族で協力して受験を迎える、そんな前段階にしていただければと思います。

塾の新学年 ○○に注意して良いスタートをきろう

新6年生は1週間の学習計画を

サピックスでは算数・国語・理科は5年生までに一通りの学習が終わっています。社会も公民分野がこれからですが、1学期中には一通りの学習が終了します。お子様により、得意・不得意の教科や分野もあるかと思います。1学期の間にできるだけ不得手な教科・分野の克服を目指しましょう。

まずは1週間の学習計画を立てましょう。小学校の授業や通塾など毎週の予定がほぼ決まっているものを記入します。次に、塾の授業は受講することも大切ですが、受講した後の復習もまた大事です。お子様の今までの様子をよく見て、復習にどのぐらい時間がかかるかを考え、毎週の授業の復習の時間を確保します。サピックスでは、1学期の間は日曜日に授業がありませんので、この時間の使い方も重要です。日常生活で絶対に必要な食事・入浴・睡眠・その他の時間を加味するとあとどのぐらい時間を確保できるか。その時間に前述の不得手な教科・分野の克服の時間をあてましょう。

次に1回の学習時間です。入学試験は1科目当たりの時間が、学校により例外もありますが、40~60分の間に収まるのが大半です。逆に言えば、小学生が一度に集中できる時間もこのくらいだと考えた方がよいです。ですから3時間の学習時間であれば1時間ずつ3教科、間に10分程度の休憩や自由時間を挟む、このような計画の方が長続きします。計画は立てるよりも守ることが大事です。お子様の集中できる時間を考えながら、計画はお子様と一緒に立てるようにしましょう。

次に学習内容です。苦手教科・分野の克服には今まで使っていた塾の過去の教材が本来は最適です。社会の歴史が苦手であれば、今までの歴史の教材を一通り、算数の「比と割合」の単元にミスが増えているのであれば、「比と割合」の教材をもう一度、といった学習がよいと思います。全体的に増えているのであればもう一度、5年生の最初からやり直してみることも有効です。塾でメインの教材とは別の問題集を進めている場合もありますので、これらを使うことも一つの方法です。ただし、別の問題集を使うときは、一度決めたらやりきることが有効です。薦められるがまま多くの問題集を購入しても、ほとんど使わないままたまってしまうということもあります。また塾や問題集により解き方などが微妙に違うこともあり、お子様が混乱してしまうこともあります。別の問題集などに手を付ける際はまずはお通いの塾と相談してみてください。

塾の新学年 ○○に注意して良いスタートをきろう

「限界までやって何かをつかむ経験、限界までやってもつかめなかった経験、この両方の経験が人生では必要だと思います。受験でこの両方を得たことが何よりも今後の財産になるはずです」。これはある保護者の声ですが、中学受験での努力はお子様を大きく成長させます。またここで身につけた多くの知識は中学入学以後も大きく役立ちます。努力することの大切さ、ご家族全員で頑張ることこそが大きな財産になると思います。私ども塾の教師も一生懸命頑張りますので、保護者の皆様もお子様の成功に向けてご協力いただければ幸いです。

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