学校再開でも焦らないで

コロナで不安な中高生へ 児童精神科医・井上祐紀さん「一人で抱え込まないで」

2020.06.16

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葉山 梢
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新型コロナウイルスの影響で、気持ちが落ち込んでいる中高生は少なくないのではないでしょうか。受験の見通しが立たずに不安だったり、大会やコンクールが中止になって目標を見失ったり……。学校関係者の相談に乗ることも多い児童精神科医・井上祐紀さんに、子ども自身や周りの大人にできることを聞きました。

井上 祐紀さん

話を伺った人

井上祐紀さん

児童精神科医

いのうえ・ゆうき/1998年岐阜大学医学部卒業。2011年社会福祉法人日本心身障害児協会島田療育センターはちおうじ(診療科長)。2014年公益財団法人 十愛会 十愛病院(療育相談部長)。2015年社会福祉法人青い鳥横浜市南部地域療育センター(所長)などを経て、2019年東京慈恵会医科大学精神医学講座(准教授)。ツイッター(@yukichildpsy)でも若い世代に向けて発信を続けている。

「理想的に生きる」ではなく「生きていることが理想」

――3カ月にわたる休校期間とその後の学校再開、どう感じましたか。

最初は「家にいるのも悪くない」なんていう声もありましたが、5月に緊急事態宣言が延長された後、大人も子どもも心身の調子を崩して受診する方が増えた印象があります。6月1日になったからといって、さぁ始めようと切り替えるのは難しく、つらさを感じる子は多いでしょう。これだけ長い期間、日常を奪われてしまった影響はこれからじわじわ出てくると思います。4月の自殺者が減ったというニュースがありましたが、自殺者や不登校の数は年間を通して見る必要があります。

井上 祐紀さん

――漠然とした不安を抱える子どもたちが多いようです。学校はどのように対処するべきでしょうか。

患者さんの中にも「コロナが不安」と訴える人はいます。そういう人は「今何ができるか」にフォーカスを当ててもらいます。手を洗う、マスクをするといった「今できること」を確認することで安心できます。学校でも、生徒たちに「自分に今日できそうなことを頑張ればいい」と言ってくれればいいと思います。

学校での感染対策は、文部科学省の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」をぜひ参考にしていただききたいと思います。マスクの上にさらにフェースシールドをするなどの過剰なルールで子どもを縛るべきではありません。医療の話だったのがいつの間にか道徳の話やローカルルールになり、不安を助長しています。どんなに気を付けていても感染が起きる可能性はあります。「体調が悪いときは遠慮なく休む」ということを学校のリーダーである校長が呼びかければ、感染対策になると同時に、メンタルを守ることにもつながります。

子どもたちの集中力のなさやイライラも不安の産物です。怒るのではなく、「大丈夫?」と気にかけてください。宿題忘れや欠席・遅刻に対するアプローチも変わってほしい。生徒を締め付けるのではなく、困っている状態に気づくきっかけにしましょう。非常時なのだから、今まで通りのペースでやっていくのは無理です。「理想的に生きる」のではなく「生きていることが理想」なのです。

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