大学合格者ランキング2020 今年伸びた高校

京大では公立名門高が復活 北野・天王寺のワン・ツーは43年ぶり

2020.04.13

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安田 賢治
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新型コロナウイルスの感染が広がるなか、2020年度の大学入試が終わった。今年はどんな高校が躍進したのか。大学通信の安田賢治常務が、大学・カテゴリーごとに「ランキングのツボ」を解説する。

京大合格者数トップは、3年連続で大阪府立の北野だった。昨年より合格者は28人増えて100人。京大合格者数の1位が3桁になるのは、2009年の洛南(京都)の105人以来11年ぶりだ。2位も大阪府立の天王寺で、昨年より29人増えて76人。この北野、天王寺のワン・ツーは、1977年以来43年ぶりになる。公立名門高の復活だ。

大阪府では2011年から、大学合格実績の高い府立高10校で普通科に文理学科を併置した。当時、大阪には学区があったが、文理学科は専門学科になり、どこからでも出願できた。大学進学に力を入れる学科で人気が高かった。16年から北野と天王寺は普通科を廃止し、文理学科に一本化。今年はその2期生が卒業し、実績がさらに伸びた。「優秀な生徒がこの2校に集中した」と地元塾の関係者はみる。残りの8校も18年から文理学科に一本化されている。

北野、天王寺以外にも、各地の公立名門高の躍進が際立っている。奈良は22人増えて53人となり、10年ぶりにトップ10入りだ。神戸は11人増えて34人、愛知の明和は15人増えて29人となった。私立では、東大で躍進した奈良の西大和学園が、京大も18人増えて52人となっている。

公立高に押される私立の中高一貫校だが、その理由のひとつに医学部人気の高さがある。医学部人気は全国的になお高いが、特に西日本の中高一貫校で目立つ。京大の理系学部より、他の国公立大の医学部を狙う受験生が多いと見られ、京大合格者が増えないようだ。ちなみに、京大医学部医学科に合格している顔ぶれを見ると、トップが灘(兵庫)の24人、次いで東大寺学園(奈良)11人、甲陽学院(兵庫)9人、洛南8人と、私立の一貫校が続く。2人以上合格しているのは16校あるが、そのうち公立は北野3人、宮崎西2人の2校だけだ。他の14校はすべて私立の中高一貫校だった。

東京圏でも京大人気高まる

京大の「全国化」も進んでいる。近畿2府4県からの合格者が占める割合は、10年前の54.4%から今年は50.6%に下がった。一方、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)からの合格者は10年前の6.7%から13.0%にアップしている。山中伸弥教授がノーベル賞を受賞後、東京圏からの志望者が増えたようだ。東京圏で合格者最多は東京都立の西で21人。東大には20人だから京大合格者のほうが多い。同じく都立の国立(くにたち)が16人で、東大も同じ16人だ。国立は夏に京大見学ツアーを実施し、40人が参加した。山極壽一総長の母校であることも影響しているのかもしれない。次いで麻布(東京)と湘南(神奈川)が14人、渋谷教育学園幕張(千葉)13人、開成(東京)12人など。東京圏で京大人気が高まっている。

※次のページから京大合格者数「1人まで」全高校ランキング。

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