時事ニュースの学び方

時事問題キーワード、2020社会科入試出題ランキング① トップはやはり… 私立中学100校分析

2020.05.25

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山下 茂
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今春実施された全国100校の私立中学社会科入試問題を分析したところ、時事ニュースに関わる問題が全体で9割、女子校では全校で出題。これまで以上に長文化が進み、多様な資料を扱う問題が増える傾向にあることが分かりました。時事ニュースの出題傾向などを、分析にあたった早川明夫・文教大学地域連携センター講師に聞きました。

長文問題と様々な資料、求められる深い読解力

問題文が長文化しています。社会に限らず、国語や理科、算数でも同様で、これまで以上に読解力が求められます。問題文を正確に読み取るためには語彙(ごい)力、とくに社会科の場合には用語の正確な理解が必要です。たとえば、「流域面積」という言葉は知っていても、「ある河川の降水が集まる範囲の面積」と正確に説明できない。「デパート」は知っていても「百貨店」を知らず、問題が解けなかった子もいる。

たとえば、桜蔭(東京)では「窓や出入り口の上に突き出した部分」として、「ひさし」を答えさせています。

社会分析・桜蔭カエ

(答 ひさし)

都会ではマンション住まいが多くて、「のき」とか「ひさし」といわれてもピンとこない。他にも「いろり」とか「かまど」「たらい」も知りません。でも、そういう言葉は小学校3、4年生の教科書に出てくる。地元の郷土資料館に行けば、江戸時代の農具なども展示してありますので、足を運んでほしい。今の子どもたちは、SNSで短文には慣れていても長文が苦手。長文をみただけで拒絶反応を起こす子さえいる。語彙を豊富にしておくことが大切です。

政策にかかわる用語では、狙いや結果、影響も押さえておく必要があります。

社会分析・白百合

(答 参勤交代)

たとえば、白百合学園(東京)では、江戸幕府による大名支配政策の結果として「全国の文化交流を促す結果になったもの」を問うています。答は「参勤交代」。参勤交代はこれまで「大名の経済力を削減するため」とされてきましたが、それは厳密にいえば結果です。狙いは「将軍と大名の主従関係を確認するため」。最近の学会ではそういう見方が強くなっています。参勤しないというのは将軍にそむくことになる。大名行列と江戸・国元の二重生活によって、結果として大名に経済的負担を強いた。江戸と各地を結ぶ街道や宿場が整備されたり、江戸の文化が広がったりした。すしやてんぷら、そばやうどんなどの食文化が地方でも見られるようになりました。飛脚制度も確立した。「参勤交代」イコール「経済力をそぐ」というだけではなく、深くて広い学習が求められています。

様々な統計資料、とくに新しい資料も多く出ています。

社会分析・西大和

(答 エ)

「日本国勢図会(ずえ)」の他、「データで見る県勢」や官公庁の「白書」などをもとに、学校が独自に作成した資料も増えています。たとえば、西大和学園(奈良)では、キャンプ場とスキー場、動・植物園の施設数上位の都道府県を選ぶ問題が出ました。子どもたちはこんな資料は見たことがないはず。キャンプ場やスキー場なら長野県や北海道、動・植物園なら東京都や兵庫県などの都市部が上位になります。

「新型コロナ」感染症と歴史関連づけた出題に

来年は新型コロナウイルスが最大のテーマになるでしょう。まずは「パンデミック」や「クラスター」「ウイルス」などの言葉の意味を正確に把握することが大切。あわせて流行病や病の歴史が問われる可能性が高い。たとえば、「スペイン風邪」は、今回同様に外国で発生して日本に波及してきました。アメリカで最初に感染した兵士が、第1次世界大戦で欧州に出征したことで拡大したとされています。スペインが中立国だったために、情報の発信源となったことが病名につながりました。

「天然痘」は、遣唐使や遣新羅使に関連して中国・朝鮮から日本に伝わったとされています。藤原不比等(659~720)は都を平城京に移した実力者ナンバーワンでした。不比等の死後、分かれた藤原四家の当主が全員、天然痘で亡くなっています。さらに、凶作が続き、内乱も起きました。聖武天皇は高まった社会の不安を鎮めるために、唐の制度などをもとに、国分寺建立(741)や東大寺の大仏建立(743)を命じることになりました。感染症の大爆発は、世界や日本の歴史に深く関わっています。来年は感染症と歴史を関連づけた出題が予想されます。

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