新しい教育のカタチを考える

「パソコンやスマホも、学習の必需品になる」 EdTechが教育にもたらす効果とは?

2020.05.19

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多田慎介
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EducationとTechnologyをかけ合わせた造語「EdTech(エドテック)」。教育改革の新たなキーワードとして注目される一方、その意義や効果については、まだまだ認知されていません。EduA編集部では、経済産業省で「未来の教室プロジェクト」を主導する浅野大介さん、EdTech研究の第一人者であるデジタルハリウッド大学院大学教授の佐藤昌宏さん、EdTech導入校である千代田区立麹町中学校前校長(現・横浜創英中学・高等学校理事/校長)の工藤勇一さんを招き、EdTech座談会を開催。前編では3者にEdTechの意義と導入の背景、その学習効果などについて語っていただきました。

パソコンやスマホは、ノートであり鉛筆である

左から)工藤勇一さん、佐藤昌宏さん、浅野大介さん
左から)工藤勇一さん、佐藤昌宏さん、浅野大介さん

浅野 2019年11月、政府は「全国の小・中学校に通う児童・生徒に1人1台のパソコンを整備する」という方針を固めました。今後は、教室での学びの中でも、生徒たちがインターネットを通じて世界中の情報を自力で探し当て、情報の真贋(しんがん)を考えながら、自分なりに編集するチャンスが飛躍的に増えます。また、さまざまな教科の場面でもEdTechの活用も進んでいくでしょう。

浅野大介・経済産業省 教育産業室長
浅野大介・経済産業省 教育産業室長

佐藤 保護者や先生からは、EdTechはAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)など、最新テクノロジーを活用した教材やサービスだと思われがちです。もちろん、それらもEdTechに含まれますが、それだけではありません。

スマートフォンやパソコンを用いたオンラインの動画講座や、学習内容やスケジュールを記録するアプリなども含まれます。つまるところ、EdTechとは「デジタルテクノロジーを活用した教育のイノベーション」と言えるでしょう。

佐藤昌宏・デジタルハリウッド大学院大学教授
佐藤昌宏・デジタルハリウッド大学院大学教授

私たちの社会において、テクノロジーは欠かせない存在となりました。一方で、「教育現場にテクノロジーを取り入れる必要はあるのか?」と懐疑的に考える人は少なくありません。

私は「EdTech活用は当然のことだ」と、より多くの人が認識すべきだと考えています。なぜなら、EdTechがもたらす新たな可能性は、子どもたちの学びや人生をより豊かにしてくれると信じているからです。

浅野 インターネットは、電気・水道・ガスといったライフラインに等しい存在になりました。同様にパソコンやスマホも、これからはノートや鉛筆と同じ、「学習のための必需品」になるでしょう。

そもそも、私が経済産業省で「教育産業室」を立ち上げたのは、企業にせよ地方にせよ、この国の中からイノベーションがなかなか起こらなくなっていることの原因として、教育が挙げられると思ったからです。私たち自身、「自ら課題を設定し、その解決に向けて情報を集め、整理・分析し、発信する力」が弱いことの根本的な原因は教育であり、そこから変えないといけないと考えました。

佐藤 先生が一方的に教え、生徒が受け身で学ぶ従来型の教育では、そうした資質・能力を育むことは極めて難しいですよね。

浅野 仰るとおりです。課題は生徒一人ひとり違うわけですから、一斉・一律の受動的な授業ではなく、個々が自立して必要な学びを選択できる授業にすべきだと思います。また、従来の科目の垣根にとらわれるのではなく、実際に世の中にある問題などを取り上げて、解決への道筋を探究することも大切です。こうした教育を実施するための手段として、EdTechは必要となるのです。

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