失われた学びを取り戻す

塾のオンライン授業、小4息子は40分動画を一気見 効果引き出す5つのポイント

2020.04.16

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葉山 梢
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新型コロナウイルスの感染拡大で、授業をオンラインに切り替える学習塾が増えています。記者の小4の息子が通う塾でも、授業が動画配信されることになりました。家庭でも塾と同じように学ぶためには、何に気をつければいいのでしょうか。

OSに思わぬ落とし穴

この春、小4になった息子は、2月から近所の小さな進学塾に通い始め、授業や宿題の進め方にやっと慣れたところ。4月7日の緊急事態宣言を受け、授業が動画配信に変わることになり、親子でとまどっています。

動画の授業で内容を理解できるのか。それ以前に、最後まで集中して見ていられるのか。試しにインターネット上で見られるいくつかの授業動画を息子に見せてみました。

まずは、ある大手進学塾の映像授業を見ようとしたところ、Windowsにしか対応しておらず、我が家のパソコン(Chromebook)では見られないことが判明。こんなところに落とし穴があるとは……。仕事用のパソコンで何とか再生できましたが焦りました。

映像の中の講師は慣れた様子で、電子黒板に問題を映しながら流れるように解説していきます。時折カメラに向かって「これはどっちかな?」などと問いかけてくるので、息子もパソコンに向かって答えています。生配信ではないので、それに対する答えはもちろんないのですが……。

開始から10分ほど過ぎると、息子は足をぶらぶらさせたり、よそ見をしたりと、少し退屈している様子も。カメラが固定されていて映像に変化がないので、飽きてしまうようです。それでも20分近い動画を最後まで見て「思ったよりよく分かった」と話していました。

塾の動画授業2

次に見たのは、YouTubeで評判のいい算数の授業動画。こちらは一つの動画が約10分にまとめられ、ホワイトボードに書いてある図が時々アップになるなど、編集も工夫されています。息子もメモを取りながら、集中して最後まで見ることができました。苦手な図形の単元でしたが、「分かりやすかった」と喜んでいました。さすが高評価のユーチューバー! ただ、本当に理解できたかどうかの疑問は残りました。

 

子どもが見続けられるのは20~30分

オンライン授業の効果を最大限引き出すにはどうしたらいいのでしょうか。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表で「塾ソムリエ」の西村則康さんに聞きました。

西村さんの元には、塾のオンライン授業を受ける子どもや親から様々な声が届いているといいます。特に多いのは「つまらない」「飽きてしまう」「よく分からない」というもの。「いくつかの配信授業を見てみましたが、問題の解き方を淡々と説明する動画が多い印象。その動画で何を伝えたいのか、何をできるようにしたいのかという講師側の目的意識が感じ取れないものがほとんどです」と厳しい評価です。

「そもそも子どもが、好きでもない学習動画を見続けることができるのは20~30分。人気のあるYouTubeの動画はほとんど10分以内です」。飽きてしまうのは当然で、途中で休憩を挟む必要があるといいます。子どもでもパソコンの画面を見続けていると、目が疲れたり肩がこったりすることもあるので、軽い体操をしたり飲み物を飲んだりすることを西村さんは勧めます。

また、多くの中学受験塾では、クラスによって扱う問題や説明のスピードが違います。西村さんは「下位クラスの子が、上位クラスの担当講師の授業動画を理解することは難しい」と指摘。「配信授業を見ている限り、子どもたちにとっては初見の問題だという意識が欠けているものが多い。多くの大手塾のこれまでの指導方針は『復習主義』ですが、オンライン授業では、ある程度分かっていることを前提に授業が進んでいきます。少しは予習をしておかないと、何が分からないかさえも分からないという状態になるかもしれません」と注意を促します。「国語なら長文は事前に読んでおく。理科・社会も説明ページはじっくりと読んでおきましょう」

 

途中でストップ、自分のペースで

一方、数は少ないながらも「いつもの授業よりも参加しやすい」という声もあるといいます。普段の授業は時間が短く、先生たちはどうしても早口で、板書のスピードも速くなります。「熟考型で、納得しないと先に進めない子どもは、普段の教室授業では置いてきぼりになりがち。動画なら途中で止めて、自分のペースで学習できます」と西村さん。

そのためには、あらかじめ「分からなくなったらストップボタンを押していいんだよ」と教えておくことが必要。さらに、西村さんは「板書を写したり問題を解いたりといった作業をしながら聞き、作業が終わらなければ動画をストップさせることも教えておきましょう」と強調します。

共働きなどで親がそばにいられない場合は、親の帰宅後に子どもに授業の内容を説明させるといいそうです。あらかじめ子どもに「今日のオンライン授業を視聴して、○○について分かったことを後で教えてね」と具体的に頼んでおきます。「説明はたどたどしくてもOKです。常に『ちゃんと聞いていたのね!』と認め、『○○のようなことをもっと詳しく教えてくれれば、もっと良いね』と改善点をそれとなく示すような言葉かけをお願いします」と西村さん。

親が見ていないと、YouTubeの他の動画に流れてしまうのではないかという心配も。「心配なら、オンライン授業は親が帰宅後の時間に見せるのがいいでしょう」と西村さん。週3回の授業を、月曜から土曜までの6日間に分けると、無理なく視聴できるといいます。

<西村さんからのアドバイス>

(1)「分からなくなったらストップボタンを押す」と教えておく。

(2)子どもの様子を見ていて、飽きてきたなと感じたらストップさせて休憩を。

(3)スマホはNG。できればパソコンをテレビにつないで大画面で。

(4)よく分かっていないと感じたら、少し予習させてから視聴させる。

(5)視聴が終わった後で、自分で解く時間を必ず作る。

生配信や質問時間があるとベター

息子が通う塾から初めての授業動画が配信されたので、西村さんのアドバイスをふまえ、息子に見させました。

科目は理科で「太陽の動き」という重要単元。いつもの先生がYouTubeの画面に映っていることに息子は興奮気味。先生が「方角は大丈夫?」「昼と夜の長さが同じ日は?」などと画面から問いかけるたびに元気よく答えています。自然な流れで違和感はありません。あらかじめ「分からないときはストップボタンを」と伝えておいたので、時々止めてホワイトボードに描かれた図をじっくり見たり、巻き戻して説明を再度聞いたりしています。

40分近い長さだったので、途中で「疲れてない? 休憩したら?」と声をかけたのですが、息子は最後まで一気に見てしまいました。「普段の授業と同じ感じ!」だそうで、親としても、普段は見られない授業の様子を垣間見ることができて興味深かったです。

きちんと理解したかどうかは宿題の問題集をやらせてチェックしようと思います。テレビ会議システムを使った双方向のやり取りや、質問時間があるとさらにいいのに、と思っていたら、塾から「Zoomを使った授業や、メール・電話で質問できる仕組みを検討中」という連絡が! 小回りのきく小規模塾ならではの対応かもしれません。

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