学習と健康・成長

コロナ対応にオンライン授業とロイロノート活用 武蔵野大学中高・日野田校長に聞く

2020.07.10

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ゆきどっぐ
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生徒がタブレット端末を1人1台持ち、AI教材で学ぶ。知識の習得を個別最適化し、さらには協働性を育むワークショップ型授業を展開する武蔵野大学中学校・高等学校。新型コロナウイルス感染症拡大防止のために生徒登校禁止が取られた際は、オンライン授業と教員によるロイロノートでの質問対応を4月13日から開始しました。迅速な対応を取った校長の日野田直彦先生に、これからの学校教育に必要となる力を聞きました。

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話を伺った人

日野田 直彦さん

武蔵野大学中学校・高等学校 校長

(ひのだ・なおひこ)1977年生まれ。幼少期をタイで3年間過ごした後、同志社国際中学校・高等学校に入学。同志社大学卒業後、学習塾へ入社。2014年、大阪府の公募等校長制度で、大阪府立箕面高等学校の校長に着任。3年後には偏差値50台(河合塾)の同校から海外トップ大学へ生徒を多数送り出し注目を浴びる。18年から武蔵野大学中学校・高等学校校長。20年から武蔵野大学附属千代田高等学院の校長を兼任。

「チャレンジと失敗を恐れるな」精神 1学期は基礎知識をつける期間に

――生徒登校禁止に向けた準備はどう進めましたか?

慌てることなく、粛々と準備しました。というのも、海外の友人に「大変な事態になる」と聞かされていたからです。ロックダウンなど最悪の事態を想定し、オンライン授業などのシステムを3月中旬にはほぼ完成させ、4月から導入。事前に教員研修もしていたので、現場の混乱は少なかったですね。

帰国子女として海外で過ごしてきた経験から言うと学校閉鎖は世界的に珍しくはありません。クーデターなどが起これば、休校になるのは当然です。そうすると、生徒は自ら学ばないといけない。そのための仕組み作りを教員がするだけです。

――生徒登校禁止期間中はどのような授業展開だったのですか?

スタディサプリなどの授業動画について授業相当分の計画配信と教員によるロイロノートでの個別指導が中心です。授業時間数は4コマからスタートして、5月下旬に6コマへステップアップ。実技授業も少しずつ始めています。ただ、家庭科や体育などは無理をすると疲れてしまうため、基本はペーパーワークです。そのほかは教員と生徒・保護者間の連絡をClassiという教育プラットフォームで、課題の提出や共有・質問などをロイロノートで行いました。

武蔵野大学中高時間割

つながることを意識して、朝礼と終礼は生徒と教員がZoomで顔を合わせていました。それでも、定期的に集計するアンケートでは1500人中1300人の生徒が「友だちに会いたい」と答えました。緊急事態宣言が解除され、状況が落ち着いたこともあり、6月1日からは分散登校を開始。8日からは登校授業とオンライン授業を半分ずつ行っています。

使用する機器は、在学生がタブレット端末、新入生はまだタブレット端末を持っていないので自宅のパソコンなどを使っていただき、BYODでスタートしました。そんな中、最も気を付けたのは家庭によるネット環境の違いです。なるべくストレスが少なく済むように通信量には気を付けていました。

――オンライン授業などで大事にしたことは?

生徒と保護者に伝えたのは、「すべての人の命を守る」「感染拡大を防ぐ」「学びを継続し、誰も取り残さない」の三つです。一方で、教員側が気を付けたのは「インターネット環境は家庭によって違う」「オンラインでのコミュニケーションはストレスがたまりやすい」点を念頭に置くことです。

生徒たちには遠隔授業が始まると同時に「1学期は基礎知識をつける期間」、そして「オンラインに慣れる期間」だと伝えました。オンラインコンテンツは基礎知識の学習には最適ですが、ワークショップやチームビルディングは生身の人間にしかできません。だから、登校できるようになったら協働性を育むワークショップをしていこうね、と。最初から無理をせず、目標を明確にすることで、先生方も生徒たちの安心にもつながりました。

学習のメインにスタディサプリを据えたのは、学びの履歴を取れるからです。授業時間の設定をしましたが、生徒の家庭環境はさまざま。学習のスケジュール感を共有して、授業動画を見る時間帯は自由にしました。

また、スタディサプリなどの既存の授業動画を使うのは、教員の負担を軽減させる狙いもあります。どれだけ現場で授業が上手な先生でも、そのまま動画にしては面白くありません。動画作成にはノウハウが必要です。それに、教員がバラバラに対応すると、「隣のクラスは〇〇してくれているのに、うちはしてくれない」とクラス間の格差も出てきてしまいます。それを統一するのにも一役買いました。

生徒から好評だったのは、ロイロノートを使った教員の個別指導。各学年に20~30人くらい、質問をたくさんしてくる生徒がいました。そのくらいかみついて勉強してくれるのはうれしい限りです。個別指導を利用しない生徒にとっても、インフルエンサー役を担ってくれます。

本校の基本テーマは「チャレンジと失敗を恐れるな」、そして「一緒に作ろう」です。ネガティブに捉えていてもいいことはないから、ポジティブにいこう、と伝えています。

――注意した点はありますか?

オンラインツールによる生徒同士の会話やチャットは実施しませんでした。というのも、教員側が見ることができない仕様になっているので、下手をすると誰かを攻撃するツールに変わってしまうかもしれないからです。

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