変わる英語教育 能力を伸ばすコツ

「小さな恋のメロディ」「ライムライト」……名画で伸ばす英語力 皮膚感覚身につけよう

2020.04.10

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EduA編集部
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心に届く、生きた英語を学べる教材の一つが映画です。公立中学校で30年以上、映画を使った授業を実践している英語教諭の能勢英明さんは「“皮膚感覚”で言葉を習得できる」と話しています。

優れた映画はストーリーが面白く、生徒の興味・関心を引きつけます。映画のシーンを確認しながら、その場面にあった自然な英語を目と耳の両方からインプットできるのがメリットです。

言語学習に音読は不可欠です。授業ではシーンを確認して、セリフの音読をします。登場人物に感情移入できるので「この表現、使ってみたいな」という気持ちも芽生え、生徒の主体的な活動につながります。いわば“皮膚感覚”で言語能力が高まるのです。どんな場面や状況で使われているかわからないまま、感情移入なしで音読・暗唱をしても言葉は身につきません。

上達のキーワードは「動機付け」です。それができれば、生徒は自分で伸びていきます。気に入った映画を選んで、役者になりきって話す「演読」を勧めています。実際に自宅で家族と映画を見ながら実践している生徒もいます。

授業で使う「小さな恋のメロディ」は1・2年生で全編見せています。仮定法や現在完了は3年生でおさらいします。主人公のダニエルは生徒たちと同世代の男の子。「もうすでに1週間愛しているんだから」のセリフがおませですね。ビージーズの挿入歌も美しく、歌詞は2年生でも半分ぐらいは理解できます。

チャプリンの「ライムライト」も使います。あらすじを理解して、セリフの文構造を学び、最後にセリフを自分で話します。老コメディアンが「宇宙にある力を思い浮かべてみて。同じ力があなたの中にもある」と励ますシーンがあります。私は高校受験を控えた生徒へのメッセージの意味を込めています。このセリフを覚えていて「入試で励みになった」と話してくれた卒業生もいます。

映画セリフ

日本語ができる子は「後伸び」する

社会科の授業とタイアップしたこともあります。たとえば、「オーストラリア」という映画は、オーストラリアの先住民のことや日本との関係などが学べます。この映画をきっかけにオーストラリアの地理や歴史を自ら深く学んだ生徒もいました。こうした他教科とのコラボは生徒も興味を持ってくれます。

小学校の3・4年生から外国語活動が始まり、5・6年生は教科になりますね。

早期教育のメリットは発音がよくなることです。きれいな発音が称賛される風潮がありますが、気をつけたいのは、相手に伝えるためには発音よりも、話す内容の方がずっと大切だということです。日本語なまりのある英語でもしっかりと自分の考えを話せば相手は真剣に聞いてくれます。母語である日本語の力をつけて言葉のニュアンスを感じ取る力と自己表現力をつけることが大事です。

私の経験上、日本語の言語能力が高い子は中学校から本格的な英語の学習を始めても、小学校で英語が得意だった子を追い抜いていきます。そんな中から中学生で英検2級をとって卒業していく生徒が出てきます。現任校で毎年8人程度(1クラスで2〜3人)いますが、この子たちの共通点は読書好きで、国語力が高く、そのほとんどが新聞を読んでいます。

話を伺った人

能勢英明さん

大阪市立本庄中・英語科主務教諭

(のせ・ひであき)
映画を使った授業を公立中で30年以上実践している。「映画英語アカデミー学会」会員。

おすすめ英語映画を紹介 名セリフを覚えて話そう

いい映画には、思わず話してみたくなる珠玉のセリフが出てきます。リスニングや音読がずっと楽しくなります。英語教師や学習者からなる「映画英語アカデミー学会」では毎年、最新DVDのなかから英語学習に適した作品を会員投票で選考し、発表しています。過去5年の受賞作品を部門別に紹介します。

 

映画英語アカデミー賞受賞作品(過去5年)   

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(出典:映画英語アカデミー学会)

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