休校延長の今こそ読みたい本

日本新聞協会NIEコーディネーター・関口修司さん 本嫌いのぼくが選んだ、大好きな本

2020.04.22

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EduA編集部
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世界的に新型コロナウイルスの感染が広がり、全国で休校措置を延長したり、授業日や授業時間を減らしたりといった動きが出ています。EduAで連載を執筆いただいている方や教育に関わる識者の皆さんに「休校延長の今こそ読んでほしいお薦めの本」を紹介してもらいました。

話を伺った人

関口修司さん

日本新聞協会NIEコーディネーター

(せきぐち・しゅうじ)1955年生まれ。東京学芸大学卒業後、東京都公立小学校教諭に。社会科とNIE(新聞教育)を中心に研究し、91年から17年間、群馬大学教育学部非常勤講師も務めた。2004年度から東京都北区の3小学校の校長を歴任し、16年3月定年退職。日本新聞協会NIEコーディネーターに就任。現在、東京未来大学、星槎大学で非常勤講師も務める。趣味は散歩。チャームポイントは笑顔。

ぼくは小学校のとき、本が大嫌いでした。クラスで図書室に行くときも、読むのが嫌で本棚の後ろに隠れていました。先生はぼくの姿が見えないのに気付き、探し回ります。さすがに図書室の中では見つかってしまうので、本を読まざるをえなくなります。先生は怖い顔で「すぐに本を読みなさい」。しぶしぶ選んだ本は、目の前にあった百科事典の第1巻「あ」。それ以来、ぼくは図書室に行くたび、2巻、3巻と読んでいきました。そんなぼくが、皆さんに本を薦めるなんてとんでもないことと知りながら、本が嫌いだった人が「これは」と思った本を紹介します。迷いながら考えること、自然の中で生きること、心の強さ弱さや奥深さを学べる、そして、大いに楽しめて、心を動かされる、ぼくの大好きな本たちです。

「ほかとはちがうところ」の素晴らしさ

『いたずらのすきなけんちくか』 小学館 安藤忠雄(著)はたこうしろう(絵)
対象:小学校低学年、小学校高学年

いたずらのすきなけんちくか
小学館
価格:1,760円

2人の子どもが児童図書館「こども本の森 中之島」を訪ねたときの、不思議な体験の絵本。くろいふくのおじさん(建築家・安藤忠雄さん)と一緒に建物を回る子どもたちが発見したものは……。つくる楽しさや考える面白さが、カタチから伝わります。「~じゃないもの」「いっけん~におもえるもの」「すぐには~がわからないもの」「そういうものが じつはいちばん おもしろい」と言うおじさんの言葉に、うなずくばかり。~の言葉は自分で探しましょう。「ほかとはちがうところ」を大切にする素晴らしさが分かりますよ。

どこにいても、子どもたちだけの世界

『あららのはたけ』 偕成社 村中李衣(著)石川えりこ(絵)
対象:小学校低学年、小学校高学年

あららのはたけ
偕成社
価格:1,540円

山口に引っ越したえりと、横浜にいるエミとの手紙の交換で、物語が進みます。えりはおじいちゃんから小さな畑を任され、泥まみれになったり虫に刺されたりしながら、動植物や季節などの自然から生き方を学んでいきます。植物や虫には、びっくりする知恵があるんです。そして、横浜のエミも文通を通して、身の回りに起こるいじめや引きこもりなどの様々な出来事を乗り越えていきます。子どものとき、何をどのように学んだらよいかを、きっと気付かせてくれます。

人間と自然 ともに生きることを知る

『自分の力で肉を獲る 10歳から学ぶ狩猟の世界』 旬報社 千松信也(著)
対象:小学校高学年、中学生

自分の力で肉を獲る 10歳から学ぶ狩猟の世界
旬報社
価格:1,650円

衝撃的なタイトル。「肉を獲(と)る」って何でしょう。表紙をめくって驚いたのは、猟師である作者が獲物のイノシシを解体するリアルな写真。この時代、猟師になる人なんてほとんどいないのに、子どもにイノシシの獲り方をどうしてここまで詳しく書くのかな、と疑問に思いながらページをめくると、分かってくるのです。残酷なんかじゃない。「動物と人間の知恵比べ」なんだと。そして、いつの間にか気付きます。人間が自然とともに生きていることや「ごちそうさま」の意味に。

中2男子のドタバタ職場体験記

『天使のにもつ』 童心社 いとうみく(著)
対象:中学生、高校生以上

天使のにもつ
童心社
価格:1,430円

いいかげんで、めんどくさがり屋の中2男子・風汰の職場体験物語。「子どもと遊んでいればいいだけ」と思って選んだ保育園は、風汰にとってとんでもない場所でした。風汰と明るく無邪気な子どもたちによって巻き起こされる事件の数々に思わず噴き出してしまいます。仕事って甘いもんじゃない。でも大変なだけじゃない。多くの人たちに支えられながら、いつしか、職場体験のたった5日がとんでもなく貴重な5日になり、心が揺さぶられます。家族で読みたい一冊です。

被災地の応援教師 前向く姿に共感

『そして、星の輝く夜がくる』 講談社文庫 真山仁(著)
対象:中学生、高校生以上

そして、星の輝く夜がくる
講談社
価格:726円

大人の小説も読んでみてはいかがでしょう。1995年に起こった阪神・淡路大震災で家族を失った小学校教師が、東日本大震災の爪痕が生々しく残る被災地に応援教師として赴任します。巻き起こる数々のトラブルと心温まるドラマ。復旧・復興が遅々として進まない中で、果たして子どもたちの心の復興はできるのでしょうか。「まいど!」と威勢よく挨拶し、失敗をしても突き進む、ハチャメチャで明るい担任、小野寺徹平も実はまだ、心が癒えていないのです。苦しみ、迷い、もがきながら、子どもたちとともに前を向いて歩む姿を応援せずにはいられません。

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