失われた学びを取り戻す

公立小中、進まぬオンライン授業 保護者に危機感「学びや社会とつながる場を」

2020.05.01

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葉山 梢
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新型コロナウイルスの感染拡大による一斉休校から2カ月。大学や私立の学校の多くでオンライン授業が始まる一方、公立の小中学校ではほとんど進んでいません。危機感をもつ保護者の間で、子どもたちの学びや社会とつながる場を求める声を自治体に届けようとする活動が広がっています。

自治体間の差に危機感

文部科学省の調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて休校を決めた自治体のうち、4月16日時点で双方向型のオンライン指導に取り組むのはわずか5%。デジタル教材による家庭学習に取り組むのも29%にとどまっています。

子育てしやすい社会を目指して活動する「みらい子育て全国ネットワーク(miraco)」の天野妙代表は「感染防止という意味では休校は仕方ないが、子どもの学習機会の損失の問題は大きい」と指摘します。

天野さんの子どもが通う東京都武蔵野市の小学校ではオンライン指導どころか、電話での連絡すらこの2カ月で2回しかありませんでした。miracoのメンバーやママ友と情報交換する中で、週1回電話があるところやオンライン授業に向けて動き出しているところもあると知り「このままでは自治体間・家庭間の格差が広がる」と危機感を持ちました。知り合いの市議に「子どもたちの学びの場を確約して」と働きかけましたが、「インターネット環境のない世帯もあるから難しい」と言われたといいます。

そこで天野さんたちは4月20日、武蔵野市の保護者を対象にオンライン学習に関するウェブアンケートを始めると同時に、miracoのサイトでアンケートフォームを公開。自由にダウンロードして使えるようにしました。アンケートではオンライン学習導入への賛否のほか家庭のネットワーク環境などを聞いています。これまでに都内のほか大阪府や福岡県などの10を超える自治体の保護者からアンケート実施の連絡がありました。

「ホームルームでの会話」に期待

東京都中野区の保護者で作る「子育て環境向上委員会@中野」は4月21~26日に独自のアンケートを実施し、640人の回答を得ました。それによると、96.7%の家庭にインターネット環境(有線、Wi-Fi等)があり、子どもが授業時間帯に使えるパソコンやスマートフォンなどの端末(きょうだいで共有を含む)も91%が持っていました。

休校中にどのような学習支援があるとうれしいかという質問(複数回答可)に対して、最も多かったのは「オンラインによる学習支援・オンライン授業」(77%)で、「プリント・ドリル・宿題の配布」(67%)、「メールによる定期的な連絡・案内」(40%)が続きました。「学習支援は特に必要はない」と答えた人は3%しかいませんでした。

ただ、オンライン授業のどのような点に期待するかという質問(複数回答可)では、「ホームルームによるクラスメートとの会話・あいさつ等」が65%で最も多く、「休校による学習の遅れを補うこと」(61%)、「双方向型のオンラインならではの探究型学習」(45%)を上回りました。

アンケートをまとめた相川梓さんは「オンライン授業をしてほしいという単純な思いでアンケートを始めたが、親が在宅勤務できない家庭の子が毎日一人で過ごしているなど、様々な事情があることが分かりました。そのような子どもと社会がつながる大切な場が学校。タブレットを配って学習支援をやった気になって、学校との関わりが切れてしまうようなことにならないようにしてほしい」と話します。今後、中野区の教育委員会と区議にアンケート結果を届ける予定です。

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