コロナでどうなる大学入試

「来年の大学入試はスケジュールを遅らせて」高校の先生たちの訴え

2020.06.02

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山下 知子
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課題は数Ⅲと物理、理科と地歴もギリギリ 

東京都立深川高校の鈴木真人校長も「今の頭の中は100%、これからどうするか。その中で、入試に向けてのスケジュールがどうなるのかが不明瞭なことが一番の課題だ」と言います。

大学入試に関し、鈴木校長が最も危惧するのは数学Ⅲと物理。自学が難しく、「教員が手をかけないといけない。どう補い、どう間に合わせていくかを考えている」と言います。理科や地歴の科目についても「多くの高校が同じだと思うが、例年であっても放課後に補講するなどして、ぎりぎり1月に間に合うかどうか。今年はさらに厳しい状況なので、夏休みなども短くせざるを得ない」と言います。

学校行事などが軒並み中止、延期となった点も危惧します。部活動や学校行事を通じて主体的に動いたり、スケジューリングしたりすることを身につけた生徒が、目標とする大学に進学を決めていくと鈴木校長は感じています。「受験に向けた『姿勢』を作る場がなくなってしまったのが本当にきつい。だからこそ、今の高3生は、何とかして支えていきたいと思っているのです」

ネット上でも、入試に関して様々な声があがっています。

ある高校で進路指導を担当する教諭は「ふ ざ け る な これから授業を始めて教科書が終わると思っているのか? 特に基礎なし理科と地歴公民」とツイートし、共通テストを予定通り実施することに反対します。別の教員は、ハッシュタグ「#共通テストの1月実施に抗議します」を付け、「今年度の授業はやっと6月から始まるのだから、少なくとも2カ月ほどは延期することが必要」とツイートしています。

5月22日にあった自民党の9月入学に関するワーキングチーム(WT)では、全国高等学校長協会の萩原聡会長(東京都立西高校長)が、今後1~2年間に限り入試や入学の時期を1~2カ月ずらすことを提案し、提言案に大学入試日程の2週間から1カ月程度の後ろ倒しなどが盛り込まれました。文科省は、6月中に「大学入学者選抜実施要項」で入試日程の大枠を発表するとしています。

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