休校延長の今こそ読みたい本

立命館アジア太平洋大学学長・出口治明さん ウイルスは生物界の「大先輩」 パンデミックは必ず終わる

2020.04.20

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山下 茂
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世界的に新型コロナウイルスの感染が広がり、全国で休校措置を延長したり、授業日や授業時間を減らしたりといった動きが出ています。EduAで連載を執筆いただいている方や教育に関わる識者の皆さんに「休校延長の今こそ読んでほしいお薦めの本」を紹介してもらいました。

話を伺った人

出口治明さん

立命館アジア太平洋大学(APU)学長

(でぐち・はるあき) 1948年生まれ。日本生命を経てライフネット生命を起業し上場。国際公募で選ばれ、2018年より現職。著書に「哲学と宗教全史」「全世界史(上・下)」など。

我らホモ・サピエンスは誕生してわずか20万年、対するウイルスは数十億年の歴史を持つ生物界の大先輩。英国の生物学者リチャード・ドーキンスがツイッターで語ったように、パンデミックは自然現象ですから人間にはコントロールできません。でも、いつか必ず終わります。終わった後に何が起こるか。14世紀のペストはルネサンスを生みました。

今回も企業ではテレワーク、学校ではオンライン授業が進んでいます。APUでもテレワークに加えて政府の休校要請を受け、子連れ出勤を可能にして対応しました。パンデミックが終わると、世界や日本のITリテラシーは間違いなく上がるでしょう。人間はどんなことにもチャレンジできる。グローバルな信頼と連帯がウイルスに勝つ鍵です。

子どもたちも、閉じこもっているばかりではなくて、時には近所を散歩して、たくさんご飯を食べてぐっすり眠って、ふだんはなかなか読めない厚い本を読んで、お父さんやお母さんと議論してください。知識は力になりますから。

時間や空間について考える

『モモ』 岩波少年文庫 ミヒャエル・エンデ(著・イラスト)大島かおり(訳)
対象:小学生、中学生、高校生以上

モモ
岩波書店
価格:880円

今は時間がたっぷりありますから長い物語を読めると思います。人間が生きている時間や空間について考えてみるのに最適な時期です。想像力の翼を広げるとどんなに楽しいかということがわかる本です。

イタリアの校長が紹介して話題に

『いいなづけ』 河出文庫 アレッサンドロ・マンゾーニ(著)平川祐弘(訳)
対象:高校生以上

いいなづけ
河出書房新社
価格:1,100円

今と同じようなパンデミックな状況下でその当時の人々がどう対応したのか、とても示唆に富む本です。17世紀の北イタリア・ミラノが舞台の歴史小説。今回、イタリアの高校の校長先生がこの小説の一節を紹介、冷静な対応を呼びかけて話題になりました。

※「休校の今、皆さんに伝えたいこと イタリアの校長が話題」(朝日新聞デジタルから)
https://www.asahi.com/articles/ASN316KWHN31UHBI02W.html

フェイク情報どう見破るか

『知ろうとすること。』 新潮文庫 早野龍五・糸井重里(著)
対象:中学生、高校生以上

知ろうとすること。
新潮社
価格:473円

東日本大震災後に、科学的なリテラシーを高め、あふれる情報の中から、どうやってフェイク情報を見破ったかを2人の賢人が語ります。世界中にフェイクニュースが蔓延する今こそ読むべき非常に大切な本だと思います。

ことばは「思考のツール」

『ことばと心』 玉川大学出版部 小原芳明(監修)岡ノ谷一夫(編集)のだよしこ(イラスト)
対象:小学生

ことばと心
玉川大学出版部
価格:5,280円

ことばとは何でしょうか。最近の研究によれば、ことばは「コミュニケーションのツール」ではなく、「思考のツール」ということが分かってきました。人間が物事を考える時は頭の中でことばを介して考えるのです。ことばについての最新の研究成果を子どもたちにもわかるように説明してくれる図鑑です。大人も勉強になります。

歴史に興味を持つきっかけに

『キングダム』 ヤングジャンプコミックス 原泰久(著)
対象:小学生、中学生、高校生以上

キングダム
集英社
価格:594円

子どものころって、みんなけんかをしますよね。だから戦いの話みんな大好きです。スケールが大きいので歴史に興味を持つきっかけになります。これを読んで『史記』にはまった大人もたくさんいます。昔も今も、人間が考えることは一緒です。登場人物はみんな個性的なので、クラスのだれに似ているなどと想像しながら読むと楽しいですよ。

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