発達凸凹の子の中学受験

発達障害の息子、中学受験でサクラ咲く!? その勉強法の秘訣は?

2020.04.07

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なないお
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自閉症スペクトラムの息子が兵庫県の名門・灘中学校に合格したものの、結果として地元の公立中高一貫校への進学を決めたブロガーのなないおさん。受験勉強の方法も試行錯誤の連続でした。その結果、たどり着いたのは「何をどこまで切り捨てるか」の見極め方でした。

発達障害のあるお子さんの中学受験を考えていらっしゃる方も最近多いと伺います。 

うちの子供たち、ADHDと自閉症スペクトラムを持つ娘、同じく自閉症スペクトラムを持つ息子も中学受験を経験し合格いたしました。公立中高一貫校にどちらも通っています。

決して、発達障害を持つから中学受験をしたほうが良いという話ではありません。

お子様に合う環境を求めて受験を考えていらっしゃる方に、我が家の体験談が少しでもお役に立てればと思っています。

発達障害児といえどもタイプは様々。同じやり方が通用するわけではありません。

私も2人の受験を通して、サポートのやり方を失敗しながら考えてきました。

娘は新中学3年生。我が家は経済的な余裕がなく、通塾なしで季節講習と家庭学習で受験しました。思春期に差し掛かった注意の「飛び散る」子に親が勉強を教えるのは至難の業。結局親子関係にひびが入ってしまい、支援機関に入ってもらって修復することになってしまったのでこれは全くおすすめはできません。

コツコツと自学できるお子さんなら向いているかもしれませんが、うちの子はどうもそのタイプではありませんでした。たまに通塾なしで難関校に合格されたお話も聞きますが、自ら進んで学習できること、親も余程の手間ひまをかけられること、これらがそろわない限りは難しいのではないかと思います。うちにはどちらもありませんでした。しかし娘は運良く第一志望校を一つ受けただけで合格することができました。

無理させないことが一番大事

息子は塾で特待生枠をいただくことができたので、大手中学受験塾に通わせていました。

娘はバイタリティーあふれるタイプですので多少の無理はききましたが、息子は全く逆で、過敏でとても疲れやすいタイプ。体力もありません。ハードな中学受験塾と学校を両立させるには周りのご理解と調整が必須でした。

おかげさまで本人の力を存分に発揮することができて、その結果、息子は灘、開成を含め受験した七つの学校全て合格をいただきました。7校は特待生となる条件として、受験したものです。実際に通うのは第一志望の公立中高一貫校です。

発達凸凹の子の中学受験

「キャパオーバーをさせないこと」

これは同じく発達障害児を育てる先輩に教えていただいた、大切なポイントでした。

発達障害児を育てるにあたって一番気にしているのは、二次的な精神障害をできるだけ避けること。子供であっても環境や状況次第ではうつなどを発症してしまうケースは多いのです。特に発達障害を持つと日常的にストレスは多く、リスクは高いと言われています。

どれだけ有名校に受かろうが、希望する学校に入れたとしても、二次障害を抱えてしまえば生きづらさはさらに大きくなってしまいます。どんな学校に合格するかよりも、本人が3年間、一貫校なら6年間、大きな無理なく通えること、卒業できそうな学校を選ぶこと。発達障害を持つお子さんが一般の公立中学から高校受験される際も同じことをよく言われます。目指すのは卒業です。

発達障害を持つ子供でも、そのキャパシティーには個人差が大きくあります。

どこまで無理がきいて、どこから切り捨てるか、この調整は小学生なら親がしてやらねばならないことですし、見極めが大変難しいところだと思います。

発達障害は目に見えぬ障害。できないことでも頑張ればできる時もあるけども、それは彼らにとって全力疾走であり継続はできません。でも周りはついついできる時を基準に頑張らせてしまいたくなります。

子供の状態を観察しサインを見逃さないこと。キャパオーバーしているかもしれないと思えば休息を最優先にすること。これは一番身近である保護者にしかできないことです。

塾の宿題はパス、休むことに集中

実際にどのような調節をしてきたかですが、息子の場合は支援学級に在籍していたこともあり、学校の宿題は国語のみ、かつ少量にしてもらい授業の空き時間にすませていました。

疲れがたまっているなと思えば特に病気でなくてもたまに学校を休ませたり、午後から登校させたりしていました。調子の悪い時は交流学級(普通学級)に行かず、支援学級で静かに過ごさせてもらいました(調査書のある学校は出席日数も関係してくるのでその点は注意が必要です)。

塾は5年生になってから通塾する曜日が格段に増えたので、塾の宿題はほぼパスさせてもらいました。塾にも自閉症を持っていることや子供の特徴は伝えていましたので、ご理解はいただけていました。無理をしないことでかえって塾の授業は集中して勉強できたのかもしれません。灘や開成などの難関校を受験するため塾の授業時間も別枠があり、日曜日は朝から晩まで長時間です。

家ではとにかく休ませることのみに集中しました。

普段は塾で帰宅が夜の9時ごろ。そこから夕飯を食べてお風呂に入れば寝るのは11時近くになってしまいます。ゆっくり食べる子なので塾弁ではなくおやつだけ持たせていました。家で丸一日自由に過ごせるのは週に一度だけ。もともと睡眠障害があり寝つきが悪いので、児童精神科でお薬の調整をしてもらっていました(子供なので睡眠薬ではありません)。

実際に家では、睡眠時間の確保、その他の時間は好きなことをさせていただけです。これは受験期もずっとその調子でYouTubeとゲームばかりで過ごしました。受験生なのに遊んでいたわけですが、これが彼の充電なのです。充電が切れたら動けなくなってしまいます。

自分の好きなことをする時間、ストレス発散のはけ口を何か持つことはどんな人でも必要なことかと思います。ただ、キャパがとても小さい息子はそれが多めに必要だと判断しました。

発達凸凹の子の中学受験
YouTubeの動画で勉強する4歳ごろの息子

少し余裕があるなと思う時は、塾テストの見直しだけを時々させました。既に点が取れているところは理解できているのでやる必要はありません。点が取れていないところが伸びしろです。最小限の負担でやるには、これが一番効率が良いと思いました。

塾での成績は6年生の最初は余裕があったのですが、そのうち他のお子さんたちがどんどん本気を出して追い上げてきました。家でほぼ何もしていない息子の成績はじわじわと下がり気味に。正直親としては内心焦りは出てきます。でもそこはぐっと堪えて、あまり成績を見ないようにしていました。どういう結果になろうとも、息子を潰さずに受験を最後まで駆け抜けることを優先しました。

私の住む地域では中学受験シーズンの開始が11月からととても早く長いので、調査書の出席日数が関係なくなる1月から受験が終わる2月初旬まで丸1カ月学校を休みました。たくさん受験すること、本人の体力がなく本番前には十分に休ませたいこと、インフルエンザなどで本番に体調を崩さないためです。これは学校に相談してご理解いただいていました。

我が子の味方を増やす

周りの皆様のご理解もありなんとか環境調節がうまくいき、無事すべて合格で中学受験を終えることができましたが、最初からうまくいっていたわけではありません。その都度、子供の特性や調子を見つつ、迷えば主治医の先生や支援者さんなどの専門家、塾や学校の先生などと様々な相談をしながら決めていきました。

私はシングルマザーですが、子供は決して一人で育てられるものだと思っていません。大きくなるごとに社会から影響を受け、先生方などいろんな人の手を借りて共に育てて行ってもらっているものだと思っています。まして発達障害という困難を抱えているならなおさら、子供の味方になってくれる人をいかに増やすかは重要になってくるかと思います。

どんなに言葉を尽くしても理解していただけない方も世の中にはもちろんいますが、少しでも味方を増やすには、親の対応にかかっている部分は大きいかと思います。その辺りも数々失敗しながら交渉のポイントを学んできました。

「うちの子は⚪︎⚪︎だから⚪︎⚪︎してください」ついやりがちな交渉です。

最初からこうしてほしいとストレートに要望せず、こういう子でこういうことで困ってるんですが何か学校でできる策はありませんか?と先に聞いてみる方がいいですね。相手はプロですから敬意を払う意味と本当にいろいろ策が出てくる場合があるので。

一緒に子供を育ててくださっているパートナーとして感謝やねぎらいの言葉を必ず添えることも大事かと思います。今まで私の子供に関わってくださった皆様に、本当に感謝いたします。これから中学受験を目指す発達障害を持ったお子様たちも、力が存分に発揮できる学習環境に巡り合えますよう願っております。

このような学校との交渉や情報収集のポイント、発達障害児の子育て、中学受験などについて、今後もコラムで書いていく予定です。

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