私立高校進学と家計

私立高校に進学、授業料実質無償化でいくら準備? きょうだいがいるときは?

2020.05.22

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南澤 悠佳
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国や自治体の支援もあって、私立高校に進学したときの家計への負担は軽減されつつあります。実際、東京都では都立高校の志願者が減ったというニュースも。もし子どもが私立高校への進学を希望したら、そのまま受け入れても大丈夫なもの?

子育て世代のお金の悩みに、ファイナンシャルプランナーでお子さんをもつ坂本綾子さんがお答えします。

話を伺った人

坂本綾子さん

ファイナンシャルプランナー《CFPⓇ認定者》

(さかもと・あやこ)坂本綾子事務所(http://www.fpsakamoto.jp/)代表。20年を超える取材記者経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナーを行っている。著書に「今さら聞けないお金の超基本」(朝日新聞出版)「まだ間に合う!50歳からのお金の基本」など。

兄弟姉妹がいる場合は、全員私立に行くことを想定

2020年4月から、国の「高等学校等就学支援金制度」によって年収目安が約590万円未満の世帯は私立高校の授業料が実質無償化になりましたが、東京都では2017年度から独自に私立高校の授業料の支援制度があります。都内では先行してそうした支援があるので、私が聞く限りでも私立に進学する人は増えている印象です。

家計相談を受けるときに聞く悩みの一つに、子どもが複数いるご家庭の場合、上の子が私立なら下の子も私立にしたほうがいいのか、平等に教育費をかけた方がいいか、実際にやりくりできるかがあります。公立がいいか私立がいいかは子どもの性格にもよるので、私自身は1人目が私立だから2人目も……と決める必要はないと思います。ただし、進学先は受験の結果次第ですから、全員私立に行くことを想定してお金の準備をしておくと安心でしょう。資金計画は、一番下の子が順調に大学を卒業する22歳のときまでに合計いくらかかりそうか、世帯の収入がどのくらいを維持できそうか見通すことです。

ただし、昨今は自分たちの先々の収入状況を見通すのは、お勤め先や働き方などで難しい部分もあります。その場合に気になるのが、例えば、片方がパート勤務などで収入の調整ができる場合、支援金が受けられる年収の目安に抑えたほうがいいのかどうか、ですよね。国の支援は、年収目安が約590万円未満の世帯が実質無償化で、年収目安が約590万円以上で910万円未満だと、公立高校授業料相当額(年間11万8800円)の支援金が受けられます。でも910万円以上だと、支援金は受け取れません。

また、この年収額はあくまで目安で、支給額は住民税を元に決まります。2020年6月支給分までは所得割額の合算で判定しますが、7月支給分以降は計算式が変更されます。詳しくはこちらをご確認ください。

住民税は前年の所得(収入から各種控除を引いた額)で決まるので、高校入学前から家計の調整が必要。さらに2020年7月分以降は住民税を計算する際の課税標準額をもとに判定されるので、税額控除である住宅ローン控除や寄附金税額控除(ふるさと納税など)により住民税の実際の支払額を節税していても、関係ありません。

また、住民税は年収のみならず家族構成によっても違ってきます。年収590万円未満という目安は、両親と高校生、中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合です。子どもが2人とも中学生以下の場合は、扶養控除を引くことができないので、支援を受けられる年収はもう少し下がります。

授業料実質無償化はあくまで年収が一定額以下の世帯のサポートと割り切る

公的な支援以外の選択肢として学資ローンもありますが、高校の進学で活用するのはあまりおすすめしません。というのも、大学へ進学することも考えた場合、後々の負担が大きくなってしまうからです。

正直なところ、世帯年収が600万円を超えてそこそこ年収がある家庭は援助の恩恵を受けづらく、お子さんが多い場合はやりくりが厳しいのが現実です。私立高校の授業料実質無償化は年収が一定額以下の方をサポートするためのもの。子どもが2人以上いたり、大学進学も視野に入れたりしている場合は、節約には限界があるので、共働きでできるだけ収入を多く得ていくほうが、家計にとってプラスになることもあります。 

こうした事情があるのを考慮してか、東京都では、私立高校の授業料を実質無償とする私立高等学校等授業料軽減助成金について、2020年度から対象世帯を現行の年収目安760万円未満から910万円未満に拡充しました。さらに、所得制限により就学支援金の対象とならない世帯(年収目安910万円以上)で高校生を含む23歳未満の3人以上の子どもがいる世帯については、年収に上限を設けず、都立・私立に関係なく、一律で都立高校の平均授業料に相当する年11万8800円の半額である、5万9400円が助成されます。お住まいの自治体の助成制度はぜひ調べてみてください。

子育てをしていると、一体どれだけ教育費がかかるのか……と不安を覚えることもあるかと思います。でも、教育費はどのタイミングでいくらかかるかの見通しを立てやすいのも特徴です。“終わりのある出費”でもあるので、節目のタイミングにこれだけ用意しておこうという計画を立てるだけでも、気持ちが少し楽になりますよ。

(編集:阿部 綾奈/ノオト)

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