コロナでどうなる大学入試

“大学受験の生き字引”代ゼミ・坂口幸世さん「感情論からの入試制度変更に失敗の歴史」

2020.05.16

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中村 正史
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出題範囲、配点、2段階選抜で配慮を

――共通テストの出題範囲を高校2年までにするという提案はどうですか。

いちばん現実的だと思います。その前に知ってほしいのは、センター試験(来年から共通テスト)の国語、英語、数学の出題範囲は、基本的には高校2年までになっていること。ですから支障はないのです。個別試験については各大学の判断で、たとえば数Ⅲを入試科目から外すとか配慮すればいい。今回の事態を受けて、文科省が各大学に配慮や対応を指示し、各大学が対応を決めて発表するしかないと思います。

――通常なら各大学は6月に入試要項を発表することになっています。文部科学省はここに来て「通常6月の入試要項は受験生の立場に立って慎重に対応する必要がある」と言い出しているので、延ばす可能性はありますが、時間が迫っているのは確かです。

各大学の入試要項は予定通りに発表して、後で「数Ⅲは除外することにする」といった配慮を追加的に出せばいいと思います。各大学の個別試験でも、物理、化学などの専門理科は高度な問題は出題しないとか。あるいは高3で習う範囲の配点を小さくする、問題選択にして日本史が全部終わらなければ時代による選択ができるようにするとか。

それから共通テストの点数で2段階選抜を行っている大学がそのラインを緩和するか、2段階選抜自体をやめる。1997年のセンター試験では、数学の旧課程履修者向けの問題が難問で、新課程履修者とあまりに得点差が開き、文科省が2段階選抜を原則として行わないよう大学に指示したことがありました。

出題、配点、2段階選抜について配慮するよう文科省が大学に指示する。できることは、それくらいしかありません。入試日程を変えると、かえって混乱を招きます。

――入試が混乱しそうなので、AO・推薦の志望者が増えるのではないかという見方があります。

もともと今回の入試改革でAO・推薦を増やしていく方向でしたが、その動きは強くなるでしょう。ただ、休校などにより活動実績を提出できない人をAO入試でどうするのか。私立大学は経営上の観点から、出願者を減らしたくないので、出願要件を見直す可能性があります。

一般入試(一般選抜)でも国立大学を中心に、主体性評価を取り入れ点数化している大学がありますが、主体性を発揮できる活動ができていないので、再検討する必要が出てきます。

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