コロナでどうなる大学入試

彦根東高新聞部調査で「9月入学」に賛成7割、でも来秋実施見送りで3年生部員たちは……

2020.06.03

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斉藤 純江
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新型コロナウイルスの影響で休校期間が長く続き、スポーツや文化活動の大会が軒並み中止になっている。大学入試はどうなるのか、そもそも試験ができるのかと不安視する声が、受験生や保護者の間で広がっている。滋賀県立彦根東高校新聞部の生徒たちは、9月入学について全校アンケートを休校中に行い、7割弱が賛成と答えた。しかし、来秋実施は困難な情勢となり、3年生の部員たちは先行き不透明ななか、大学受験と直面せざるをえなくなっている。(写真は、休校期間中に部員たちが在宅でつくった彦根東高校新聞の「速報新聞」)

反対3割、理由は「余計に混乱しそう」が最多

彦根東高校は今春、東大に1人、京大に7人、大阪大に11人が合格するなど、進学校として知られる。新聞部は、5月まで続いた休校期間中も「速報新聞」の発行を続けた。生徒が家で記事を書いて、顧問教諭がレイアウトし、学校のホームページで公開している(ホームページはこちら)。休校期間中に新型コロナ特集として14号を発行し、うち2号で9月入学アンケートを特集した。

アンケートは、4月30日から5月3日の4日間、教育支援クラウドサービス「Classi(クラッシー)」を使って、全校生徒約950人を対象に実施。67.7%の643人から回答があった。「9月入学についてどう思いますか」という質問に対し、「賛成」が33.0%、「どちらかというと賛成」が34.7%で、合わせると7割弱にのぼった。一方、「反対」は12.8%、「どちらかというと反対」は19.6%だった(図1)。

【文中図表1】9月入学への賛否
(図1)9月入学への賛否=彦根東高校新聞から

アンケートでは賛否の理由を一つ選んでもらった。「賛成」の理由は「授業の遅れが回復できる」が43.7%で最多。「進んでいるところとの差が解消できる」が27.5%、「留学などがしやすくなる」が11.9%と続いた(図2)。

学年別では、「授業の遅れ」を理由に挙げた1年生が47.4%で、3年生の37.8%に比べて10ポイントほど高かった。これについて新聞では、「高校の授業が始まっていないことに対する不安感を表しているのだろうか」と分析した。

また、3年生は賛成理由に「その他」を選ぶ人が17.6%いて、ほかの学年より多かった。「その他」の自由記述を見ると、「9月入学になれば、(中止になった)行事などができる可能性がある」「授業も学校生活も本来行えたであろう1年をやり直せる」など、行事や学校生活を取り戻したいという高校生ならではの思いがうかがえた。

一方、「反対」の理由を見ると、「余計に混乱しそうだから」が53.1%で最も多く、「制度変更が間に合うと思えない」(17.7%)、「4月入学が定着している」(14.4%)などが続いた。

3年生は「制度変更が間に合うと思えない」がほかの学年より多く、新聞では「前年に英語外部検定の中止など新入試制度の変更に翻弄(ほんろう)されたことが影響しているのかもしれない」と分析している。

【文中図表2】賛成・反対の理由
(図2)賛成・反対の理由=彦根東高校新聞から
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