コロナでどうなる大学入試
入試日程、遅らせる?変更なし? 高校長アンケでは 3 : 7 続く議論
2020.06.12

大学は「予定通りに」、高校は「後ろ倒しに」
実際のところ、大学側は、後ろ倒しを避けたい意向が強いようです。
8日に東京都内であった日本私立大学連盟記者懇談会では、学長から予定通りの実施を求める声が相次ぎました。
ある学長は「決めたスケジュールに従ってやっていただくのが当たり前のことだが、希望したい。仮に半月でもずれるとなると、いろんなことで玉突きが生じてしまう」。別の学長も「会場を急には用意できない。1年以上前から会場をとる。共通テストをずらされると、個別の大学の入試とバッティングしたりする。一気に一律に打ち出すと混乱を引き起こす」と発言しました。
一方、全高長の会長をつとめる萩原聡・都立西高校長はEduAの取材に「入試日程の後ろ倒しを希望したい」と答えました。
全高長では6日、47都道府県の高校協会長とWEB会議を開きました。高校は、4月に部活動も再開した地域もあれば、6月になってようやく分散登校が始まった地域もあります。そうした現状から、「3年生に高校の教育活動をしっかり行ってもらうためにも時間が必要。学習の遅れを回復する必要がある学校に寄り添い、後ろにずらすべきだ」と話がまとまったそうです。
ただ、どの程度後ろ倒しにするかについての意見は多々あり、年度をまたぐことについては一定数が否定的だったそうです。一方で、「2週間では何もできない。最低1カ月はほしい。簡単なものであっても学校行事を一つぐらいはさせてあげたい」という声も出たそうです。
11日の協議後の萩原会長のコメントは、以下のようなものでした。
「アンケートの結果では、入試日程の配慮が不要と回答する学校はあるものの、教育課程の実施状況などを踏まえ、未だに教育活動が完全には 再開できていない学校があり、こうした学校では入試日程の後ろ倒しを望んでいる」
「 入学者選抜の制度として、授業の再開状況が厳しい学校に対して配慮することが、こうした学校に在学する生徒や保護者の不安を解消することにつながると考える」
全高長は、近く文部科学相に要望書を出す予定です

文科省は17日にも2回目の協議を開きます。担当者は「6月中のなるべく早い時期に日程を公表したい」とし、高校や大学側からの意見をまとめる予定ですが、この日に結論が出るのかとの記者の問いには「今の時点として『いつ』というのは決めていない」と答えました。