連載・親子で「考える」を動かそう! 「私」を伝える編

「“私”はこの『織田信長』で驚かせる」 カリタス女子中学校・社会の入試問題から

2020.05.02

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日能研
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キミってどんな人? 考えを聞かせて?――。中学入試問題は、それぞれの“私”に問いかけてきます。知識だけでなく、身の回りや“私自身”とつなげて考えなければなりません。あらかじめ準備できるような「正解」はありません。子どもたちの数だけ答えがあるはずです。親子でアタマとココロを使って、「考える」を動かしてみませんか?

(問題文の一部を変えている場合があります)


“私”を伝える編の7回目はカリタス女子中学校の社会の問題です。

 カリタス女子中 2008年/社会

(問)仮にあなたが、「織田信長」を主人公としたテレビドラマの台本を書くことになり、ドラマの制作責任者から「みんなのイメージとは違った『織田信長』を登場させて、ドラマの視聴者を驚かせてください」という注文を出されたとします。
もしそのような立場に立ったとすれば、あなたは、「織田信長」に対する「みんなのイメージ」をどのようなものと考え、その「みんなのイメージとは違った」どのような「織田信長」を描いて「視聴者を驚かせ」ますか。あなたの考えを述べなさい。

日能研の解説

書籍はもちろん、映画でも、現在放送中の大河ドラマでも、どれだけの「織田信長」が描かれてきたことでしょう。
入試問題でも、「織田信長」を問う問題は、多くの学校で出題されています。そこでの多く、特に従来型の入試問題では、受験生に対して一律に、「織田信長の○○○について知っていますか」という知識の有無を試すにとどまります。ところが、今回ご紹介するこの問題は、あらかじめ用意された画一的な解答はなく、受験生一人ひとりの“私”に問いかけ、それぞれの“私”の答えを求めています。それぞれ違った答えが出てくることを前提としているのです。ただし、織田信長に関する知識を持っていなければ答えられないでしょう。また、「視聴者を驚かせるにはどうするか」をその場で自分なりに考えなければなりません。受験生が持つ知識と、発想力、表現力など、同時に多くのチカラを見ることができる問題と言えます。

話は変わりますが、中学受験をする上で、「志望校を選ぶ」ことは、最も重要なポイントのひとつです。
それぞれの子ども、ご家庭に合う学校を選ぶ――。
我が子が、そこで6年間を過ごし、そこで自分自身で“私”を育て、“私”の「輪郭」をつくっていく。

だからこそ、ほかの誰かに志望校を決められるなんてことはなく、大学合格実績などの、世の中の「モノサシ」のみで決めてしまうこともなく(大人たちはこのモノサシに翻弄〈ほんろう〉されてしまうことが少なくないのですが)、「我が子に合う学校」を選びたいものです。

ある学校について、Aさんは「明るくて元気」と好印象を持ち、Bさんは「ちょっと派手かな……」と感じる。別の学校について、Cさんは「落ち着いている」と言い、Dさんは「暗い……カンジ?」と言う。
ほかの方々は、各校について、さまざまに感じているようですね。
――ご自身の印象はいかがでしょう?

さて、
みなさんの「織田信長」の印象は?

「鳴かぬなら、殺してしまえ、ほととぎす」は、あまりに有名ですが、織田信長には自分に従わない者は徹底的にたたきつぶしてしまうという非情なイメージがあります。

対して豊臣秀吉は「鳴かせてみせよう」。徳川家康は「鳴くまで待とう」。
信長とあわせて、3人それぞれの、定着したイメージがあるようです。
ほかの誰かが描くイメージではなく、あなた自身は、どう思いますか?
それぞれ、実際はどんな人だったのでしょうね。明るい人? 落ちついた人?

織田信長について、受験生は「桶狭間の戦いや長篠の戦いで勝利し、天下統一のさきがけとなった人物」「仏教勢力など、自分に抵抗する者には容赦しない人物」「楽市・楽座で安土の城下を発展させるなど、新しい発想の持ち主」などと、習ってきたことでしょう。
こうした織田信長に関する知識を「みんなのイメージ」とし、知識の正確さが試されています。どのように「視聴者を驚かせるか」は、“ドラマの中”という問題設定なので、歴史的事実と違っていても構いません。

そこで、南蛮渡来のめずらしいものを前に子どものようにはしゃぐ信長の姿を描いて、視聴者の持つイメージを変えてみたい、など。
自由な発想で想像を膨らませ、表現できるとよいでしょう。

テキストなどで目にする歴史上の人物の肖像画や写真。記述されている史実やその人の業績。
伝記や書籍にもふれると、さらに「人となり」がわかり、体格もイメージできたり、好んだ食べ物まで知ることができたり、数々の逸話もあって……。
「この人、実際は、どんな人だったのだろう」と、興味が深まり、想像が広がります。

この問題をきっかけに、歴史上の人物について、“私”ならではの視点やアプローチの仕方をもてたなら、学びはさらに広がり、深まっていくことでしょう。

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