学校再開でも焦らないで

校内での感染予防策、どこまでやれば? 過剰な対応には弊害も 医師2人に聞く

2020.06.05

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上野 創
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授業が再開された全国の学校で、新型コロナウイルスの感染予防対策がとられています。対応については、「どの程度までやれば良いのか」と悩む声も上がります。長野県立こども病院で主に感染症を担当する南希成さん(49)と、小児科医の立場から情報発信を続ける佐久総合病院佐久医療センターの坂本昌彦さん(42)に話を聞きました。(写真は、段ボールで手作りしたシールドに囲まれて音楽の授業を受ける北海道釧路市の小学2年生たち)

南希成さん

話を伺った人

南希成さん

長野県立こども病院感染症科部長、総合小児科副部長

(みなみ・きせい)信州大学医学部卒業後、長野県内の病院で勤務。2011年から現職。国際NGO「国境なき医師団」を通じてアフリカで医療活動も。

坂本昌彦さん

話を伺った人

坂本昌彦さん

佐久総合病院佐久医療センター小児科医長

(さかもと・まさひこ)子どもの病気や不調についての疑問に答える、佐久医師会主催のスマートフォン用アプリ「教えて!ドクター」プロジェクト責任者。海外での医療活動の経験も生かし、情報発信に取り組む。

首相官邸主導の要請で始まった一斉休校。6月1日からは、各地の学校が再開されましたが、「学校生活の日常」は一変しています。

登校したらまず体温測定、校内でもマスク着用。手は頻繁に洗い、給食は前を向いて黙々と。友達との接触やおしゃべりは禁止。学校によっては、授業中に顔を透明なシートで覆う「フェースシールド」をつたり、個々の机を透明な「壁」で囲ったりと厳重です。

授業を再開するにあたり、全国の学校が参考にしたのは、文部科学省が5月22日に出した「衛生管理マニュアル」です。地域ごとの感染状況を1~3のレベルに分けて対応を決めるとし、具体的な予防対策が示されています(リンクはこちら)。

運動中のマスクは不要、蛇口を触る時に注意

マスクについて、マニュアルでは「常時着用が望ましい」とあり、例外的に「熱中症などの健康被害が発生する可能性が高い場合は外す」「体育の授業では必要ない」となっています。

南希成医師も「運動中は呼吸困難になりかねないから外した方が良い」と指摘します。ただ、頻繁につけたり外したりすると、かえってウイルスが指に付きやすくなるので、運動中以外で本人が息苦しくないのであればつけたままが良いと言います。繊維で皮膚が荒れたり、ひもの当たる耳の後ろが痛くなったりしないように、という注意も必要とのことです。

手洗いは、「流水とせっけんでしっかり洗うことが基本で、特殊な菌でなければアルコールなどによる消毒は不要」と南医師。ただ、手をきれいにしてもウイルスで汚染されている蛇口ハンドルを触ってしまっては効果がありません。できれば、ひじなどで開け閉めできるレバー式や、センサーが反応して水が出たり止まったりするタイプが望ましいそうです。回して開け閉めするタイプの場合、医療者は、ペーパータオルでつかみ、その都度捨てることもあると言います。

駒込小学校
入学式後初めて登校し、間隔を空けて座る1年生の児童=2020年6月1日午前、東京都豊島区の駒込小学校、林敏行撮影

登校後、トイレの後、給食前などのタイミングで洗うと効果的で、洗った後は、なるべく目や鼻、口などを触らないようにと注意を呼びかけます。

教室の座席配置は、隣との距離が1~2メートルあるのが望ましいものの、向かい合って大声で話すのでなければ、厳密でなくてもいいそうです。クラスを二つに分けて人数を減らすといった対応も効果はあるのですが、「地域によって、可能な範囲で」とのこと。

フェースシールドについては、「マスクをしていれば、子どもがそこまでする必要はありません」と話します。医療者の場合、主に目からの感染を防ぐ意味もありますが、子どもたちは、目の前にシートがあることで視界がおかしくなったり、長時間使っているとシートが汚れて見にくくなったりするという弊害が大きいそうです。

教職員によるアルコールなどを使った消毒は、ドアノブやトイレの鍵、階段などの手すり、ロッカーの手で触る部分など、多くの子どもたちが触る部分で推奨されると言います。教室の中など空間全体を除菌するような製品で、学校で使えて効果的と言えるものはないので、例えば何かを噴霧するといった必要はないとのことです。

登下校中は「屋外ですし、マスクをして静かに話す程度なら集団登校でも問題ないはず。ただ、マスクをせずに大勢が大声で話しながら移動するのは避けた方がいいでしょう」。

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