わが子の受験適齢期
人気の「付属校」、入りやすいのは高校から!? 5つのうわさはウソ? ホント??
2020.03.16

定員厳格化により大都市圏の私立大受験が難しくなり、内部進学できる付属中高の人気が高まっています。よく耳にする五つのうわさは本当なのか、取材しました。(写真は早稲田中の第1回入試=2月1日)
Q1 授業料が高い?
早稲田、慶応義塾、MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)の付属・系属校の場合、入学金と中学3年間の授業料などの合計は260万〜340万円、高校は260万〜320万円ほど。早大学院中と慶応湘南藤沢の中高は380万〜390万円と高めだ。高校で比べると、一般の私立進学校では開成が240万円、渋谷教育学園幕張が230万円。東京都立高校は36万円、国立の東京学芸大付属は112万円。やはり付属校は割高だ。ただし、塾・予備校講師で「早慶MARCHに入れる中学・高校」(朝日新書)の共著もある武川(たけがわ)晋也さんによると、大学受験のための予備校は現役生で年間80万円、浪人で120万円ほどかかるので、「トータルで考えれば必ずしも付属校が高いとは言えません」。
Q2 高校からのほうが入りやすい?
武川さんによると「小学校から大学までで一番入りやすいのは高校から」。小学校は学校によっては10倍を超える競争倍率。中学受験も高い学力層の中での熾烈(しれつ)な競争となる。一方、高校受験は成績上位層が中学受験で抜け、幅広い学力差の中での戦いとなるので、合格圏を比較的狙いやすい。「大学受験は、入学定員の厳格化で難易度が上がっている。早慶MARCHを狙うなら、小中は公立で高校から付属校に入るのが一番お得」(武川さん)
Q3 留年が多い?
慶応義塾高出身の慶大1年生によると、同高では1学年約700人中20人弱が留年するという。2回続けて留年すると放校になるが、「最長5年かけて卒業したツワモノもいます」。ある母親いわく「保護者会で渡される成績表に『要面談』とあると、危ないよという警告です」。付属校に多くの生徒を送り出した武川さんによると「慶応義塾高は例外。他の付属校は特に多くはありません」。
Q4 塾通いは不要?
医学部進学を希望する場合を除けば、基本的に塾通いは不要。ただし、留年回避や、希望学部の推薦枠に入るために内申点を上げる目的で、内部生専門の塾に通う生徒もいる。
Q5 大学に100%内部進学できる?
慶応の付属校の場合、原則として、全員が内部推薦を受けて大学に進める。内部進学率は90%台後半。医学部はトップクラスでなければ推薦されないので、「何がなんでも医学部」という生徒は他大学を受験するケースも。早稲田の付属・系属校も内部進学率は慶応と同程度だが、例外は早稲田高で、卒業生の半数しか早大に進まない。同高は「東大や慶応、一橋に多数の合格者を出しており、早大に半数しか行けないのではなく、行かないのです」(武川さん)。MARCHも内部進学率は高い。一番低いのは青学で80%台前半。他大学への進学志向が意外と強い。
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