新しい教育のカタチを考える

「良い大学を出ても保険にすらならない」 EdTech時代に保護者にも協力してほしい学びとは?

2020.05.20

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多田慎介
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児童・生徒1人が1台のパソコンを持ち、自分自身で時間割を設計し、必要な学びを選択していく。「EdTech(エドテック)」の有識者たちは、これからの学校教育の姿をそう説明します。EduA編集部では、経済産業省で「未来の教室プロジェクト」を主導する浅野大介氏、EdTech研究の第一人者であるデジタルハリウッド大学院大学教授の佐藤昌宏氏、EdTechを導入校である千代田区立麹町中学校前校長(現・横浜創英中学・高等学校理事/校長)の工藤勇一氏を招き、EdTech座談会を開催。後編では先生の役割の変化やEdTechの課題、未来の学校のあり方について語っていただきました。

工藤勇一さん、佐藤昌宏さん、浅野大介さん
左から)工藤勇一さん、佐藤昌宏さん、浅野大介さん

先生は、管理画面を見ながら「コーチング」を行う

浅野 EdTechが学校での学びに導入されると、生徒の学び方だけでなく、先生の役割も変わるでしょう。従来、先生には「生徒に問題の解法や知識を教える」という役割が色濃くありました。しかし、タブレット教材「Qubena(キュビナ)」を活用した麹町中の数学の授業を見ていると、その役割は大きく変わっていました。

先生はキュビナの管理画面を見ながら、生徒一人ひとりのコーチ役に徹しているわけです。つまり、生徒自身が自分に足りないこと、自分がやるべきことを考え、自律的に教え合いながらワイワイと勉強を進められるよう、出過ぎないようにうまく手助けをしているということです。

浅野大介さん
浅野大介・経済産業省教育産業室長

工藤 麹町中では学習到達度を測るため、各教科の単元の区切りごとに「単元テスト」を実施しています。ただ、数学については、キュビナを活用して、生徒たち自身が学習到達度を測っています。となれば、到達度の評価をする必要もないので、本来は先生がテストを作らなくてもいいんですよ。

浅野 全員が同じような学力であることを前提にして、年間で定められた同じカリキュラムを「履修主義」的にこなすことが目的になっていると、一人ひとりの学習到達状況に寄り添うことは難しい。

しかし本来は、生徒一人ひとりの学習の到達度を重視して、個別の伸びを管理していく「到達度主義」が正しいはず。これまでは技術の限界でできなかったけども、今はEdTechがあるわけですから、一人ひとりに寄り添えるようにしたらいいわけです。

佐藤 1人1台のパソコンが実現できれば、子どもたちはカレンダーアプリを使って、自分だけの時間割を作れるようになると思いますよ。

工藤 そうなれば、必然的に学校運営のあり方も変わっていくでしょう。現時点では先生が教えることが多すぎて、一人ひとりの指導に時間を割けていません。個別最適化によって先生がコーチング役に徹することができれば、相当量のカリキュラムを圧縮でき、生徒はより深い学びを得られるでしょう。

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