コロナでどうなる大学入試

大学入学共通テスト「第2日程」に疑問の声広がる 公平性保てるか

2020.06.26

author
中村 正史
author
柿崎明子
Main Image

来年の大学入学共通テストの入試日程がようやく固まったが、「学業の遅れ」の救済策として設定された「第2日程」に、テスト理論の専門家や受験関係者の間で疑問の声が広がっている。救済どころか、受験生にさらにダメージを与えかねないというのだ。(写真は、今年が最後となった大学入試センター試験の会場に向かう受験生=1月18日、名古屋大)

第1・第2日程の試験問題の質はぶれる 

「第2日程の設定は良い政策か 私の答えは『ノー』である」という文書を6月23日に公表したのは、テスト理論に詳しい広尾学園中学・高校校長の南風原朝和(はえばら・ともかず)氏だ。東大文学部の阿部公彦(まさひこ)教授が「鋭い指摘多数です」とツイートし、大学入試センター試験に関わった専門家からも賛同する声が寄せられている。

2021年度入学者が受ける来年の大学入学共通テストをめぐっては、文部科学省が6月19日に公表した大学入学者選抜実施要項で、「新型コロナウイルスに伴う配慮」として、入試日程は①1月16、17日、②1月30、31日、さらに特例追試験として③2月13、14日の三つを設定することにした。②は「第2日程」と称され、「学業の遅れ」を理由に選択する者、および病気などで①を受けられなかった者が対象で、全都道府県に試験場を設置する。

従来のセンター試験は本試験の1週間後に、病気などで受けられなかった人を対象に2カ所で追試験を行ってきたが、来年は第2日程という位置づけに象徴されるように、単に従来の追試験を1週間遅らせるだけでなく、「学業の遅れ」を理由にした受験生を主な対象とすることで性格が全く変わってしまった。

「学業の遅れ」という趣旨から、浪人生が最初から第2日程に出願することは想定されていない。また、③特例追試験の結果まで待って私大が合格発表するとなると、スケジュールが大幅に遅れることになる。

南風原氏が最も問題にするのは、第1日程と第2日程の試験問題を「等質の試験」にするのが極めて難しいことだ。これまでのセンター試験の結果を見ても、難易度がぶれないよう長年の努力が積み重ねられてきたにもかかわらず、100点満点に換算した平均点の開きが、英語のリスニングで2015年度と18年度で25点、国語でも14年度と16年度で15点あった。

「等質というのは平均点だけではありません。平均点が同じでも分散が違えば、学力層によって不利が出てきます。仮に第2日程の試験が難しかった場合、学業の遅れがあった受験生には救済どころか、さらにダメージを与えてしまうことになります。第1日程で一緒に受けたほうがよかったという結果になり、共通テストとしての公平性が問題になります。逆に第2日程の方が易しかった場合は、第1日程の受験生が不利になってしまう。どちらに転ぶかやってみなければわからない賭けのような状況を、救済であるかのように装うのは、制度として誠実ではありません」

【文中写真】センター試験追試
2010年の大学入試センター試験では、新型インフルエンザの流行により本試験の2週間後に全国で追試が行われた=2010年1月30日、さいたま市

新着記事