ゼロからわかる! 2020大学入試改革 おさえておきたいポイントを解説

東北大が初の1位「世界大学ランキング日本版」 どんな調査? 4分野ごとの上位大学は

2020.04.21

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増谷 文生
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「世界大学ランキング日本版2020」がこのほど発表されました。朝日新聞で大学入試や教育問題を取材する増谷文生記者が解説します。

東北大学が、大学ランキングで1位になったというニュースを見ました。

(増谷) 「世界大学ランキング」の日本版のことですね。日本版の公表は2017年3月からなので、今回で4回目。東北大が1位となったのは初めてです。昨年1位だった京都大は2位に、同じく2位だった東京大と7位だった東京工業大は同率3位になりました。

世界大学ランキング日本版2020の「総合順位」(上位20)

順位(昨年の順位)大学名 総合点(100点満点)
1(3)東北大       83.0
2(1)京都大       81.5
3(2)東京大       81.2
3(7)東京工業大     81.2
5(4)九州大       79.7
6(5)北海道大      79.6
7(5)名古屋大      79.5
8(8)大阪大       78.9
9(9)筑波大       77.7
10(10)国際教養大   77.2
11(11)国際基督教大  74.3
12(12)広島大     72.6
13(13)早稲田大    71.5
14(14)慶応義塾大   70.2
15(16)神戸大     69.5
16(15)一橋大     67.4
17(21)長岡技術科学大 67.1
18(18)金沢大     66.9
18(22)東京農工大   66.9
20(17)上智大     66.5

東大が3位で京大が2位なのですね。どんな調査なのですか。

(増谷) もともと、英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」が以前から発表してきた「世界大学ランキング」という調査があります。世界各国の学生が留学先を選ぶ際に参考にするなど、影響力のあるランキングです。

上位は例年、米国か英国の大学で占められ、昨年9月に発表された最新版では、1位はオックスフォード大(英国)、2位はカリフォルニア工科大(米国)、3位はケンブリッジ大(英国)でした。東大は36位、京大は65位で、中国の清華大(23位)、北京大(24位)、シンガポール国立大(25位)などを下回りました。東大や京大など有力大のランクが期待どおりの順位にならず、アジア勢よりも下位になっていることが、政府や経済界に危機感を生じさせ、大学改革や大学入試改革が進められる一因となっています。

ただ、「研究力」を重視して評価するため、日本の大学の特徴である「教育力」が評価されにくい仕組みなのです。そこで、THEがベネッセグループと連携し、日本の各大学の「教育力」を測定して日本版を発表するようになったのです。

「教育力」とは、どんな指標を見ているのですか。

(増谷) まず、分野が①教育リソース、②教育充実度、③教育成果、④国際性、の4分野に分かれています。それぞれの分野のスコアは2~5項目の観点に分かれており、総合のスコアは計16項目の結果からはじき出されます。

例えば、「①教育リソース」は、どれだけ充実した教育が行われている可能性があるかを示すもので、全体100点のうち34点。「学生1人当たりの教員比率」(配点8点)や「教員1人当たりの論文数」(同7点)といった五つの項目があります。

「②教育充実度」は、授業や教員の指導について学生に調査したり、入学後の能力の伸びなどについて高校の教員の評判を調べたりしたもの。5項目で計30点分を評価します。

「③教育成果」は、企業の人事担当者と研究者の評判を調べるもので、計16点分。「④国際性」は外国人教員比率や日本人学生の留学比率など4項目で20点分を評価します。

総合順位は①~④を合計し、100点のうち何点かによってランク付けします。

ちなみに東北大は、特に「④国際性」のスコアが昨年より大きく伸びたことで、3位から2ランク上昇し、東京大や京都大を上回りました。

世界大学ランキング日本版の指標の内訳

四つの分野ごとに見たとき、特徴的な結果はありますか。

(増谷) 秋田市にある公立の国際教養大は、「②教育充実度」と「④国際性」がトップでした。これは3年連続です。外国人留学生・教員が多く、学生全員が海外に留学したり、すべての授業が英語で行われたりしているからです。さらに授業も、学生同士のディスカッションに多くの時間を割き、自分の考えを英語で積極的に発信することが求められるため、学生が鍛えられるといった点も高い評価を得ています。国際基督教大(東京都三鷹市)や立命館アジア太平洋大(大分県別府市)も、同じような教育内容が評価され、上位にランクインしています。

一方、医科大や旧帝国大学が上位に並んだ「①教育リソース」は東京大が1位となり、旧帝大などの大規模大学が上位に並ぶ「③教育成果」は京都大がトップでした。

大学入学時の学力は関係ないのですか。

(増谷) 「①教育リソース」の分野では、ベネッセの総合学力テストの結果を元に、その大学に合格した生徒たちの学力も評価の対象にします。ただし、全体100点のうち、わずか6点分のみのため、全体にあまり大きな影響を与えません。

受験生や保護者は、このランキングをどのように活用すればいいですか。

(増谷) 多くの受験生や保護者は、偏差値や授業料、立地といった点を考えて、進学する大学を絞っていくと思います。しかし、大学に入った後にどのような教育を受けられるのか、学生や企業の人事担当者などがその大学の教育をどのように評価しているのか、といった視点も参考になるはずです。偏差値がさほど高くない大学でも、大きく学生の力を伸ばしてくれる大学はたくさんあります。

また、総合順位だけでなく、四つの分野それぞれの順位を見るといいでしょう。ランキングを見て興味を持った大学があれば、さらにホームページなどで調べてみることをお勧めします。

「世界大学ランキング日本版」のサイト

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