コロナでどうなる大学入試

同志社大学入学センター所長の多久和英樹教授「何があっても大学は必死で対応する」

2020.06.01

author
中村 正史
Main Image

新型コロナウイルスの影響で休校期間が長く続き、スポーツや文化活動の大会が軒並み中止になっている。大学入試はどうなるのか、そもそも試験ができるのかと不安視する声が、受験生や保護者の間で広がっている。大学はどう対応するのか。関西私学の最難関、同志社大学で入学センター所長を務める多久和英樹教授に聞いた。(写真は、今年2月の同志社大の一般入試=同大提供)

話を伺った人

多久和英樹さん

同志社大学教授・入学センター所長

(たくわ・ひでき)京都大学工学部数理工学科卒、同大学院情報学研究科数理工学専攻博士後期課程認定退学。京都大学博士(情報学)。同志社大学理工学部機械システム工学科教授。2016年から同入学センター所長。専門は数学(関数方程式論、逆問題)。

入試要項を遅らせても状況はよくならない

――学校の休校が長引いて、来年の入試はどうなるのかと、高校生や親が不安がっている現状をどう見ていますか。

入試については通常通りに準備しています。安定的に着実に入試が行われる必要がある、というのが基本です。これがベースにないと、試験の公平性、公正性に関わってきます。

今年の2月から3月にかけても、新型コロナウイルスの感染が広がる中で入試を行いました。今後の入試も、できる範囲で対応する、コロナに対する安全対策を取りながら、試験を安定的に行っていくことになります。

――まず総合型選抜(旧AO入試)と学校推薦型選抜(旧推薦入試)が秋から始まります。

従来の公募制推薦を含めた総合型選抜(旧AO入試)が9月から出願可能になります。文部科学省は6月に入学者選抜実施要項を出しますが、各大学は総合型選抜と学校推薦型選抜の入試要項を準備しており、6月から7月にかけて出てくるでしょう。同志社も例年通り6月上旬に出します。ちょっと遅らせても状況はよくなりません。コロナで必要な対応が出てくれば、変更点をホームページに載せればいい。大学によっては、入試要項に「コロナへの対応がある場合」といった一般的な記載があるかもしれませんが、受験生は入試要項だけでなく、変更点をホームページでチェックしてほしいです。

文科省はルールブックの元となる選抜実施要項は出しますが、入試を実施するのは各大学であり、大学入学共通テストであれば大学入試センターが実施します。入試に関しては各大学が責任を持って発表するのです。

大学は非常時の入試の経験値を積んでいる

――ただ、今年は例年とは違う状況です。

メディアの皆さんもあまり認識していませんが、各大学では大学院の入試があり、多くは8月から9月に行われます。うちは7月から実施します。面接ができるかもしれないし、できない場合はオンラインで行うなどの対応を検討しています。

大学では一年中、試験をしているのです。留学生の試験は現地に行って行うこともあれば、オンラインで行うこともあります。その時に台風で通信がつながらないこともある。各大学はいろんな経験値を積んでいるのです。

毎年の入試でもインフルエンザが流行することや、受験生が試験会場で体調が悪くなることもあります。同志社の一般入試では、地方試験を含め、全国17会場で4万~4万5千人が受験するので、さまざまなことが起きます。阪神・淡路大震災や東日本大震災の時の経験もある。実は各大学はものすごく困難なことが多かった中で入試を行ってきています。

その時の状況に合わせて対応しないと、うまくいきません。何があっても各大学は対応すると思います。大学にとって入試は、学長直轄で運営する大きなことです。イレギュラーなことがあっても対応するのが、大学の社会的な責務です。受験生が学んできたことを評価するためにきちんと対応します。

――言われてみれば、確かにイレギュラーな事態への経験値がありますね。

そういう意味で、受験生は安心して落ち着いて受けてほしいです。受験生は今は準備すること、きちっと勉強することです。家にいる時間が長いのなら、今まで取り組めなかったことに取り組む、いい機会です。

入試では、受験生の学力があるのに不合格になることは少ない。各大学が見たいのは、基本的な力や読解力です。予備校に通った生徒や都会の受験生が有利になることのないよう、勉強した生徒がきちんと実力を発揮できるような問題を作ってあります。受験生はあわてたり、変な情報に振り回されて一喜一憂したりしないことです。保護者の方も、こういう状況であっても落ち着いてほしいです。

――英語の民間試験を使うところもありますが、民間試験が延期になったりしています。

今の状況を踏まえて、要件の緩和をしてあげればいいのです。各大学は普段から受験生に合理的な配慮をしています。仮に東京から出られない状況なら追試を考えるとか、試験を延期するということも出てくるかもしれません。何があっても大学は対応するでしょう。

同志社大オープンキャンパス
昨年8月のオープンキャンパス。今年はオープンキャンパス中止に伴い、大学紹介・入試説明会動画に加えて、学部紹介動画と一部の模擬講義動画を入学センター公式YouTube上に掲載する予定

新着記事