学習と健康・成長

「いもいも」教室講師・土屋敦さん 自主性を伸ばす料理ゼミ、栄光学園の学びが原点

2020.07.30

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ゆきどっぐ
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自由と多様性を大切にした授業を展開

――現在は栄光学園の高1ゼミや、「いもいも」教室の講師として子どもたちと関わることも増えました。どんな授業をされているんですか?

週1で開催される高1ゼミでは料理を教えています。希望者は30人ほど。抽選で10人が受講します。「料理は楽しい」をベースに、試行錯誤しながら生徒たち自身が勝手に料理の奥深さや面白さを発見していきます。2学期になると屋外で焚火を使って料理することもあります。薪の量や組み方で火力を調整する「弱火で10分間」ができない世界。不確定要素がある楽しさを味わってほしいんです。料理って自由で、多様性があるんです。

――その時に大切にしていることは?

自分のやり方でやること。「合っていますか?」と僕に聞かずに、失敗を経験しながら、自分の理想とする味を作っていく。それって生きていくうえで糧になりますよね。

あとは五感を大事にしています。味や香りだけでなく、視覚、聴覚、触感も大切。五感をめいっぱい使うと生き物としてイキイキするし、子どもたちの目も輝いてくるんです。

――小学4年生から中学生が学ぶ「いもいも」教室で、大切にしていることは?

主宰者でもある井本陽久は栄光学園の教師(現在は「いもいも」に専念するため非常勤講師)です。同級生で、2年前、OBとして生徒たちに話をするOBゼミで私が講師を務めた際に再会しました。

井本の言葉を借りれば「子どもたちは一人ひとりがそれぞれ違うから、このやり方を実践すれば、子どもはこう変化するなどというのはありえない」。だから「いもいも」には、メソッドもマニュアルもありません。ただ子どもたちが安心して自分自身でいられる場を作れるよう、大人たちみんなが常に試行錯誤しています。

子どもたちが自由に過ごす五感を使ったキャンプも開催しています。安全だけを確保して、プログラムはなし。ウィンターキャンプではただ雪があるだけ。サマーキャンプはひたすら川で遊びます。うれしいことに、子どもたちには「世界一楽しいキャンプ」だと言ってもらえています。

あとは、書評や創作を書く「読書・言語表現教室」も受け持っています。大切にしているのは本人が他ならぬ自分自身の思いや考えを表現しようとしているか、文章を通して自分と向き合っているかですね。

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――新型コロナウイルス感染症の影響で学びに変化はありましたか?

「いもいも」教室は3月からオンライン授業となり、7月からはオンラインと実際の教室での授業を並行して行なっています。でも、やり方が変わっただけで、授業に僕が持っているものをどれだけ注げるか、子どもたちが幸せになれる場を作れるかという点では変わりません。

例えば、この間は小学生から中学生まで15人が集まってオンライン料理教室を開催しました。「みそ汁」をテーマに、まずは素材であるニボシを味わい、それから使う味噌と具材を吟味して、どんなみそ汁を作るか自分たちで決めていきます。オンラインだったから食べるみそ汁はそれぞれ違うけれど、みんなイキイキと楽しそうで、共有できるものはあると感じました。

――中学受験に向けてがんばる子どもたちに向けてメッセージをいただけますか?

まずは入試の過去問題を解くことに喜びが見いだせるかを考えてみてほしいです。入試問題って、学校から受験生へ向けた手紙みたいなもの。それをちゃんと楽しむことができれば、相性のいい学校とも出会えると思います。

いもいもの子どもたちのなかに、受験が終わった後も難問を解き続けた子がいました。その子にとっては、受験は関係ない。ただ楽しいから解いているだけなんです。

あとは、合格が幸せへのゴールだと思わないこと。不合格でも問題ないんです。ただその学校に縁がなかっただけだから。今この瞬間、面白いと感じる体験を大切にしてほしいですね。

(編集:阿部綾奈/ノオト)

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