わが子の受験適齢期

大阪の伝統校校長が公立高進学のススメ「養われた人間力が伸びしろに」

2020.03.17

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玉置太郎
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公立高校から難関大学を目指す生徒もたくさんいます。公立高の魅力はどんなところにあるのでしょうか。大阪府で125年続く進学校、府立三国丘高校の浜崎年久校長(58)に聞きました。(写真は大阪府立三国丘高校の校舎=同校提供)

話を伺った人

浜崎 年久さん

大阪府立三国丘高校校長

(はまさき・としひさ)1961年生まれ。大阪市立大卒、畿央大大学院修士課程(教育学)修了。大阪府立高校数学科教諭、府教育庁高等学校課参事などを経て現職。

――三国丘高校はどんな学校ですか?

堺市の中心部にあり、今年で創立125年を迎える公立の伝統校です。約1千人の生徒のほぼ全員が京都大、大阪大などの国公立大を中心とした大学進学を目指します。

――授業にはどんな特色がありますか?

2017年度から文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールの指定を受け、取り組みの一環として「Creative Solutions」(探究型学習)の授業に力を入れています。1年次にインターネットなどでの情報収集や論理的な思考の方法を学び、2年次から自分が見つけた社会的、科学的な課題を研究します。発表の場も設け、課題を自ら設定して解決し、発信する力を養います。

英語の授業では4技能(読む、聞く、書く、話す)すべてを伸ばすため、環境問題など国際的課題に関する英文記事を読んで要約し、討論します。卒業生からは「大学の英語でのゼミでも臆せず話せた」という声をよく聞きます。

――授業以外での独自の取り組みは?

授業で培った基礎力を生かす海外研修にも力を入れています。希望する2年生約30人が毎年、米国の航空宇宙局(NASA)やフロリダ工科大を訪れ、体験学習をします。研修は、宇宙飛行士の土井隆雄さんが本校の卒業生というご縁もあり、実現しました。

また、卒業生同窓会の援助を受けて、米国とフィリピンの大学での研修にも毎年、合わせて数十人の2年生を派遣しています。現地の大学生と交流しつつ、環境問題の解決や途上国支援につながるビジネスプランを練り上げ、現地の教授陣に批評してもらいます。

大学進学に向けては、1年生全員が京都大を見学に訪れ、希望者は東京大などへのツアーにも参加します。ここでも、本校の卒業生である現役教授らが模擬講義などを行い、受験に向けたモチベーションを高めてくれます。

――公立高校の魅力とは、なんでしょうか?

公立高の魅力は、これまで述べたような学習面だけにあるのではありません。公立高では生徒らが比較的同じカリキュラムで学びますので、自分の入試には直接関係のない科目や、部活動、文化祭や体育祭といった行事にも全力で取り組み、楽しんでいます。

また、地域に根ざした教育も公立高の魅力の一つです。私が以前、校長として赴任した公立高は、その自治体にある唯一の高校でした。地元の人々が学校の活動に惜しみなく協力してくださり、休耕田を借りて生徒みんなでひまわりを栽培したこともありました。

そんな幅広い経験や人間関係の中から、入試に対応する学力だけではない、人間の力が養われていく。その力が、大学や社会へ進んだ時の、一人ひとりの「伸びしろ」になると感じています。

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