9月入学は是か非か

新学期は9月スタートに! ネットで声を上げる高校3年生たちの苦悩

2020.04.29

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山下 知子
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9月を学期始めにしてほしい。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための休校が続くなか、こんな声が受験を控えた高校3年生や保護者らから上がっています。インターネット上で発信した高校生らに、その思いを聞きました。 (写真は、2月末に臨時休校を告げる校内放送を聞く生徒たち。以来、授業は行われていない=東京都立白鷗高校で)

「普通に学校生活を送りたい」

Change.orgでは、千葉県の高校生や保護者のグループも9月始業を求める署名活動をしています。保護者グループは「学校の臨時休業をはじめとする実施要項は全国的に統一されたものではなく、地方自治体の裁量によるものであるということは周知の通りです。休校期間が数カ月に及ぶ場合、学力の差が広がるのは当然のことであり、これは教育の機会均等(教育基本法第3条)に反していると考えます。また、受験学年の子どもたちにとっては、学習環境に差がある中で入学試験を迎えることは非常に不安であり、また不公平を感じることでしょう」などと訴えています。

東京都立高校3年の男子生徒(17)は4月1日、クラス名義のツイッターで、9月始業を訴える文章を載せました。27日までに9万7千件の「いいね!」がつきました。

寄せられた意見の8、9割が賛同だったといいますが、「命より学校行事を楽しみたいだけだろ」「戦争の時も学校はなかった。国の危機なのだから我慢するのは当然」といった意見も寄せられたそうです。

もちろん、簡単に実現できるとは思っていません。会計年度を学校だけ変えられるのか、休校が断続的に続いた場合はどうするのか、そのたびに幼稚園や保育園も含めて入学卒業時期を変えないといけないのか――。

男子生徒は、「それでも9月始業にしてほしい。普通に学校生活を送りたい。それって、そんなにおかしな訴えでしょうか」と言います。自宅で勉強をしていて、受験生としての自分の立ち位置も見えなくなりつつあります。「仲間と一緒に勉強することで『もっとやらないと』『この勉強もやったほうがいいかな』と思える。それがないから、いま、不安でいっぱいです」

9月入学は是か非か
東京都立高校3年生が9月始業を訴えたツイッター

教育関係者の間で賛否分かれる

9月入学・始業を求める声が出始めていることについて、萩生田光一文科相は4月24日の記者会見で「さまざまなところで声が上がっていることは承知している」「あらゆることを想定しながら対応したい」と述べました。

教育関係者の間で、賛否は分かれています。

東海地方の公立高校の教諭は「3年生の気持ちは痛いほど分かるが、9月始業は、日本の制度を大きく変えることになる。時間をかけて議論すべきことだと思う」と言います。一方、高知県土佐町議で、『崩壊するアメリカの公教育 日本への警告』(岩波書店)の著書がある教育研究者の鈴木大裕さんは、ツイッターで「大賛成。自治体によって休校期間や休校中の学力保障の取組はバラバラ。どうやったって子どもや教員にムリなく足並みを揃(そろ)えることは出来ない。ならばいっそのこと9月仕切り直しにしては?」と書いています。

教育評論家の尾木直樹さんは28日の小池百合子都知事とのネットを介した対談で「大賛成。大胆に切り替えるほうがいい」と述べ、「合理的で、きわめてグローバル(欧米では9月新学期が一般的)なわけで、海外と歩調がそろう。交換留学や、教授の交換もしやすくなり、大学のレベルを上げることもでき、ともなって小中高も上がる」とメリットを説きました。小池都知事も「混乱もするが、パラダイムシフトのきっかけになる」と賛同しました。

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