コロナでどうなる大学入試

大学入試日程、固まる 共通テストは第2日程も設定

2020.06.19

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上野 創
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新型コロナウイルスの影響で、変更も検討されていた大学入試の日程がようやく決まりました。11月の学校推薦型選抜(旧推薦入試)の出願と、来年1月の大学入学共通テスト(旧センター試験)の試験日は予定通りに。最も早い総合型選抜(旧AO入試)の出願は、予定された9月1日から2週間遅らせます。総合型選抜を除けば日程に変更はありませんが、「学習の遅れ」を理由にした、共通テストの第2日程(追試)の設定や、各大学の個別試験における出題範囲の配慮など、例年と異なる対応も示されました。

2021年度入試をめぐっては、高校や大学などの各団体と文部科学省が17日に協議して合意し、19日に文科省が「大学入学者選抜実施要項」を発表しました。主な内容は以下になります。

 <決まった内容の要旨>
① 日程について
・総合型選抜の出願開始は9月15日(2週間後ろ倒し)
・学校推薦型選抜の出願開始は11月1日(予定通り)
・大学入学共通テスト(第1日程)は1月16、17日(予定通り)
② 第2日程(追試)、その他について
・共通テストは1月30、31日を「第2日程」として設定。第1日程の追試を兼ねる。さらに第2日程の追試として、2月13、14日に「特例追試」を設定
・第2日程は47都道府県に会場を設定(これまでは東京と大阪のみ)
・第2日程の受験は、病気やけがなどの理由のほか「学習の遅れ」が理由でも認める
・第2日程の難易度は第1日程と同じとし、得点調整はしない
・各大学の個別試験についても追試の設定を求める
・個別試験では、主に高3で学習する科目で発展的な学習内容から出題しないよう出題範囲の削減や、選択問題を増やすことを大学に求める
・総合型・学校推薦型選抜の出願時、調査書に高3の評定が記載できなくても可とする

日程については、新型コロナの影響で5月末まで授業がなかったり、不十分だったりした高校があり、予定通りだと一部の受験生が不利益をこうむるという指摘が出ていました。全国高校長協会(全高長)が全国の高校に日程の希望を調査した結果、約7割は「予定通りの実施を」と答え、約3割は「延期を希望」と回答しましたが、全高長は「一番厳しい状況の地域に配慮をするべきだ」として1カ月の後ろ倒しを求める方針を示していました。全高長のメンバーである私立高校の多くや大学側は混乱を避けるため、後ろ倒しには反対でした。

こうした中、17日夕の協議は文科省が対応案を示したうえで非公開で開かれました。全高長は文科省案について、「1カ月後ろ倒しという要望もしたけれども難しいということであるならば(追試などで受験生に配慮した)この案はありがたい」と発言したといいます。

総合型選抜は、AO入試だった昨年までは8月1日からの出願でしたが、今年度の予定では9月1日からと、もともと1カ月遅くしていました。背景の一つは、学生確保のため一部の大学が8月中に合格を発表するなど、AOの早期化が問題視されたためです。それを今回、さらに2週間、遅らせることになりました。ただ、合格発表は11月以降で変わりません。

また、学校推薦型選抜は昨年と同じ11月からの出願で、新型コロナの影響があっても日程は変えないと決まりました。遅くすると、推薦型で不合格だった受験生が一般選抜に切り替えるのに時間が短すぎる、という理由からです。合格発表は12月以降と決められています。

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