新型コロナ、学校どうなる

コロナの影響、大学入試にも 国公立の後期、中止や変更の動き

2020.03.09

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増谷 文生
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新型コロナウイルスへの対応で、一部の大学では、後期日程の入試を中止したり試験内容を変えたりという影響が出ています。変更しない大学も、試験会場での感染予防対策に追われそうです。後期試験で進路が決まる受験生は、念のためホームページなどで確認したうえで試験に臨むのが良いでしょう。

Q 新型コロナウイルスの感染拡大によって、大学入試にも影響は出ているのですか?

(増谷)国公立大学の多くは、1月中盤の大学入試センター試験を1次試験とし、その成績と、2次試験(個別試験)の成績を組み合わせて、合格・不合格の判断をしています。12日から国公立大学の2次試験の後期日程が始まりますが、一部で中止したり、試験の内容を変更したりするケースが出ています。

受験生を集めて学科試験や面接などを行うことで、受験生や職員が感染するリスクが高いうえ、各地から受験生が集まるため、感染を各地に広げるリスクもあります。

また、北海道大は職員の感染が確認され、対応を検討してきました。結果的に後期試験の中止を決め、センター試験の成績のみで合否を決めることにしました。12日に配点を公表し、20日に合格者を発表するとのことです。

Q 中止や変更の対応は全体の中で多数と言えるのですか。

(増谷)後期日程の入試は141の国公立大学で予定しています。このうち、9日正午現在で私たちが把握している限り、中止を発表しているのは北海道内を中心とする8大学ですので、多数派とはいえません。

また、入試を実施する多くの大学でも、感染対策として、受験生にマスクの着用や手洗いの徹底を求める、筆記試験の座席の間隔を広くとる、休み時間に換気をするといった対応をするようです。

後期入試の中止や変更を発表した主な大学

大学名 種別 対応
北海道大 国立 学力検査や小論文などを中止
旭川医科大 国立 学力検査や面接を中止
帯広畜産大 国立 小論文と面接を中止
北見工業大 国立 学力検査を中止
北海道教育大 国立 面接や実技検査を中止。一部で実技の動画・写真の提出に変更
高知大 国立 小論文と面接を中止
山形県立米沢栄養大 公立 面接を中止
埼玉県立大 公立 小論文と面接を中止

Q 一部とはいえ、予定していた入試を中止するとはおおごとですね。

(増谷)中止といっても、後期試験の志願者全員を不合格にするわけではありません。北海道大のように既に終わっているセンター試験の成績で合否を決めるところや、高校から提出されている調査書の内容も判断材料にするところ、などがあります。

とはいえ、1次試験の出来がいま一つで、2次試験の後期日程にかけていた受験生らからは、突然の中止に落胆したり、なげいたりしている声が聞かれます。

ネット上でも、「人生が変わってしまう」「やめてくれぇ」「発表まで外でないから...せめて受けさせて」「逆転を狙っていた受験生は気の毒」といったつぶやきが上がっています。一方、「センター良かったから、とりあえず浪人回避」「もう勉強しなくていい」と喜ぶ声もありました。

Q 2次試験の後期日程は、どのくらいの受験生が受けるのでしょう?

(増谷)今年は前期に約24万人、中期に約3万人、後期に約17万人が志願しています。ただ、前期で合格したり、私立大に合格したりして、実際には後期を受験しない人が多いのが実情です。

前期では学科試験のみを課す大学が多いのですが、後期は面接や小論文などを活用する大学が目立ちます。一般的な学科試験では測ることができない要素を重視し、前期とは別の特徴がある学生を入学させたい、と考える大学が多いためです。

Q 中止以外にはどのような対応がありますか?

(増谷)試験の内容を変更して対応する大学もあります。例えば、北海道教育大学の岩見沢校。芸術・スポーツ文化学科の音楽文化専攻と美術文化専攻では、面接と実技を実施しない代わりに、演奏している様子の動画や制作した作品の写真などの提出を求めています。

ちなみに、両専攻以外の北海道教育大学の後期日程は、センター試験の成績や調査書などをもとに合格・不合格を判定します。

私立の東京都市大学が14日に実施する入試方式では、受験生同士の濃厚接触のリスクが高いとして、グループディスカッションをやめ、代わりに小論文を書いてもらうことにしました。その場で示された資料や文献を読んで論を組み立てるため、小論文でもディスカッションと同じように、「思考力・判断力・表現力」や「主体性」を測ることができると判断したということです。

Q これまで、大学入試が直前でこんなに変更された例はありますか?

(増谷)東日本大震災の発生翌日の2011年3月12日は、国公立大で2次試験の後期日程が予定されていました。しかし、東北や関東の大学を中心に、中止が相次ぎました。駿台教育研究所の石原賢一・進学情報事業部長は、この時の経験があるため、後期日程を中止した後にどのように対応すべきか、方法がわかっている大学は、決断しやすかったのだろうとみています。

Q 全国一斉にやめることはしないのですか?

(増谷)国立大学の振興を目的とした国立大学協会は、大学入試改革の際などには各大学が参考にできるようにガイドラインを示しましたが、今回はそうしたものを作る予定はないそうです。東日本大震災後と同じように、各大学がそれぞれの地域の感染状況などをみて、判断するべきだとの考えです。

Q 受験生は、どんな点に注意したらいいですか?

(増谷)新型コロナウイルスをめぐる状況は刻々と変化しています。北海道大が12日に予定していた後期日程の中止を発表したのは6日。本番のわずか6日前です。

大学側は受験生に中止の連絡をしていますが、混乱している可能性があるため、100%漏れがないとは言えません。自分が受験予定の大学が中止をしていないか、念のためホームページなどで確認するようにしましょう。

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