休校延長の今こそ読みたい本

河合塾講師・小池陽慈さん 「現代の社会や世界について知ろう」

2020.04.17

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山下 知子
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世界的に新型コロナウイルスの感染が広がり、全国で休校措置を延長したり、授業日や授業時間を減らしたりといった動きが出ています。EduAで連載を執筆いただいている方や教育に関わる識者の皆さんに「休校延長の今こそ読んでほしいお薦めの本」を紹介してもらいました。

話を伺った人

小池陽慈さん

河合塾講師

(こいけ・ようじ) 河合塾現代文講師。早稲田大学大学院教育学研究科国語教育専攻修士課程中退。早稲田アカデミー小中学部講師時代は、早稲田アカデミーの開成高校合格者数日本一を達成。同高校部では東大受験生専門の講座を担当。2013年から現職。共著書に『どうする?どうなる? これからの「国語」教育』(幻戯書房、紅野謙介編)。

予備校講師ですので、大学受験の評論文や小論文の学習につながる書籍を中心に選びました。もちろん、現代の社会や世界を考えるうえで不可欠の観点を扱ったものばかりです。

大学入試頻出のテーマが分かりやすく

『砂糖の世界史』 岩波ジュニア新書 川北稔(著)
対象:中学生、高校生以上

砂糖の世界史
岩波書店
価格:924円

現代文に出題されるテーマで良いものを、と尋ねた時、複数の知人が薦めてくれた本です。世界史の先生は「絶対にこれ!」と。「コロニアリズム」「グローバリゼーション」「世界システム論」など、大学入試頻出のテーマがこれ以上ないほど分かりやすく説明されています。岩波ジュニア新書から刊行されているので、専門的な言葉も少なめ。砂糖という身近なものが、ものすごい歴史性を持っていることにも気付かされます。

思想や学問は武器になる

『LGBTを読みとく――クィア・スタディーズ入門』 ちくま新書 森山至貴(著)
対象:高校生以上

LGBTを読みとく――クィア・スタディーズ入門
筑摩書房
価格:880円

思想や学問というものが決して机上の空論ではなく、我々のリアルと切り結ぶものであるということがよく分かります。最近、文系の学問に何の意味があるのか、ということをよく耳にします。文学部不要論という言葉も出回っています。ただ、これを読むと、僕たちがこの社会をより良きものに変えていくうえで、思想や学問がいかに有用な武器になるか、痛いほど分かります。

分断を生きる私たちに

『記憶/物語』 岩波書店 岡真理(著)
対象:高校生以上

記憶/物語
岩波書店

岩波書店のシリーズ「思考のフロンティア」の一つで、そんなに厚い本ではありません。分断を生きる我々は、どうすれば他者に開かれていくことができるのか。これからの世界を構築していくうえで必須のテーマを、切実な筆致で語っています。個人的に、岡真理さんの傑作は『彼女の「正しい」名前とは何か』(青土社)だと思っています。興味を持ったら、こちらもぜひ、手にとってほしいと思います。時々、生徒にも薦めています。

難しい、だけど

『動物に魂はあるのか 生命を見つめる哲学』 中公新書 金森修(著)
対象:高校生以上 

動物に魂はあるのか 生命を見つめる哲学
中央公論新社
価格:968円

人はどう動物を捉えてきたのかといった観点で、古代の哲学から現代思想までの流れを俯瞰(ふかん)できます。きわめて現代的なテーマを理解する足掛かりを作ることもできます。コテコテの評論で、簡単に読める本ではありません。生徒からは「難しい」と言われることもしばしば。ただ、こういったテーマは今後の入試で増えていくと思いますし、難しいけれど、一つ一つの文章をしっかり読み込むことで、読める文章が飛躍的に増えるはずです。

書物をいかに精読するか

『無敵の現代文記述攻略メソッド』 かんき出版 小池陽慈(著)
対象:中学生、高校生以上

無敵の現代文記述攻略メソッド
かんき出版
価格:1,320円

すみません、自著です。「書物をいかに精読するのか」という方法を紹介しています。こちらを読んでいただいてから様々な本にあたり、その方法を実践すると、読解力の向上に効果があると思います。

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