わが子の受験適齢期

都内の有力中高一貫校、相次ぐ高校募集停止 中学受験シフトに拍車?

2020.03.13

author
柿崎明子
Main Image

東京都内の有力中高一貫校が相次いで高校募集を停止しています。中学受験をしないと、将来の選択肢が限られてしまうのでしょうか?(写真は豊島岡女子学園の高校入試。来年が最後になる=2月11日)

ともに豊島区の進学校として知られる男子校の本郷と、女子校の豊島岡女子学園。本郷は2021年、豊島岡は22年から高校募集を停止し、完全中高一貫校へ移行する。本郷は中学で1クラス分の募集を増やすが、豊島岡は現状を維持するという。大学進学実績を伸ばしている都立の中高一貫校でも、高校に付属中を開設した「併設型」5校(富士、武蔵、両国、大泉、白鷗)が21年から順次、高校募集をやめ、都内全ての公立中高一貫校が完全一貫校化する。

00年ごろから徐々に広がっていた高校募集停止の動きが、ここにきて加速している。その背景に何があるのか。

安田教育研究所の安田理(おさむ)代表は「新学習指導要領の影響が大きい」と指摘する。高校では22年から、「歴史総合」「理数探究」「情報」など多数の科目が新設される。中高一貫校は中学段階で高校分野を先取りしているため、高校募集があるとカリキュラムが中学入学生用と高校入学生用の2本立てになり、現場の負担が重くなる。

本郷の佐久間昭浩校長は言う。「高校2年から中学入学生と高校入学生を混合してクラス編成しており、そのため特に数学では、高校入学生の1年次におよそ2年間分の勉強をしてもらいます。授業確保のために週2回、7時間目を設定したり、夏休みに補習を行ったりしていますが、相当きついと思います」

周囲に流されず適性見極めて

大学入試改革も影響している。21年に始まる大学入学共通テストへの記述問題導入は見送られたものの、国公立大の2次試験などでは思考力や記述力がより重視される。最近は難関大学でも、小論文などを課すAO(アドミッションオフィス)入試や推薦入試を拡大している。こうした動きに対処するには「探究」学習をはじめ、さまざまな体験がプラスになるため、中高一貫の6年間が武器になる。

佐久間校長が続ける。「高校募集をどうするか、最近は毎年のように話題になっていたのですが、背中を押したのが大学入試改革です。6年一貫が新しい入試には対応しやすいと判断しました」

安田代表は高校受験生の動向にも触れる。「中学時代からの人間関係ができあがっている一貫校より、高校で全員が同じスタートラインに立てるほうがいいという思いもある」

有力校の高校募集停止で、中学受験をする児童はますます増えるのだろうか。完全中高一貫校にはもともと伝統校やキリスト教系の学校が多く、その分布は男女、偏差値、地域により偏りがある(表参照)。

安田代表はこう話す。「これからの社会では多様性(ダイバーシティー)が重視されるようになるから、いろんな子がいる公立中学で過ごさせたいと考える保護者もいる。まわりに流されるのではなく、わが子の精神年齢、学力の伸び具合、適性を見極めて、中学受験をするか高校受験をするか判断すべきだろう」

※関連記事「海城、浦和明の星女子、成城…完全一貫校化でこう変わった」はこちら

首都圏の主な完全中高一貫校

Latest Articles新着記事