鉄ちゃんの育て方

車窓から見えるのは? 延伸にブレーキかけた出来事、中心人物は? 中学入試に出た「鉄道問題」

2020.05.15

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葉山 梢
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路線図や駅名といった鉄道の知識が役立つ問題がたびたび入試に出ることを、以前の記事で報じました。今春の中学入試でも、電車好きの子が有利になりそうな問題が出題されています。入試問題を研究する早川明夫・文教大学地域連携センター講師に解説してもらいました。

話を伺った人

早川明夫さん

文教大学地域連携センター講師

(はやかわ・あきお)森上教育研究所講師。大学の付属中学・高等学校の教頭を経て、大学で社会科の教員養成にあたる。中学・高校・大学の入試問題作成の経験を生かして、出題者の立場から入試問題を研究。時事問題にも明るく『ジュニアエラ』(朝日新聞出版)の総監修者を務める。

女子校での出題が目立つ

首都圏を中心とする私立中学校100校の2020年度入試問題を調べたところ、11校で鉄道に関する問題が出されていました。そのうち6校が女子校です。これまでは男子校が多い印象があったので意外な結果でした。

鉄道好きに男性が多いのはご存じの通りです。昔の女子校は一般的に女性の先生が多かったのですが、現在は必ずしもそうとはいえません。また、例年、女子校は時事問題を多く出題しています。今年は私が分析した27校全てで出されています。こうしたことが関係しているのかもしれません。

最も多いパターンは、新幹線の路線図を元に地理の知識を問う問題です。たとえば東洋英和女学院(東京都港区)は、東海道新幹線などの路線と新丹那トンネルの位置を示す日本地図を見せ、以下のように問います。

鉄ちゃんの育て方

霜の害を防ぐための大型の扇風機が見えるので、写真は茶畑です。このような問題は地理の総合的な力や応用力を見ようとしています。以前の記事でも勧めましたが、“乗り鉄”なら、電車には地図帳を持って乗りましょう。車窓から見える畑や工業地帯を地図帳と照らし合わせてみると、学んだことが定着しやくなります。

また、同校では、2037年に全線開通予定のリニア中央新幹線について、以下のような問題も出されています。

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(答 東京への通勤・通学が可能になる。)

この図はほとんどの子にとって初めて見る形だと思います。このように初めて見る資料をその場で判断して、持っている知識を応用して答える問題は増えています。パニックにならずにヒントを読み取ろうとする姿勢が大事です。日頃からいろいろな形の資料に親しんでいる“鉄ちゃん”は有利かもしれません。

歴史を絡めた問題も

豊島岡女子学園(東京都豊島区)では、同校近くの池袋駅について「西武池袋線や東武東上線、いくつかのJR線や地下鉄の始発駅、終着駅、通過点になっていて、東京を代表する( )駅の一つ」として、( )にあてはまる語句をカタカナで答えさせる問題が出ました(答 ターミナル)。

また、大都市に人口や産業が集中すると地価の上昇や交通混雑、公害などが発生し、住宅地や工場などが郊外に分散する「都市化」について、以下のような問題が出ています。

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(答 都心をつなぐ鉄道が通っている。)

図中の立川から北西に細長くなっている地域にはJR青梅線が通っており、青梅駅からは中央線経由で東京駅行きの電車が運行しています。日本では都市化は鉄道の線路に沿って進むことが多いのです。

頌栄女子学院(東京都港区)の問題は、1872年~1885年の鉄道事業に関する年表を示し、歴史の知識を問うところがユニークです。

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(答 日米修好通商条約により、横浜は開港場となったから。)

同校の問題はこの後、1876~78年に国営鉄道の開通距離が伸びなかった背景にある士族の反乱の中心人物(答 西郷隆盛)や、日本鉄道会社が1885年に前橋―品川間を開通した後、前橋から主に運搬したもの(答 生糸)を問う問題が続きます。

“鉄ちゃん”なら近現代史を鉄道の歴史と関連づけると、楽しく学べるかもしれませんね。富岡製糸場の生糸は、鉄道開通前は運河を利用して船で横浜まで運ばれていました。物には必ず運搬手段があるので、そういう視点で歴史をみるとさらに世界が広がりますよ。

クラスに必ずいる鉄道ファン、通称「鉄ちゃん」。不定期連載「鉄ちゃんの育て方」では、鉄道をこよなく愛する子どもを育てる保護者の方々に向け、子どもの鉄道愛を単なる趣味に終わらせず、学習や人間的成長に生かしていくためのすべを考えます。

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