子どもの健康・成長

「短時間集中」がポイント! 朝学習で1日の学習効果をアップさせる方法

2020.03.10

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有馬 ゆえ
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早寝、早起きが健康面にいい影響を与えることは、よく知られています。教育クリエイターの陰山英男さんによれば、早起きをして登校前に学習することが、成績向上のカギになるそう。陰山さんに、朝学習のメリットと親子での取り組み方について聞きました。

話を伺った人

陰山英男さん

陰山ラボ代表、教育クリエイター

(かげやま・ひでお)
小学校教諭時代に、反復学習で基礎学力向上を目指す「陰山メソッド」を確立。「早寝、早起き、朝ごはん」を軸にした生活改善とともに、多くの児童の学力を伸ばしてきた。現在は、全国各地で学力向上アドバイザーを務めるほか、神奈川、埼玉、京都で「陰山式スコーラ」を開校。「徹底反復」シリーズ(小学館)、「早ね早おき朝5分ドリル」シリーズ(学研プラス)などのベストセラーを持つ。

朝学習で頭のエンジンをかければ、午前の学習効率が上がる

――現代の小学生は夜型化していると聞きます。陰山さんは「早寝、早起き、朝ごはん」を提唱されていますが、勉強は朝と夜、どちらにするのが効率的なのでしょうか。

もちろん朝です。朝の勉強で登校前に頭のエンジンをかけておくと、その日の学習効率を上げることができるのです。

学校の主要な授業は、だいたい朝の4時間。つまり、午前中の4時間でいかに集中するかが、成績を左右するのです。

始業時刻の8時半ごろにすでに頭が働く状態になっていれば、午前の授業にしっかり取り組むことができ、成績向上につながるでしょう。

――朝、学習の時間を取りたいからといって、睡眠時間をおろそかにするのもいけませんよね。

脳科学研究で知られる川島隆太先生らの研究によれば、子どもの読書時間、勉強時間、睡眠時間と学力の相関関係を見ると、学力向上のために重要なのは圧倒的に睡眠時間なのだそうです。

小学生ならば、少なくとも1日に9時間は睡眠時間を取り、そのうえで何に時間を使うかを調整していったほうがいい。21時か22時には眠るのが理想です。

余談ですが、東大生は夜更かしをしない人が多いそうです。就寝時間を聞くと、10人中8~9人は「23時」と回答するんですよ。皆、受験期でも変わらなかったと言います。

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朝学習は「短時間に集中すること」がコツ

――学習効率を上げるには、朝はどんなスケジュールで過ごすのがおすすめですか?

起床時間は、登校時間の1時間前。7時半に登校するなら6時半には起きてほしい。前日の就寝時間は21時半ということになりますね。

起きたあとは、洗面をして、朝学習をして、朝ごはんを食べて、身支度をして、家を出るというスケジュールをおすすめします。

朝食の摂取と学力調査.png
出典:平成31年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査

頭を働かせるためには、朝ごはんもマスト。朝食を抜くと学力が低下するというのは、文部科学省の「全国学力・学習状況調査」をはじめ、多くの調査で報告された事実です。

――勉強時間はどれぐらい取るべきですか? また、どんな内容が向いているのでしょうか。

時間は10分、15分程度。内容は、短時間でパッとできるものがいいですね。教科書をさらっと読んで、その日の予習をしておくだけでも十分効果はあります。

もっともおすすめなのは、百ます計算や音読。漢字や地理、歴史などの暗記も向いています。ポイントは、集中してスピーディーに行うこと。

ストップウォッチを使い、計算や音読なら、同じ内容、同じ難易度で毎日、最短記録を狙いましょう。暗記物ならば、5分、10分で覚えて、すぐにテストをする。こうした学習法は脳の血流を良くし、頭の回転を速めていきます。

ストップウォッチ.jpg

――短時間に集中することが大事なのですね。

そうですね。ですから保護者は、集中を欠くようなことをしてはいけません。集中して勉強が早く終わったら、「好きなことをすれば?」と言えなければいけない。追加で勉強をさせるなんて、絶対にダメです。

「15分でこれだけの量がこなせるようになった!」「1週間前よりも短い時間でできるようになった!」。子どもがこうした喜びを獲得できるようになれば、学力はおのずと上がっていきます。

そもそも私は、勉強とは集中するトレーニングだと思っています。学力向上の肝は、一定時間あたりの学習作業量を上げることにあるからです。

東大に行くような子どもたちは、「どれだけ長く勉強するか」ではなく、「一定時間内でどれだけの勉強ができるか」という意識を持っています。だから、誰より学習量をこなしているのに、23時に寝て十分な睡眠時間を確保できる。同時に、寝不足で勉強する非効率さも知っているわけです。

保護者は朝時間のルーティン化のサポートを

――保護者は、子どもの朝学習をどうサポートすればよいのでしょうか。

保護者がすべきなのは、生活習慣作りです。これは学習習慣作りと同義であり、時間管理と言い換えることもできます。

朝であれば、朝に何をするのか、それぞれにどれぐらい時間がかかるのか、どんな順番で取り組むのか。これらを子どもと話し合いながら、朝の時間の日課表を作らせてください。できるだけルーティン化するのがコツです。

日課表ができたら、毎日その通りに動くこと。毎日のルーティンが決まっていれば、子どもは自分から動くことができます。保護者は、思いつきであれこれと口を挟まないこと。子どもが混乱して何をしていいのかわからなくなってしまいます。「早くしなさい」などと追い打ちをかけたら、パニックですよ。

日々のルーティンが定まってきたら、子どもは自ら時間の使い方を応用できるようになります。子どもの時間管理能力って意外と高いんですよ。自立心を養うのにも役立ちます。

――朝食については、何か気をつけるべきことはありますか?

昨今、食事のとり方や内容が、身体能力だけでなく精神面にも影響するといわれるようになっています。

気をつけたいのは糖質の量。過度に意識する必要はありませんが、忙しいと炭水化物や甘いおやつなどの糖質が多くなりがち。全体的に糖質をやや控えめにし、代わりにたんぱく質を意識しつつ、栄養バランスを整えていくといいと思います。

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子どもは保護者の早寝を見て、早寝になっていく

――子どもが早起きをするのであれば、保護者も早起きをした方がいいでしょうか。

その通りですね。子どもに早寝、早起きをさせたいなら、まず保護者が早寝、早起きをすべきです。

子どもは保護者の背中を見て育つもの。読書好きにしたいなら、保護者が読書漬けになればいい。百ます計算を一緒にやるなら、「朝、百ます計算をしたら午前の仕事がすごくはかどった」という話をした方が熱心に取り組むようになりますよ。

ただ、保護者が子どもの勉強に付き合う必要もないですよ。一緒に起きて自分のしたいことをすればいいと思います。保護者は時間管理、学習管理をサポートする必要はありますが、つきっきりはかえって子どもの自主性をそぎます。

――子どもの時間管理を考える際、気をつけるポイントはありますか?

子どもにも休養がいるということです。最近の子どもは、土日まで忙しいのが普通ですよね。理想を言うならば、習い事は週3日まで。理由は疲れてしまうからです。

子どもって、起きている間は疲れていても動くことができてしまうんです。だから、大人は彼ら、彼女らが元気だと錯覚する。でも実際には疲れ切っているから、ある日突然、ぷつんと切れて不登校になってしまったりするのです。

休日ぐらいは体を休める時間、また保護者とゆっくり話のできる時間を取り、心身ともに休養させてあげてほしいですね。土日に心身をリフレッシュさせられれば、平日の学習意欲も上がるはずですから。

(撮影:辰根 東醐 編集:阿部 綾奈/ノオト)

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